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2022年9月、3シーズン目を迎える「横浜グリッツ(GRITS)」が大幅な戦力補強で初のプレーオフ進出を目指します。

プロアイスホッケー「アジアリーグ」の横浜グリッツは、来月(2022年)9月10日(土)に本拠地の「KOSE新横浜スケートセンター」に東北フリーブレイズを迎え、新シーズン(2022-23年)の開幕戦に挑みます。

アジアリーグ「2022-23年シーズン」で横浜グリッツは9月10日(土)に新横浜で開幕戦を迎える(写真はイメージ)

2年前の2020-21年シーズンからアジアリーグに参入した横浜グリッツは、職業を持ちながらプロ選手としてプレーする「デュアルキャリア」を全面的に取り入れたプロチームとして注目を集めました。

初年度は新型コロナウイルス禍での試合中止が相次いだこともあって勝利を挙げることができず、2季目となる前シーズン(2021-22年)は2勝にとどまりました。

そんななか、来月9月から始まる「2022-23年シーズン」を前にアジアリーグの他チームから2人、外国籍選手を2人、大学リーグで活躍した有力選手3人を迎える大幅補強を断行

前ひがし北海道クレインズの泉翔馬選手(FW)が新たに加わり、横浜グリッツでの背番号は「5」となる予定(2021年10月、新横浜)

「チーム内に良い意味での競争が生まれ、厳しい環境になった。今季は最低でもプレーオフ(1~4位)に進出する」(臼井亮人社長)との目標を掲げ、これまで本拠地の新横浜ではまだ実現できていない「ホーム勝利」を今年は多く見せたいと意気込みます。

日本5チーム韓国1チームの計6チームで争う今季のアジアリーグで、戦力を増した横浜グリッツの戦いに注目したいところです。

チームを運営するGRITSスポーツイノベーターズ株式会社(中区新山下2)の臼井社長新シーズンの展望などを聞きました。

最低でも「プレーオフ」に進出する

―― 横浜グリッツの3シーズン目が来月(2022年)9月10日(土)から始まります。新シーズンは選手を大幅に補強しましたね

<臼井亮人社長>

GRITSスポーツイノベーターズの臼井社長

今シーズンは、「ひがし北海道クレインズ」から泉翔馬選手(FW=フォワード)と、同チームからはもう一人、直近の日本代表合宿にも招集された蓑島(みのしま)圭悟選手(DF=ディフェンス)が横浜グリッツに加わります。

また、海外からは北米「NHL」傘下の3軍に当たる「ECHL(イーストコースト・ホッケー・リーグ)」でプレーしていたアレックス・ラウター選手(FW)、ティム・シュープ選手(DF)と契約し、2人はビザが取れ次第チームに合流する予定です。

ひがし北海道クレインズからは日本代表経験を持つDFの蓑島(みのしま)圭悟選手も加わる(2021年10月、新横浜)

新人では、早稲田大学でU20日本代表の経験を持つ杉本華唯(かい)選手(FW)、関西大学からはゴールキーパーの石田龍之進選手(GK)、明治大学でU20の経験を持つ三浦大輝選手(DF)の3人が加わることになりました。

HC(ヘッドコーチ)は、これまで2年間つとめてきたマイク・ケネディ氏がチームの「エグゼクティブ・アドバイザー」として引き続き関わる一方、同氏が人選を主導する形でカナダ出身ジェフ・フラナガン氏が新たにHCに就任します。

3シーズン目も浅沼芳征監督がチームを率い、技術面の指導は主にジェフ・フラナガンHCが担当し、チームスタッフの渋谷一樹アシスタントコーチがサポートする予定です。

今年のキャプテンはアジアリーグ経験が豊富な岩本和真選手(FW)が就任

今季のチームキャプテン岩本和真選手(FW)にお願いし、川村一希選手(DF)と鈴木ロイ選手が(FW)が副キャプテンに就任しました。

一方、金子直樹選手(DF)と金子透悟選手(FW)は現役を引退し、秋本デニス選手(DF)とキム・ユンジェ選手(DF、※東北フリーブレイズへ入団)は退団となっています。

―― アジアリーグ経験者が2人、米ECHLから2人、大学の有力選手3人の計7選手が新たに加わるわけですが、チームはどう変わりますか

<臼井社長>

今シーズンは最低でも「プレーオフ(1~4位)」への進出が目標です。

前シーズンまでと違って選手層が厚くなってベンチに入れない選手も出てくる可能性がありますので、良い意味で競争が生まれ、厳しい環境となっています。

今シーズン、グリッツの選手層は厚くなる

先ほども新横浜で練習を行いましたが、すでにチーム内はピリピリしているといいますか、これまでにない緊張感が漂っていました。

一方、我々のチームは「デュアルキャリア」として、各選手の勤務先の理解を得ながらプロ選手として活動していますので、リンク上だけではなく、仕事でも結果を出せていない場合は、選手としてのつとめを果たせていないという評価になります。このあたりは厳しく見ていきます。

―― 過去2シーズンはなかなか勝てませんでしたが、どう感じていましたか

最初の「2020-21年」シーズンは、チーム内にアジアリーグの経験者も複数いましたので、あれほどの差が出るとは思わなかったのが正直な感想です。

前シーズンは接戦で敗れる試合も目立っていた

たとえば、先制して終盤までリードし「今日は勝てるのでは」と思っていても、相手は「必ず逆転のチャンスが来る」という考えでプレーしており、実際に逆転されてしまう。体力面や精神面など、経験から来る差は大きいものがありました。プロとして戦い慣れているんですね。

また、国内の4チームにはプロとして長い経験を持つ選手が多いので、働きながらプロ選手としてリンクに立っている新参のグリッツだけには負けるわけにはいかない、という思いもあったのではないでしょうか。

一方、前シーズン(2021-22年)は、チームの戦力的に前年とほとんど変わらなかったのですが、2勝を挙げることができたのは、1シーズンを通して戦ってきた経験という部分が大きかったのだと思います。

本拠地・新横浜での観客を増やしたい

―― アジアリーグに参入したのは2020年9月でしたが、現在まで常に新型コロナウイルスの制限を受け続けながらのチーム経営です。アイスホッケーのプロチームを運営するには、たとえ選手が「デュアルキャリア」であっても年間1億5000万円以上の経費が必要と言われていますが、経営的な状況はどうなっていますか

<臼井社長>

参入初年度、ホームゲームの試合前セレモニーを見守る臼井社長(左、2020年10月)

これまでの2シーズンは経営面で非常に厳しい状態です。まとまった収入と言えば入場チケットの販売ですが、これもコロナ禍で過去2年は入場者数の制限(定員の50%など)が続きました。当初の目論見からは百八十度変わりました。

また、試合日にはスクール(アカデミー)も開いてきましたが、こちらもコロナ禍で多くの子どもたちを集めるわけにもいきません。

コロナ対策上から必要な制限やルールを変えることは無理なので、そのなかで収益を最大化していくしかありません。新シーズンはホーム(新横浜)で毎試合1200人以上の観客を集めることを目標とし、収支を均衡させていきます。

グリッツのYouTubeチャンネルではホームゲームの生中継のほか、過去の試合映像を見ることができる

ホームでの試合はYouTubeで生中継しているのですが、再生数は毎試合8000回から9000回に達しており、コロナ禍の状況が落ち着けば「現地で観戦したい」という思いを持つ人は一定数存在していると見ています。

また、コロナ禍によってテレワークや在宅勤務の導入が世の中で進みましたが、必ずしも出社の必要がなくなるという環境は、デュアルキャリアで活動する我々にとってもプラスだと感じているところです。

―― 新シーズンのアジアリーグは、韓国の「アニャンハルラ」(安養ハルラ=ソウル近郊を本拠地とするチーム、アジアリーグでは2015-16年から3シーズン連続優勝の強豪)が復帰し、計6チームで3シーズンぶりに“国際リーグ”となります

選手の入れ替わりもあって現在の「アニャンハルラ」の実力はまだ分からない部分がありますが、新横浜ではアニャンハルラと10月15日(土)・16日(日)に初めて対戦する予定です。

アジアリーグでは、アイスホッケー界を盛り上げるためにイベント的な試合や催しを新年(2023年)早々に西東京(東伏見)で計画できないかというような議論も行われており、各チームがリーグを盛り上げようという意識はこれまでにないものを感じます。

―― ファンへのメッセージと新シーズンへの意気込みを聞かせてください

開幕前にファン向けのイベントを開きたい思いはあったのですが、選手はデュアルキャリアとして企業に勤務しているため、他のチームと比べてコロナ感染へのリスクが大きく、万全な状態で開幕を迎えるためにも今年は諦めました

これまで2シーズンはファンの方々につらい思いをさせることになってしまいました。

新シーズンは9月10日(土)・11日(日)、17日(土)・18日(日)と新横浜でのホーム4連戦で幕を開けます。

まずはここを勝ち越し、スタートダッシュを目指します。そして、来年3月には必ずプレーオフを勝ち取ります。

―― ありがとうございました。今年は新横浜で勝利シーンを多く見られることを期待しています

横浜グリッツ 本拠地・新横浜での試合日程

グリッツの公式サイトでは試合日程カレンダーのダウンロードもできる

<9月>

<10月>

<11月>

  • 11月5日(土)16:00:H.C.日光アイスバックス
  • 11月6日(日)14:00:H.C.日光アイスバックス戦
  • 11月26日(土)16:00:H.C.日光アイスバックス戦
  • 11月27日(日)14:00:H.C.日光アイスバックス戦

<12月>

<2023年1月>

  • 1月21日(土)16:00:アニャン・ハルラ戦
  • 1月22日(日)14:00:アニャン・ハルラ戦
  • 1月28日(土)16:00:レッドイーグルス北海道戦
  • 1月29日(日)14:00:レッドイーグルス北海道戦

<2023年2月>

  • 2月18日(土)16:00:東北フリーブレイズ戦
  • 2月19日(日)14:00:東北フリーブレイズ戦

<2023年3月>

  • 3月4日(土)16:00:ひがし北海道クレインズ戦
  • 3月5日(日)14:00:ひがし北海道クレインズ戦
  • (※)プレーオフ進出の場合は3月9日~26日に試合実施予定

(シーズン全日程はこちらに掲載

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強くなった「横浜グリッツ」が開幕連勝、次戦も新横浜で9月17日・18日に(2022年9月12日)リンク追記、今季は開幕2連勝を果たした

・【前シーズン記事】横浜グリッツの「2シーズン目」が終了、2勝あげるも新年から調子つかめず(2022年3月14日、前季の全成績を掲載)

【参考リンク】

横浜グリッツ(GRITS)の公式サイト(チームの総合案内)

アジアリーグの公式サイト(各チーム紹介・日程など)