横浜市初の「区民文化センター」ネーミングライツ締結式で、オープンカフェによる賑わい創出や自動運転によるモビリティ構想も示されるなど、“都筑区の未来”に向けたチャレンジが大きな注目を集めそうです。
横浜市都筑区は、2024年度末(2025年3月末)までにオープンを予定している「都筑区民文化センター」について、きのう(2023年)6月29日(木)午前、区内に事業所拠点を置く「ボッシュ(BOSCH)」の日本法人・ボッシュ株式会社(東京都渋谷区)と「ネーミングライツ」契約を締結。
2025年1月から2035年3月末までの10年3カ月間、「区民文化センター」としては横浜市では初めての契約として、愛称を「ボッシュホール(英語名:Bosch Hall)」とすることを都筑区役所(都筑区茅ケ崎中央)での「ネーミングライツ契約締結セレモニー」で披露しました。
この日は横浜市の山中竹春市長や都筑区の佐々田賢一区長、ボッシュ社からクラウス・メーダー社長やプロジェクトを手掛ける下山田淳シニア・ゼネラル・マネージャーらが出席。
山中市長は冒頭部、そして去り際に「英語」であいさつを行い、またボッシュのメ―ダ―社長も終始「日本語」で会見やプレゼンテーションに臨みました。
会場には両者の“友好的”な雰囲気が漂い、緊張感の中にも穏やかな「信頼関係」に導かれたかの場を創り出していました。
建設工事は“順調”、竣工は「2024年9月」の見込
横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン「センター北駅」から徒歩約3分ほどの線路沿いに立地する同ホールは、地上4階、地下1階建て。延床面積は約3943平方メートルで、約300席のホールとリハーサル室、ギャラリーを併設。
2018(平成30)年に同区民文化センター整備の条件付で土地活用の事業提案型公募を実施し、決定したボッシュ社を代表企業とするグループによって整備が進められてきました。
事業のスタート当初は2023年度中の開館を見込んでいましたが、その後、2024年9月の建物の竣工予定として変更。きのうのセレモニーの席上では、竣工予定を「2024年中(12月末まで)」としたものの、工事は順調で予定通り9月に完成する見込みとのことでです。
「横浜」や「都筑区」の発展に期す“ボッシュ社”の思い
セレモニーでの会見で、山中市長は、「ボッシュは112年前の1911(明治44)年に横浜で日本の事業をスタートされました。1990(平成2)年にはここ都筑区に大型の研究開発施設(横浜事業所、牛久保3)を設立され、来年はさらに都筑区民文化センターの隣に新たな研究施設を作り、また本社機能も渋谷区から移転いただく(予定である)など、今後も大変長きに横浜経済の発展を支えていただけるものと思っています」と、同ホールに隣接し建設中のビルに本社を渋谷から移転する予定だという同社の“英断”を称(たた)えます。
メ―ダ―社長は、「ボッシュは横浜でビジネスをスタートしました。都筑区には30年以上前から研究開発施設があります。ボッシュにとって横浜はとても大切な場所。ボッシュは都筑区が今以上に活気のある街になるように貢献していきます」と語ります。
都筑区周辺の業務・生活環境についても「満足しています。インフラはいいし、ドイツ学校(東京横浜独逸学園=茅ヶ崎南2)も近い。いろいろなイベントもあるし、東京へ行かなくても(大丈夫)。そういう場所ですね。皆、ここで働くことが好きです。(本社移転を)非常に楽しみにしています」と、多くの社員や家族が日々過ごす都筑区への想いや今後の期待感についても披露していました。
オープンカフェで“賑わい創出”、未来描く「モビリティ」構想も
ボッシュ社は、新本社1階に新設予定だという、ボッシュ社の創業年を冠したカフェ「café 1886 at Bosch(ボッシュカフェ)」の設置や、カフェから続く同本社内の多目的スペースなどを開放すること、週末には同時通訳ブースや大型モニターを常設した約250名が収容できる大会議室や、中・小会議室など会社施設の一部を都筑区民に有料で貸し出す方針であることについても新たに公表しています。
また、地域振興のための一つのアイデアとして、新本社ビルと同ホールの間にある約1000平方メートルの広場などを「(同じヨーロッパの)パリのようにオープンカフェにしてイベントと連動するなど盛り上げたい」とメ―ダ―社長。
牛久保の研究開発施設との間、約2キロメートルほどの距離の間に、「ボッシュが持つノウハウとして自動運転のシャトルバスを走らせたい。運転手がいない“動いている会議室”として、安心・安全に運行できる構想を実現できれば」と、オープンして後“5年はかかる”としながらも、自社の技術を用いての“自動運転モビリティ構想”についても、熱くその想いを語ります。
世界的には、自動車部品のみならず、家電や電動工具など幅広い一般顧客向けの商品も扱っているといい、「都筑区、このエリアは、将来“未来的な場所”になります。ボッシュ社にとって日本はとても大切な国。もっとボッシュのことを皆さんに知っていただければ」(メ―ダ―社長)と、横浜市や都筑区周辺エリアが、今以上に“活気のある場所”になるための地域貢献にも尽力していく考えです。
グリーンラインやブルーラインで結ばれている港北区などの周辺エリアからも、「ボッシュホール」や周辺の動向に熱き視線が注がれていくことになりそうです。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です
【関連記事】
・都筑区「ボッシュ本社」が完成披露、40カ国の2千人勤務、カフェもオープン(2024年9月11日)※リンク追記
・セン北「区民文化センター」建設は“順調”、プレ演奏会やドイツ楽しむイベントも(横浜日吉新聞、2022年12月3日)
・セン北でも始まった「区民文化センター」の建設、独企業が新本社と併設(横浜日吉新聞、2022年2月28日)
【参考リンク】
・「都筑区民文化センター」ネーミングライツ契約を締結しました!~愛称は「ボッシュ ホール(英語名:Bosch Hall)」(横浜市記者発表資料~都筑区地域振興課)※「区民文化センター」のネーミングライツは市内初となる
・ボッシュ、横浜市と「都筑区民文化センター」のネーミングライツ契約を締結~愛称は「ボッシュ ホール(英語名:Bosch Hall)」に決定(ボッシュ株式会社)
・café1886 at Bosch(ボッシュカフェの公式サイト)
・人と人が繋がる“場”を創る ―130年の歴史を持つドイツ老舗企業がカフェに込めた想い(同)※下山田淳シニア・ゼネラル・マネージャーがカフェを立ち上げた経緯など