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グルメレポート 新横浜・菊名・大倉山【グルメレポート第16回:2017年4月3日「新横浜1丁目・岸根エリア編1」】高層の駅ビル真正面に位置する新横浜2~3丁目がオフィス街然としているのに対し、横浜線の“向こう側(岸根寄り)”にある1丁目は住居と商業とオフィスが混在し、街の奥深さを感じられるエリア。そんな一画にある山小屋風の「手打ちそば・カレー店」へ行けば、オフィスビルで整然とした新横浜とは思えない魅力の一端を味わえるはずです。

横浜線の線路を岸根側に越えないと新横浜1丁目へは行けない

新横浜1丁目は、新幹線駅側から見て“横浜線の外側”に位置する一画で、線路によって街が明確に区切られています。同線路には踏切がないため、駅から歩いて1丁目へ行くには線路下の狭い横断道をくぐるか、少々面倒な環状2号線脇の歩道橋を上るか、それとも駅の篠原口側から新幹線高架横を抜けて辿り着くか、訪れるには若干の手間が必要です。初めて訪れた人なら迷ってしまうかもしれません。

オフィスビルが中心の2~3丁目とは異なり、1丁目にはマンションを中心に3773世帯・6763人が住んでおり、新横浜を代表する居住エリアとして、今もマンション建設が盛んです。一方でマクニカ・富士エレホールディングスやユニプレス、日総工産といった複数の著名企業も本社を置いています

工場や低いビルも散見される新横浜1丁目

倉庫や低いビルも散見される新横浜1丁目

もう一つの特徴は、新横浜に13ほどある「ラブホテル」のほどんどが1丁目に位置していること。マンションとオフィスビルとラブホテルが混在するという街並みながら、大都市の繁華街のように荒れた様子も大きな違和感も感じられないのは、絶妙なバランスでさまざまな用途の建物が並んでいるためかもしれません。新横浜2~3丁目が東京駅前でいう「丸の内」だとしたら、1丁目は「八重洲」といった雰囲気です。

そんなエリアの新幹線高架沿いにあるのが「そばの陶芸館」という一風変わった手打ちそば店。住所は岸根町ですが、新横浜1丁目で昨年まで営業していた一戸建ての料理店「貴志膳」の目の前。“限りなく新横浜1丁目”という位置で、駅から10分程度歩けばたどり着けます。

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建物の背後には山が迫っている

山にへばりつくように建つ大きな屋敷を使った陶芸工房「十八花」(新横浜陶芸教室クラアート21)の一部を使って営業するそば店は、付近の地主でもある主人がそば打ちを始めたことを契機に開店したとみられる比較的新しい飲食店です。どこか寺社仏閣にさえ見える建物のため、「本当にそば屋なのだろうか」と入るのに躊躇してしまいそうですが、“山門”をくぐり、建物内の階段を上がると、黄色い照明が暖かい木目調の部屋が現れます。ここが店舗です。

山小屋カレーと手打ちそば(ハーフ)のセットは税込900円

山小屋カレーと手打ちそば(ハーフ)のセットは税込900円

主人が打つ「そば」(もり・かけ税込700円、ざるは750円)に加え、もう一つの名物が「山小屋カレー」(同500円)と名付けたカレーライス。そんなカレーと半そばのセットは同900円。店主の思いが詰まった手打ちそばも味わい深いのですが、カレーもなかなかの一品なのです。

カレー専門店のような個性はありませんが、日本人ならどこかほっとさせられるスタンダードな味なのに、食後には少し辛さが染みてきます。山小屋カレーと名付けられている理由に納得。登山する前に食せば力が湧いてきそうです。

本当に山小屋のような雰囲気のある「そばの陶芸館」

本当に山小屋のような雰囲気のある「そばの陶芸館」

また、店の横に迫る自然の雑木林も山小屋感を醸し出しており、新横浜にいることを忘れてしまいそう。オフィス街から至近なのに自然に囲まれた環境は、周辺で勤務するビジネスパーソンにうけているようで、ランチタイムは満員。外国人の姿も目立ちます。4人掛けのテーブルが6つ並んだ山小屋風の店内以外にも7~8人が入れる「団体専用」の部屋も別にあり、同僚と和やかにそばを食する様子も見られます。

東京都心や横浜中心部のオフィス街では決して真似できないであろう山小屋そば・カレー店。今も自然が残る新横浜の奥深さを思い知らされました。

  • 新横浜&周辺エリアのグルメレポートは記者が個人的に訪れているなかで、「ここは!」というお店についての情報を紹介するとともに、個人としての所感を述べていく連載です。バックナンバーはこちら。なお、日吉・綱島・高田エリアの記事は「横浜日吉新聞」をご覧ください。

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もう一つの新横浜駅、篠原口のレトロな2店で「ちゃんぽん」と「唐揚げ」を味わう(2017年2月13日)

新横浜1丁目の割烹「貴志膳」が閉店、ビルに囲まれた2階建ての木造建築(2016年8月9日、同店の目の前)

【参考リンク】

そばの陶芸館(「食べログ」のページ)

「そばの陶芸館」など工房十八花の公式サイト

新横浜から新幹線沿いに陶芸教室?手打ちそば?のお店(「はまれぽ」2014年2月16日記事、敷地内には洞窟があることをレポート)

写真が語る沿線「城郷の情景、昔と今Ⅱ」(とうよこ沿線、「写真右上の家が新幹線高架下に当たり、解体に」の部分に陶芸工房の経緯と写真あり)