「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(綱島SST)」と名付けられた新たな“街”が綱島街道沿いの綱島東(北綱島交差点近く、綱島駅東口から徒歩約10~11分)に完成しました。
きょう(2018年3月)30日にユニーの大型スーパー「アピタテラス横浜綱島」が正式に開店し、すべての施設が完成したことになります。
運営を主導するパナソニックが狙うのは、工場跡地を使った“イノベーション(革新)”による新ビジネスの創出で、これまでにない実験的な試みが多数行われているのが特徴です。
綱島SSTは、2011年までパナソニック(旧松下通信工業)の工場だった3万7900平方メートル(甲子園球場と同程度)の敷地を使い、同社が主導して、米アップルの研究所「YTC」やユニーのスーパー、野村不動産のマンション「プラウド綱島SST」(94戸)などを誘致。
パナソニックが持つ住宅関連の技術に加え、同地に参画する東京ガスや「ENEOS(エネオス)」ブランドで知られるJXTGエネルギーなどが持つエネルギー関連技術も導入しています。
協議会には慶應大も参画、横浜市も後押し
この街の運営は、土地を所有するパナソニックと、都市開発のノウハウを持つ野村不動産が代表幹事をつとめる「Tsunashima SST協議会」が主導。
同協議会は当初、代表幹事の2社と関電都市開発、Apple Japan(アップルジャパン)、ユニーで発足。その後、パナホームやJXTGエネルギー、綜合警備保障(アルソック)、サンオータス(新横浜2)、ホンダ、慶應義塾大学、大林組と最終的には計12社・法人が参画するまでになり、横浜市もオブザーバーとしてメンバーに入っています。
ユニーのように小売業が参画していたり、米アップルも世界的な流れで“秘密主義”が徹底していたり、街の運営面で必ずしも強い関連性や結束力を誇るわけではないものの、参画企業のすべてが建物のエコ化や新エネルギーの活用など、街全体の環境目標などを順守。
また、スーパーやマンションなど実際に人が住み、集う場所にすることで、さまざまな実証の舞台としても活用したい考えです。
国が推進する「環境未来都市」構想に対して先導的に取り組んでいる横浜市も、こうした動きを後押ししてきました。
近未来の新ビジネス見据え、先端技術を積極導入
パナソニックは綱島SSTを「共創イノベーションタウン」と名付け、ガスや水素といったクリーンエネルギーや、カーシェアやシェアサイクル、街全体の包括したセキュリティなど、自社では提供できない技術やシステムも次々と導入。自社製品にこだわらず、近未来のビジネスの下地になりそうな先端技術は、とにかく積極的に取り入れているのが特徴です。
さらに近隣に日吉キャンパスを置く慶應義塾大学の国際学生寮も誘致し、経済学部のゼミなどと連携して「Tsunashima SST Lab(綱島SSTラボ)」と名付けた活動の場を設置。参画企業なども巻き込んで、事業の素となるアイデア収集をはじめ、綱島SSTでの実証実験などを踏まえ、実際に新たな事業を行う組織として発展させていく構想も描きます。
アジアでは初という米アップルの研究所や大型スーパーの「アピタテラス」、発売後すぐに完売したマンション「プラウド」などの“箱”に注目が集まる綱島SSTですが、共創イノベーションタウンと名付けられた街から何が起きるのか。この先数年の動きに注目です。
【関連記事】
・世界のまちづくりにも影響、超先進的な開発となる「綱島SST」の全貌とは(日吉新聞、2016年3月29日)
・アピタテラス横浜綱島が正式開店、「多頻度来店型」のショッピングセンター目指す(日吉新聞、2018年3月30日)
・綱島SSTの「スイソテラス」は水素が学べる全国でも稀有な施設、誰でも見学OK(日吉新聞、2017年4月1日、水素エネルギー関連施設)
・綱島SSTに慶應大学が参入、米アップル研究所の隣に約160室の「国際学生寮」(日吉新聞、2016年3月28日、国際学生寮はサンオータスが所有)
・<2018年公示地価>綱島SST周辺の宅地が県内トップの上昇率、日吉本町1も堅調(日吉新聞、2018年3月29日、周辺では地価も上昇)
【参考リンク】
・Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST協議会)