初夏のような晴れ間が広がっているのに、鶴見川沿いのごくわずかな範囲だけは大雨に――。きのう(2022年)5月26日(木)、大倉山7丁目にある「港北水再生センター」の敷地内(太尾南公園付近)で“大雨”を人工的に降らせ、地面への浸透力を測るという実証実験が行われました。
横浜市環境創造局が公益財団法人日本下水道新技術機構(東京都新宿区)と共同で行った今回の実験は、「1時間あたり約70ミリ」という激しい雨を人工的に降らせることで、地下の雨水貯留機能の効果を確かめるもの。
港北水再生センターの敷地内で太尾南公園に隣接する空地には、プールによくあるシャワーの巨大版といった雰囲気の「人工降雨装置」を設置。
約100平方メートル四方の区画を4つ設け、地下に石を敷き詰めた「砕石貯留層(さいせきちょりゅうそう)」を設けたり、地表部に樹木を植えたりして条件を変え、5時間にわたって同時に激しい雨を降らせて、貯留量やオーバーフローする(あふれる)量、地盤への浸透量などをそれぞれ計測しました。
初夏のような晴れ間のなか、30年に一度程度の確率で発生する可能性があると言われるレベルの“人工雨”を降らせ始めると、降雨装置から数メートル離れていても風で“雨”が舞い、近くにいる人はかなり濡れてしまう状態。30分ほどで地面には水たまりが複数でき、ぬかるむようになっていました。鶴見川沿いの堤防道路では、不思議そうな面持ちで実験を眺める人の姿も。
今回の実験は、「グリーンインフラ」と呼ばれる土や木々といった自然の力を使った減災手法の導入時に役立てようとするもので、今後は梅雨の降雨時にも計測を行いながら、9月ごろに実験結果を取りまとめる予定とのことです。
この実験が行われた港北水再生センターは、大倉山7丁目の鶴見川沿いに約12万5000平方メートル弱(東京ドーム約2.7個分)の敷地を持ち、旧港北区(港北・緑・都筑・青葉)と神奈川区から排出された下水を24時間体制で処理している大型施設。
1966(昭和41)年に「菊名ポンプ場」との名称で開設され、1972(昭和47)年からは「港北下水処理場」として各種処理施設を次々と増設。2005(平成17)年には現在の施設名となりました。
汚水処理施設の上部(屋上)は新羽橋寄りに「太尾公園」、新横浜駅寄りには「太尾南公園」を設けて緑化し、保水力を高めているほか、敷地の地下深くには「新羽末広幹線」と名付けられたトンネル状の大型雨水貯留管があり、地上部との出入口が置かれています。
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【参考リンク】
・港北水再生センターの案内ページ(横浜市環境創造局)