新横浜線がきっかけで2社の連携が深まり、今回の列車ツアーが生まれたといいます。
東急グループが横浜駅から伊豆方面へ向けて運行する観光ツアー用列車「ザ・ロイヤルエクスプレス(THE ROYAL EXPRESS)」が今年(2024年)11月から12月に初めてJR東海エリアへ乗り入れ、「静岡・富士クルーズトレイン」として運行されることが決まりました。
ザ・ロイヤルエクスプレスは、東急グループの伊豆急行(伊東~伊豆急下田)が開発した8両編成の電車を使い、参加者を最大30人ほどに絞って2017(平成29)年7月から横浜駅を発着し伊豆方面へ運行している“豪華観光列車”。
車内での食事やホテル、現地観光などをセットにしたツアー用の「クルーズトレイン」として、2020年8月以降の夏は北海道で運行し、今年は1月から3月にかけて初めて四国へも乗り入れています。
横浜駅から伊豆急行の始発着駅である伊東まではJR東日本の協力を得て運行し、北海道や四国へは中心駅まで車両をJR貨物が運び、その後は地元のJR各社が協力して列車の運行を担ってきました。
これまで熱海駅以西のJR東海エリアでは運行していませんでしたが、「(東急グループは)伊豆急のみならず、富士山静岡空港の運営にも携わっており、三島には東急ホテルもある。ザ・ロイヤルエクスプレスが静岡県全体の地域振興に貢献できるのではないか」(東急・堀江正博社長)との考えからこのほどJR東海に運行への協力を持ちかけたといいます。
もともと両社は昨年(2023年)3月の「新横浜線」の開業を機に連携が深まっていたといい、「県内の幅広いエリアで運行したいとのお話を(東急側から)いただき、静岡の魅力を全国に発信できる好機」(JR東海・丹羽俊介社長)として協力要請を快諾し、2社でツアー内容を検討。
「静岡・富士クルーズトレイン」と名付けられた両社考案のツアーは、横浜駅を発着する3泊4日の日程で、富士山や浜松、焼津、日本平(静岡市清水区)、徳川家康をまつる久能山東照宮(静岡市駿河区)などを周遊する内容となりました。
横浜駅から浜松駅の先にある新居町駅(静岡県湖西市)まで東海道本線(在来線)を最大で約250キロにわたってザ・ロイヤルエクスプレスが走行することになり、「定期列車や貨物列車の合間を縫うような形で特別な列車ダイヤを手作業でつくった」(JR東海静岡支社・中澤紀雄担当部長)といいます。
また、これまで北海道や四国のツアーでは電車のザ・ロイヤルエクスプレスが自走できない区間があるため車両を一部減らして機関車がけん引する形で運行していましたが、「今回は(フル編成の)8両で運行できる。これは伊豆方面へのツアー以外ではなかった」(東急社会インフラ事業部・松田高広担当部長)という点も特徴となりました。
東海道新幹線では新横浜からわずか1時間超でアクセスできる区間を3泊4日かけて、8両編成の列車に最大30人の参加者だけを載せてゆっくりと周遊する今回のツアーは、11月から12月に計6回を開催。
1人あたり75万円から114万8000円という価格帯に設定され、7月18日まで参加申込みを受け付け、抽選の形で販売が行われます。
今回、JR東海がザ・ロイヤルエクスプレスの運行に携わることで、自社で“豪華列車”を運行しているJR九州を除いて全国のJR各社が運行に協力する形となりました。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の一部共通記事です
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・東急の「豪華列車」が四国にも進出、JR各社と連携し来年1月から運行(横浜日吉新聞、2023年7月18日、JR西日本とJR四国が協力)
・東急の「豪華電車」が日本の最北端へ、横浜~伊豆を走るロイヤルエクスプレス(横浜日吉新聞、2023年2月6日)
【参考リンク】
・ザ・ロイヤルエクスプレス(THE ROYAL EXPRESS)「静岡・富士クルーズトレインのお申込みについて」(東急、2024年11月8日~12月13日の間に3泊4日プランを計6回設定)
・「THE ROYAL EXPRESS~SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN」が静岡を走ります~クルーズトレインの運行により静岡県の魅力を発掘します(PDF、JR東海など)