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横浜市が公開する「市民の声」のなかで、定期的に登場するのがJR横浜線の小机駅周辺に関する内容です。今年(2016年)8月の内容では「小机駅周辺の開発が一向に行われないのはなぜでしょうか。周辺環境の改善をお願いします」といった意見が出ていました。

JR横浜線の小机駅は日産スタジアムの最寄り駅

JR横浜線の小机駅は日産スタジアムの最寄り駅のため、大型の駅舎も整備されている

これに対し、横浜市の都市整備局は、「豊かな歴史や自然が息づいている地区」「小机駅を含む城郷地域は新横浜都心の一部として位置付けられており」などとの環境を説明したうえで、「現在、具体的な計画は予定しておりませんが、今後の駅周辺における周辺状況の変化により、まちづくりの計画を検討することとなります」との回答を示しています。

つまり「今は大規模なまちづくり(再開発)は予定していない」というのが答えということになりそうです。

とはいえ、小机駅の付近では「再開発」が行われていないわけではありません。「横浜上麻生線 整備事業(小机駅南口地区)」という開発事業が2002年から存在しています。

小机駅前は広いものの、特に何かが整備されているわけではない

小机駅前は広いものの、特にバスロータリーなどが整備されているわけではない

これは小机駅南口(日産スタジアムと反対側)の駅前を通る県道「横浜上麻生線」(バスなどが通る道)を整備する一環として、小机駅前広場を拡幅することで、道路と直接つなげてしまおうという計画です。理由として市は「当該区間は横浜国際総合競技場(日産スタジアム)の最寄り駅に位置し、競技場でのイベント開催時には多くの乗降客が見込まれることから、駅利用者の利便性・安全性を高め、交通の円滑化の向上を図る」ことをあげています。

ところが、開始から14年経った今も完成する様子が見えてきません。横浜市の資料によると、2002年から4~5年は用地取得などの動きがあったのですが、以後は「用地取得率72%、事業進捗率は34%」といった状況で止まったまま。毎年のように港北区の「今年度実施する事業」の予定には登場するものの、今年も目に見える動きは今のところありません。

市が取得した用地には実施の看板が建てられているものの、完成年の部分は消えている

市が取得した用地には実施の看板が建てられているものの、完成年の部分は消えている

2011年の資料によると市は、「本地区は駅前であるため、関係権利者の要望する移転先の確保が難しく、用地交渉に時間を要しています。また、関係地権者より計画再検討の申し入れを受けています」との現状を書き残しています。

小机駅の開発予定地では、「街路事業のお知らせ」といった看板が建てられています。ところが「事業期間」と書かれた部分は幾度も修正が重ねられた跡が残り、終了予定日が「平成2○年3月31日」と、年号の下一桁は欠けていました。

本来は今年度(2016年度)で終わるはずでしたが、駅前再開発はもうあきらめてしまったのでしょうか。平成31年となる2019年には、日産スタジアムでも行われるラグビーワールドカップなどの大型イベントを控え、今は使われていない空地の活用が期待されます。

【参考リンク】

横浜上麻生線(小机駅南口地区)(横浜市道路局、開発の概要)