新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト

横浜市は市の公式Webサイトのリニューアルが大幅に遅れている問題で、当初委託した東京都千代田区のシステム開発事業者が市側に「4553万4600円を支払う」との和解案を受け入れる方針を今月(2018年3月)14日の横浜市会に示しました。

市の公式Webサイトはスマートフォンに対応していないだけでなく、管理されていない古いページが大量に残っているという(2017年10月、「横浜市ウェブサイト再構築業務委託 業務説明資料」より)

市は当初、Webサイトをスマートフォンに対応させるなどの全面リニューアルを2016年3月までに終える計画として、今回提訴した事業者に業務を発注。2014年9月ごろから作業が始まったものの、翌年12月には技術的な問題が発生し、1ページを表示するのに6秒もかかってしまう事態に陥りました。

事業者側は市に設計変更や費用追加を求めたものの、市側が認めなかったことから紛争状態となり、市は昨年3月に事業者に対し1億7212万4073円の損害賠償を求め、横浜地方裁判所に提訴していたものです。

今回の和解について林文子市長は、14日に開かれた横浜市会で「全額賠償に至らない金額で和解することとなり、大変申し訳ない」と陳謝し、裁判所から早期に解決するよう勧告があったことや、訴訟の長期化でさらに経費増が懸念されるため、和解を受け入れたと説明しました。

事業者を提訴するまでの経緯(2016年12月に横浜市会へ提出された資料より)※クリックで拡大

これに対し、市会からは「事業者に支払った3700万円のほか、並行して他の事業者に委託したデータ作成費用のうち再利用できなくなった分などを含めると、本市としての損害額は実は9800万円にもなるようで、これは税金で充てられる。(市は)十分に反省すべきだ」(民進党)、「(当初の)Webサイトの再構築プロジェクトで本市が支出した総額は1億7800万円にものぼる。1億円以上もの損失の責任は誰が取るのか」(共産党)などの声が上がりました。

一方、市は再構築に関するコンサルティング業務をピースミール・テクノロジー株式会社(東京都中央区)に8424万円で、Webサイト構築を日立製作所横浜支社に4億6796万円でそれぞれ新たに発注しており、来年(2019年)3月末の一部リニューアル公開に向けて「おおむねスケジュール通り進んでいる」(林市長)といいます。

市会からは「横浜市の他のシステムを手掛けた実績のある企業へ委託が決まったが、安定を求めるあまり、能力や意欲のある市内中小企業が受注する機会を奪うようなことがあってはならない」(自民党)という要望もあがっていました。

【関連記事】

横浜市公式サイトのリニューアルは2020年3月までに、市と業者が紛争し4年遅れ(2016年12月7日)

スマホで“超”見づらい横浜市の公式Webサイト、リニューアルできない驚きの理由(2016年9月17日、これまでの経緯)

【参考リンク】

市第179号議案「保全異議申立事件についての民事保全法に基づく和解」についてPDF、横浜市、2018年3月14日)

横浜市ウェブサイト再構築業務委託 業務説明資料PDF、横浜市市民局、2017年10月)