鉄道・運輸機構はきのう(2016年12月)17日に相鉄・東急直通線の「新横浜トンネル」(新横浜駅~新綱島駅間=約3.3キロ)に関する住民向け説明会を港北公会堂で開き、同トンネルは2018(平成30)年10月に掘削を開始することや、住宅街の大倉山3丁目や菊名7丁目などの地下を掘り進む時期は翌2019年の8月から9月になるとのスケジュールを示しました。
説明会は直下でトンネル掘削が行われる大倉山3丁目や菊名7丁目、大豆戸町の住民を中心に約30人が参加し、質疑応答も含めて2時間45分間におよびました。工事主体である鉄道・運輸機構のほか、トンネル工事を担当する奥村組などの共同企業体(=JV、奥村・佐藤・青木あすなろNB特定建設工事共同企業体)の責任者や、横浜市の都市交通課担当者も説明者として席につきました。
新綱島駅(仮称)から新横浜駅に向けて行われる新横浜トンネルの掘削では、鶴見川の下を掘り進める時期について、「河川管理者から(水の少ない)非出水時に掘らなければならないとの条件が示された」(鉄道・運輸機構)として、同区間の工事は11月初旬から5月末までの間に限定されていることを説明。その結果、準備期間なども含めて実際の掘削開始が2018年10月になったといいます。
トンネル完成後に電車が走った際に起こる地上部での振動予測も示され、大倉山駅付近(トンネル上部までの深さ約43メートル)では人は揺れを感じないが、震度計に計測されるレベルの38デシベル(dB)と推計。環状2号線沿いの菊名7丁目にあるロッテ商事神奈川エリア事務所付近(同25メートル)では同じレベルの41dBになるとしました。同トンネル内では、レール枕木を防振性の高いものにするなどの配慮を行うと表明しています。
また、現時点での各工事箇所における最新の状況についても説明し、新横浜駅については、「掘削も終盤になっており、年明けからコンクリート構造物に取り掛かる」(鉄道・運輸機構)といい、新綱島駅は「土留(どど)め工事も終盤に差し掛かっており、(地下35~36メートル掘る予定のうち)地下12メートル付近を掘削している」(同)と説明しました。
説明会では、「博多での地下鉄工事における道路陥没事故が起きて以降、心配だとの声を多数いただいている」(同)ことから、博多の事故に関する説明や工法の違いについての解説にも時間が多く割かれました。
「地質については(ボーリング調査ではすべてを把握できないので)『一寸先は闇』といえるなかで掘っていくため、100%安全だとは言い切れない」としつつも、同トンネルで採用する「密閉型泥水(でいすい)式シールド工法」ではリスクが低くなることを説明。加えて、前方の地盤状況を判別できる「切羽地盤構成判定システム」で把握するなどの対策を紹介していました。
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