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「初対面」なのに連携プレーで“還付金詐欺”を防いだ松尾洋介さん(左)、金澤雄一さん(右)に感謝状が送られた

「初対面」なのに連携プレーで“還付金詐欺”を防いだ松尾洋介さん(左)、金澤雄一さん(右)に感謝状が送られた

「見知らぬ者同士」の男性2人の勇気ある声掛けが高齢者を騙(だま)す詐欺をストップしました。神奈川県警港北警察署(大豆戸町)は、先月(2017年5月)30日、東急東横線妙蓮寺駅近くの銀行ATMにて、還付金詐欺を仕掛ける相手からの誘導により、高額の金額の入金を行おうとしていた70代女性(神奈川区在住)に声をかけ、入金直前にてATM操作を中断させることに成功した2人の男性への感謝状の贈呈式を昨日(6月)22日に同署にて行いました。

高齢女性のATM操作をストップさせたのは、仕事帰りにこの場所に立ち寄ったという神奈川県民ホール(中区)職員の松尾洋介さん、妙蓮寺駅前の学習塾「英才個別学院妙蓮寺校」(菊名1)教室長を務める金澤(かなざわ)雄一さん。金澤さんがATM操作をしている際、既に隣のATMで通帳を並べ電話をしながら機械に向かう女性を「おかしいな」と感じたといいます。

港北警察署の牧智明署長(前列左)、鈴木純一副署長(同右)らと記念撮影。生活安全課の箕輪裕治課長(奥左)は「2人の声かけこそが詐欺を防いだ」とその勇気を称(たた)える

港北警察署の牧智明署長(前列左)、鈴木純一副署長(同右)らと記念撮影。生活安全課の箕輪裕治課長(奥左)は「2人の声かけこそが詐欺を防いだ」とその勇気を称(たた)える

女性に先に声をかけたのは、女性の後ろに並んでいた松尾さん。やはり通帳を不自然に卓上に並べ、電話で敬語も使わず女性が相手と会話しながら右往左往(うおうさおう)している様子に、同じく「変だな」と感じたといいます。

金澤さんが用を済ませ、先にこのATMからを立ち去ろうとした時、それでも女性の様子が気になりふと振り返った瞬間、松尾さんと目が合ったとのことで、「松尾さんとのこのアイコンタクトがなければ、このお互いの“目配せ”がなかったならば、女性に対し止めに入ることはなかったかもしれません」とその一瞬の、緊迫した瞬間を振り返ります。

言わないで後悔するよりも、言って後悔したかった」と松尾さん。女性に勇気を振り絞り(電話で)お話しされているのは、お知り合いですか」と声をかけたところ、電話の相手は知り合いではないという回答。

さらに松尾さんが続けて「どのような内容の電話ですか」と聞くと「お金が戻ってくる」と女性。「代わりに(私が電話を)架けましょうか」と言うと、そのやりとりの間に、電話先の詐欺の容疑者はこの状況を察知し詐欺を諦めたのか電話を切ったといいます。女性がATM操作に手間取ったことも幸いし、結果的に金銭を振り込むことを阻止することに成功したのです。

感謝状の贈呈式が行われた港北警察署

感謝状の贈呈式が行われた港北警察署

同署生活安全課の箕輪裕治課長は「今多く騙されてしまう方は70代以上の女性が多い」と、その被害の傾向について分析します。「一人で居る時、銀行が開いている時間帯は特に狙われてしまいがち」との傾向があり、「特に女性は“わが子”を名乗る犯人に母性からか情が移り騙されてしまうことが多いんです」と、平日の日中一人でいる女性が狙われていることに警鐘を鳴らします。

今回の犯人も「わざわざ無人のATMを指定してきた」(箕輪課長)とのことで、客観性を失った状況下を狙い打ちしてくるのか、「(今回の被害者の)女性は声をかけた後も、少し時間が経った後も、終始“実感がない”様子でした。“私は絶対ひっかからないと思っていた”と話していたのですが」と松尾さんも女性が「騙されたことを認識できない」当時の様子を振り返ります。

「詐欺ストップ」の舞台となった東急東横線妙蓮寺駅にもほど近い銀行ATM。犯人は敢えて「無人」のこのATMを指定してきたという

「詐欺ストップ」の舞台となった東急東横線妙蓮寺駅にもほど近い銀行ATM。犯人は敢えて「無人」のこのATMを指定してきたという

還付金詐欺の手口は、電話で「還付金があるという案内ハガキを送りましたが、届きましたか」といった内容から入ることも多いといい、「相手はプロ。息子に孫、警察や役所の担当者など、様々な役の登場人物が現れて、すっかり電話口で一人きりになった相手を信じこませてしまいます。電話で【お金・ATM・キャッシュカード・暗証番号】のいずれかのキーワードが出てきたら、詐欺を疑って一旦電話を切ってください」と箕輪課長。

息子を語る<オレオレ詐欺>や、還付金があります、と公的機関を名乗る<還付金詐欺>、融資を希望する事業者や個人に逆にお金を振り込ませる<融資保証詐欺>、そして架空の請求をインターネットなどで行う<架空請求詐欺>の4つの詐欺の被害を総称しての「特殊詐欺」では、最近ATMを使用せず直接現金「受け子」に受け取らせる手口や、結局は海外からの犯行で足取りも全くたどれなくなってしまうネット詐欺も増えているといいます。

金澤さんが教室長を務める妙蓮寺駅前の英才個別学院妙蓮寺校

金澤さんが教室長を務める妙蓮寺駅前の英才個別学院妙蓮寺校

今年の港北区内の特殊詐欺の被害件数は6月21日時点で34件(うち2件は未遂)、被害額は約8165万円となるなど、特に件数は昨年を上回るペースで増えており、約30件は阻止にも成功していますが、犯人検挙はわずか5件、計4名に留まっているとのこと。

今回の感謝状の授与を受け、「声かけをするには勇気も要りましたが、これからもまた機会あれば、“周りの人”として接し、声をかけ、地元の皆さんのお役に立ちたい」と、松尾さんと金澤さんはこれからの抱負を語ります。

「面識がない」高齢者を助けた「初対面の」両名の勇気が語り継がれることが今後の犯罪抑止につながると、港北警察署は「詐欺を防ぐため、2人の功績をより広めてもらえたら」と、今回のケースをPR・拡散してもらいたいと区民に強く訴えています。

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【参考リンク】

振り込め詐欺にご注意!!(港北警察署のサイト)

インターネット詐欺多発!!(港北警察署のサイト)

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