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昨年(2016年)1月に樽町2丁目の「菖蒲(しょうぶ)園前」バス停(公園側)付近の地下に埋められた水道管のバルブが破損し、水が道路上にあふれ出した漏水被害では、復旧に1年以上の時間と約3億5000万円の費用がかかり、原因究明にも1年近くを要するなど、大きな影響を与えていたことを横浜市水道局が明かしました。

横浜市内を一周する全長約70キロの水道管網「大環状線」は樽町を通っており、影響を与えることに(「横浜市水道局の震災対策」より)

先月(9月)15日付けで横浜市会「水道・交通委員会」に提出された資料によると、漏水は2016年1月22日の朝5時に発生し、4日間にわたって道路上へ水があふれ出たといいます。

水道管に接続されたバルブにひび割れが起きたことから水が漏れ出たもので、このバルブは横浜市内を一周する全長約70キロの水道管網「大環状線」から分岐した管に設置されていました。

破損したバルブは太い水道管(180センチ)から分岐して設けられたものだった(水道局の市会提出資料より)

水道局はバルブの応急措置を行ったものの、水が止まらなかったことから、バルブの交換を決意。作業を行うためには、大環状線を成す“幹線水道網”の一部を断水しなければならなかったことから、樽町や大倉山、大豆戸町、綱島、高田、箕輪町といった区内周辺部だけでなく、鶴見区や都筑区にいたる約13万戸で給水ルートが変わり、水が一時的に濁るなどの影響が出ることになったものです。

今回のバルブ破損について、水道局は学識経験者から成る委員会を設置し、昨年9月から原因究明を開始。バルブの強度は基準に適合していたものの、菖蒲園前バス停付近は軟弱地盤だったため、水道管の沈下が見られたといいます。バルブ自体には沈下防止の杭が打たれていたことから、接続している水道管との高低差が生まれ、バルブが破損したものと推定しています。

軟弱地盤により管が沈下し、杭の打たれたバルブとの差により破損したと推定されている(水道局の市会提出資料より)

本来、こうした条件で水道管とバルブをつなぐ際は「伸縮管」と呼ばれる管を設置する必要が指摘されていましたが、1969(昭和44)年と1979(昭和54)年に工事が行われた際には、「検討がなされず、見落としに近いものがあった」(水道局)。水道局は市内で使われているバルブ4282基を新たに調査するなどの対応に迫られました。

樽町2丁目のピンポイントな場所で起こった一つの漏水は、その場で目に見える被害だけにとどまらず、“地下”の見えないところで区内外に大きな影響を生じさせることになっていました。市内の地下には約9200キロもの水道管が張り巡らされているだけに、少しの被害に見えても、見過ごしてしまうと大変なことになりかねないようです。

【関連記事】

樽町の漏水被害、本格復旧へ8月中に高田・綱島・箕輪町の約4000世帯で影響も(日吉新聞、2016年6月25日)

【参考リンク】

港北区樽町におけるバルブ破損の原因と今後の対策についてPDF、横浜市会「水道・交通委員会」提出資料、2017年9月15日)

港北区におけるバルブからの漏水の復旧に向けた給水ルートの変更作業について(横浜市水道局、2016年6月発表)