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スマートフォンの画面で見た横浜市公式ホームページ、リンクをタップするのは至難の業

スマートフォンの画面で見た横浜市公式Webサイト、リンクをタップするのは至難の業

月に2000万ページ以上が読まれているという横浜市の公式Webサイト。生活情報から手続きの案内、イベント紹介まで内容は盛りだくさんですが、未だスマートフォン(スマホ)には対応しておらず、その見づらさは“一級品”。外部の有識者からも「分かりづらくて知りたい情報にたどりつけない」と再三にわたって指摘されており、市も一昨年ごろから2年の月日と2億円以上の予算をかけてリニューアル作業を開始。今年(2016年)3月までには晴れて新Webサイトが立ち上がるはずでしたが、9月なのに何も変わってないのはなぜ――。

今月(9月)13日(火)に行われた横浜市会の「市民・文化観光・消防委員会」では、横浜市がWebサイトのリニューアルができていない理由を初めて明かしました。

それによると、システム設計を委託した事業者がWebサイト内にある14万ページという膨大な情報量を適切に処理できないことがわかり、作業がストップしているというのです。

横浜市港北区のホームページもやはりスマホに対応していない

横浜市港北区のWebサイトもやはりスマホに対応していない

市側の説明によると、昨年12月にリニューアル作業を委託している事業者側から「技術的問題が発生し、1ページを表示するのに6秒もかかってしまう。完成までの期間を延長してほしい」といった申し出があったといいます。

作業期間の延長に両者が合意し、再スタートしたものの、年度末になっても技術的な問題は解決せず、事業者側は「費用を追加したうえで、設計を変更させてほしい」と要請。横浜市は「設計変更してしまうと、当初目的が達成できない」と拒否したことで話がこじれ、互いに弁護士を立てて話し合うほどに泥沼化

ホームページの刷新に向けてはさまざまな議論を続けてきた(横浜市の資料より)

Webサイトの刷新に向けてはさまざまな議論を続けてきた(横浜市の資料より)

事業者側は「作業が遅延した原因は横浜市にある」といい、横浜市側は「(事業者の)システム設計に瑕疵(かし)があった」と主張。現在は契約解除へ向けて、両者の弁護士間で話し合っている状況だと説明しました。

システム開発費だけで1億1400万円もの税金を投じたうえに、委託事業者との紛争という“無駄な仕事”まで抱え、市民には見づらいままのWebサイトを強いることになってしまった横浜市。市会の場では、各議員が原因を追及するというよりも、若干あきれ気味に「市として、そんな体制で大丈夫なのか?」といった趣旨の質問が目立っていました。

真っ先に開設した先駆者ならではの苦悩

ただ、これほどまでに散々な状況にまで陥ったのは、横浜市ならでは「先駆者の苦悩」という側面も見逃せません。

現在、主なものだけでも「ホームページ内ホームページ」は40以上ある。このなかでは交通局のページがもっとも見られているという(横浜市ホームページより)

現在、主なものだけでも「Webサイト内サイト」は40以上ある。このなかでは交通局のページがもっとも見られているという(横浜市Webサイトより)

市は日本でインターネットがほとんど普及していなかった1995年の時点で、すでにWebサイトを開設しています。その後も市民への情報公開を積極的に進めた結果、情報量が爆発的に増えていきました。373万人を抱える日本最大の自治体のため、情報の数もそれだけ多くなってしまいます。

また、情報公開の流れが加速するなかで、港北区など18の区と交通局など25以上の部局がそれぞれ情報発信を行うために、“サイトのなかに別のサイト”が次々と誕生。情報が重複してしまう“無駄”が出るだけでなく、一元的な管理が難しい状況に陥ったとみられます。

管理ができないなかでも、発信される情報量だけは年々増え続け、今では横浜市のWebサイト内には14万のページが存在。このうち10万ページは、どこからもリンクが貼られていないため、ほとんど見ることができない状態だといいます。ある有識者はこの状況を「情報の森のなかに“けもの道”しかない」と評しています。これを一から作り直すのは、かなり大変な作業であることが想像されます。

市が年々肥大化するサイトの管理に手間取っているうちに、スマホの普及などテクノロジーの進化が急速に進展。パソコンの普及初期に作った横浜市のWebサイトは、誰も手を付けられない“骨董品”のようになってしまったのかもしれません。

日本一の大規模自治体は、インターネット初期に自治体の情報発信を先導したように、今回も手本となるようなWebサイトを作ることができるのでしょうか。しばらくは横浜市の苦悩が続きそうです。

※この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

【関連記事】

横浜市公式サイトのリニューアルは2020年3月までに、市と業者が紛争し4年遅れ(2016年12月7日、本記事の続報)

来年3月の開業へ向け「横浜北線」のWebサイト一新、工事説明から開業PRの段階に(2016年09月16日、インパクトのあるデザインに)

【参考リンク】

横浜市ウェブサイトの再構築のスケジュールとこれまでの経緯PDF、2016年12月12日、横浜市会に提出された資料より)

横浜市会「市民・文化観光・消防委員会」(2016年9月13日、「横浜市ウェブサイト再構築の取り組み状況について」のやり取りは映像の1時間30分過ぎ~56分ごろ)

横浜市Webサイト再構築要件定義及び設計業務委託の入札について(2014年8月、「設計図書」に細かな委託内容が書かれている)

平成27年度 第1回横浜市広報企画審議会(横浜市、2015年9月2日に開催、ホームページのリニューアルに関する議論が行われている=会議録参照)

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