新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト

Sトレインは元町・中華街駅から西武秩父駅まで約110キロを結んでいる。平日は通勤列車として所沢と豊洲間で運転(西武鉄道の「Sトレイン」紹介ページより)

今年(2017年)3月、みなとみらい線と東急東横線、東京メトロ副都心線を経て埼玉県秩父(ちちぶ)市西武秩父駅を結ぶ「S-TRAIN(Sトレイン)」が誕生しました。

横浜中心部から秩父まで、4つの鉄道会社を横断して110キロ余を走り抜ける観光列車は、横浜や川崎に住む人には身近とは言えなかった埼玉の著名観光地をぐっと近づける存在となりつつあるようです。先週の日曜日(8月6日)、Sトレインに乗って秩父を訪ねてみました。

Sトレインは元町・中華街駅から西武秩父駅までを結ぶ全車指定席の列車で、土休日のみ運転されています。みなとみらい線と東横線では、みなとみらい横浜、自由が丘、渋谷の4駅にしか停まらないため、港北区民としては乗りやすいとは言えないのですが、いったん横浜駅まで行き、折り返す形で乗車することにしました。

以下、写真でレポートします。

Sトレインは全て指定席となっているため、乗車券(ICカード)とは別に事前に指定券(横浜から秩父まで1060円)を購入しておくことが必要です。東横線の駅にある自動券売機で買えるほか、横浜駅のホームにも専用販売機が置かれています。指定券に関する詳細記事はこちらもご覧ください

(※)なお、「Sトレイン」指定券のインターネット購入は西武鉄道のチケットレスサービス「Smooz(スムーズ)」を通じても可能ですが、クレジットカード番号の登録や、いったん1000円単位の「ポイント」を購入しなければならないなど、若干面倒です。一方で指定席の号車指定をできるメリットも。

Sトレインの横浜駅出発は7時9分、休日の朝としては若干つらいのですが、その分、秩父で長く滞在できます。それにしても、「西武秩父」や「小手指(こてさし)」など、東横線の列車案内板とは思えない駅名が並んでいることに驚きを感じます

発車の2分ほど前に「Sトレイン」が横浜駅に到着します。東横線ではあまり見かけない西武鉄道の新型車両です

車内は2人掛けのシートが並んでいて、向かい合わせにすることもできます。ただ、リクライニングしないのと、窓がない(遠い)席があるので、心配な方は停車駅の窓口で直接相談の上購入したほうが良いかもしれません

なお、この電車は各車両に4つのドアがありますが、常に開くのは1カ所だけなので、それ以外のドア部分はベビーカーを置くにも最適。車内には空きスペースが多いので窮屈さがなく、特に小さな子どもと乗るのに適している気がしました

4号車にはおむつ交換シートも備えたトイレがあるので、秩父まで2時間あまりの乗車でも安心です。ただし、自動販売機はないので、飲料などは乗車前に購入を

横浜駅を出ると、無情にも自由が丘まで止まりません……

あっという間に菊名駅を通過、と思ったら、ドアを開けずにいったんホームに停車した後に出発。武蔵小杉や中目黒でも同様で、通過となっていても特急停車駅では列車を止めるというルールがあるようです。それなら菊名ではドアを開けていただいたほうが……

綱島駅を容赦なく通過すると、右手には再開発地「綱島SST」で建設中のスーパー「アピタテラス」の姿も

日吉も当然通過、相鉄直通線との乗り換え駅となった際は停めてくれますように……

先頭となる1号車はみなが集まる“簡易展望車”状態です

ちなみに反対側の10号車は広いフリースペースが設けられていて、途中の飯能(はんのう)駅からは進行方向が変わって先頭となります

渋谷駅には7時35分に到着。東横線内では座席の3割ほどしか埋まっておらず、東横線の沿線ではまだまだ知名度が低い様子です。その分、空いていて快適でした

車内のいたるところにモニター画面が付いているのですが、同じCMやニュースが繰り返し流れていてあまり面白くはありません。地下区間で車窓が見えなくなると、子どもたちからは「アニメでも流してくれればいいのに」との声も

車内では西武鉄道独自の無料Wi-Fiサービスも提供されており、メールアドレスを登録すればほぼ無制限で使えます。なお、座席の足元にはコンセントがあるので、充電も可能です

副都心線の池袋駅へは7時49分に到着。降りることはできますが、ここから乗ることはできません。秩父方面へ行くなら西武鉄道の池袋駅から乗ってください、ということかもしれません(副都心線の池袋と西武池袋は少し遠いのが難点なのですが)

渋谷駅の手前からずっと地下(副都心線)を走ってきましたが、練馬駅からは再び地上に出て車窓を楽しむことができます

所沢駅を8時18分に出ると、途中の武蔵藤沢と稲荷山公園という駅の間は広大な「航空自衛隊入間(いるま)基地」の中を走るため、めずらしい車窓が広がります

横浜駅から約1時間半かけて、8時37分に飯能(はんのう)駅に到着。進行方向が変わるため3分間の停車です。終点の秩父まではあと35分

飯能を出ると車窓に山河が広がってきて、遠くへ来たことを実感させられます

線路が1本だけの「単線」なので、反対方向の特急「レッドアロー」も駅で待たせて秩父へ急ぎます

横浜駅から2時間16分、終点の「西武秩父」へは9時15分に着きました。ホームでは早速列車を前に記念撮影会。乗客の入れ替わりが少なかったため、“東横線からの秩父観光ご一行専用列車”に乗ってきたみたいで快適でした

こちらが「西武秩父」駅、街の中心部にある「秩父駅」(秩父鉄道)とは少し離れています。ちなみにパスモ(ICカード)運賃は横浜駅から1244円なので、チャージ不足にはご注意を

西武秩父駅には直結する大きな土産店と日帰り温泉「祭の湯」があります。温泉は10時からしか開いていませんので、先に観光に出かけた方が良いかもしれません

なお、帰路の「Sトレイン」は西武秩父駅を17時5分に出発し、自由が丘には19時6分、横浜へは19時28分に着きます。駅の温泉でひと風呂浴びた後、駅弁や秩父の地酒などを持って乗り込んでみてはいかがでしょうか

秩父や長瀞(ながとろ)など周辺観光地のレポートはこちらに続きます

【関連記事】

<東横線>3/25(土)から「秩父直通」の観光列車、横浜~自由が丘間は通過(2017年1月11日)

<レポート>西武鉄道が最注力する観光地「秩父」、東横線沿線から身近な存在に(2017年8月12日)