武相高校が強豪校・日大藤沢高校に逆転劇で40年ぶりとなるベスト4(準決勝)に入り、慶應塾高は横浜高校に“手痛い”敗戦となりました。
高校野球「春季神奈川県大会(春季大会)」の準々決勝(ベスト8)4試合が今月(2024年)4月27日(土)と28日(日)にサーティーフォー保土ケ谷球場(保土ケ谷区花見台)で行われ、武相高校(仲手原2)が6対5で日大藤沢高校に勝ち、慶應義塾高校(日吉4)は4対9で横浜高校に敗れています。
春季大会は、7月上旬に始まる夏の県大会(第106回全国高校野球選手権神奈川大会)へ向けた前哨戦として、ベスト16以上のチームに付与される「夏のシード権」をかけた大会という位置付けです。
神奈川県大会の前には「川崎・横浜北」や「横浜南・横須賀地区」など県内4地区に分かれての地区予選があり、試合会場ごとに4チーム程度でリーグ戦を行い、そこでの1位または2位チームが県大会へと駒を進める方式となっています。
武相高校は、川崎・横浜北地区予選で法政二高や川崎北高校などに3連勝して県大会に進み、初戦で相洋高校に3対2で競り勝つと、続く3回戦は立花学園を8対2で、4回戦は横浜商業高校(南区)を5対3で破り、4月27日(土)に迎えたベスト8は日大藤沢高校との対戦となりました。
武相にとって日大藤沢は、2018(平成30)年秋季県大会の1回戦や2015(同27)年春季県大会の3回戦、2013(同25年)年春は準々決勝で敗れており、幾度も跳ね返されてきた相手です。
今回の準々決勝で武相は、2回表に3点を先制されるものの、3回裏に打者一巡の猛攻で5点を奪って鮮やかに逆転。5回と9回に1点を挙げた日大藤沢に追い上げられますが、完投した2年生投手・八木隼俊(はやと)君の好投や、ピンチを救う好守備も光り、6対5で逃げ切り勝利をつかみ取りました。
1984(昭和59)年に準優勝(関東大会出場)に勝ち上がって以来、実に40年ぶりとなる春季大会でのベスト4。そして夏の県大会では「第1シード」を獲得するという歓喜の勝利となりました。
ベスト8の壁を乗り越えた武相
2020年8月に就任した武相の豊田圭史監督は、同校OBで富士大学(岩手県花巻市)の出身。同大学監督として福岡ソフトバンクホークスの山川穂高選手や、埼玉西武ライオンズの外崎(とのさき)修汰選手らを育てたことでも知られています。
春季大会では1984年以来40年ぶりとなるベスト4(準決勝)入りについて、豊田監督は「僕が生まれた年ですね」と喜び、「夏も秋も含めてベスト8に(2013年の秋季以来)11年間行けていなかったので、その分、頑張らなきゃいけない。ベスト8の壁を超えると次の景色が見えてくる」と勝利の感想を語ります。
「僕自身も3年間監督をやって、ベスト8の壁を超えなきゃなというプレッシャーがかかっていた。だいぶきつかったですけど、よく選手が頑張ってくれました」と選手を称えます。
主将(キャプテン)の仲宗根琉空(りく)君は、「(準決勝は)横浜スタジアムでできるという喜びを感じながら、全員野球でもう1つ勝って関東大会に出場するためにも、この一週間しっかり準備して臨みたい」と次戦に向けた決意を熱く語っていました。
慶應塾高は横浜高校に敗れる
一方、昨年夏の甲子園で主役となった慶應義塾高校(慶應塾高)は、県大会4回戦まで危なげなく勝ち進みましたが、4月28日(日)の準々決勝では昨夏の県大会決勝戦でも激闘を繰り広げた横浜高校(金沢区)と早くも当たることになりました。
県屈指の強豪を相手に慶應塾高は、昨夏の甲子園でも活躍した小宅(おやけ)雅己君に先発を託しましたが、初回に横浜高校の主将(キャプテン)で4番の椎木卿五(しいぎけいご)君にレフトスタンドへ2点本塁打を浴びるなど苦しい立ち上がり。
小宅君が5回1死までに3点を失い、継投した鷹尾(たかお)充千雄君、吉野栄輝(ひろあき)君、加賀城祐志(ゆうじ)君も強打を放つ横浜高校打線に最後まで苦しみます。
慶應は1回・5回・7回と2点ずつ失って7回裏の攻撃時点で6点差。4対9で悔しい敗戦となったものの、7回以降は毎回得点で4点を返すなど“一矢を報いる”シーンも見られました。
「チャレンジャー」として挑む
慶應塾高は、この春の大会では吉野君がエースナンバーを背負っており、背番号「11番」を着けた小宅君を先発させた背景について森林貴彦監督は「吉野、加賀城は3月ごろから頑張っていたが、4月に入り少し状態が落ちていました」といい、小宅君についても「まだ練習量・仕上がりが4割程度」だと明かします。
それでも昨夏の甲子園で活躍した小宅君の「経験値」に期待しての先発起用。「5回を投げ切ってもらいたかった」と振り返りつつ、「守備も(2つのエラーなどで)未熟さが見られた。夏に向けてチャレンジャーとして挑みたい」と思いを語りました。
チームは、打線の1番から5番を担うなど、打撃については2年生を中心としたメンバーが活躍しているのが特色で、「誰もが中心となれる打者だと思い期待しています」と森林監督。
また甲子園でも活躍、やはり調整が遅れているという投手の鈴木佳門(かもん)君については、小宅君とともに、これからの“伸びしろ”に期待しているとのこと。
「敗戦の悔しさも感じたと思う。走・攻・守の総合力がないと神奈川では勝ち上がれない。“チームがだいぶ変わりましたね”と言われるように、あと2カ月半、短いが時間がないわけではないので、チームの変化を引き出していきたい」と7月に行われる夏の大会を見据えます。
慶應塾高の夏は「第2シード」として挑むことになりました。今回の敗戦を“糧(かて)”に一人ひとりの成長、そして勝利につながるチーム一丸となった取り組みに期待したいところです。
準決勝・決勝はCATVで中継
武相高校の出場が決まった横浜スタジアムでの準決勝は、ゴールデンウィーク中の5月3日(金・祝)10時から開催予定となっています。
対戦相手となる向上高校に勝利できれば、翌4日(土・休)12時から同スタジアムで行われる決勝戦へ進めることに加え、来月5月18日から群馬県で行われる予定の「関東大会」にも神奈川県代表(2校)として出場できることになります。
準決勝と決勝戦は、県内のケーブルテレビ(CATV)局で生中継される予定で、自宅などからも熱き声援を送りたいところです。
港北区内6校の「春季大会」における戦績
(※)各学校名の部分から「バーチャル高校野球」の戦績一覧にリンクしています(春の地区予選の結果は未掲載)。「川崎・横浜北地区」予選の結果は神奈川県高校野球連盟のPDFファイルに掲載されています
- 武相高校 vs 向上高校(県大会「準決勝」進出、5月3日試合予定)
- 慶應義塾高校 4-9 横浜高校(県大会「準々決勝」)
- 日大高校 1-8 日大藤沢高校(県大会「3回戦」)
- 港北高校:川崎・横浜北地区予選Aブロック4位(0勝3敗/勝点0)
- 岸根高校:川崎・横浜北地区予選Bブロック4位(0勝3敗/勝点0)
- 新羽高校:川崎・横浜北地区予選Jブロック3位(0勝2敗/勝点0)
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・【決勝戦】<春の高校野球>武相高校が「42年ぶり」優勝、声援も“歴史的勝利”を後押し(2024年5月5日)※リンク追記
・【準決勝】<春の高校野球>武相高校が40年ぶり「決勝」進出、関東大会にも出場決定(2024年5月4日)※リンク追記
・<高校野球・秋季県大会>武相は等々力で3回戦、慶應と日大も勝ち上がる(2023年9月12日)
・<高校野球>春センバツの夢厳しく、慶應塾高が秋の大会で「悔しい敗戦」(横浜日吉新聞、2023年9月25日)
【参考リンク】
・神奈川県高等学校野球連盟公式サイト(大会情報、観戦案内も)