国際園芸博の開幕まで500日を切りました。
1年5カ月後の2027年3月19日から横浜市瀬谷区瀬谷町(一部は旭区上川井町)の在日米軍施設跡で始まる国際園芸博覧会「GREEN×EXPO(グリーンエクスポ)2027」で出展する大手企業や団体、横浜市の出展概要が明らかになり、ボランティア募集の計画なども相次いで公表されています。
主催者の公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会(中区住吉町1)が先月(2025年)10月29日に東京都内で、横浜市は11月4日に市役所でそれぞれ発表会を開き、同日時点での決定内容を明らかにしたものです。

記者発表会で現時点の概要を公表した博覧会協会の筒井会長(左)、右は公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」、公式アンバサダーをつとめる俳優の芦田愛菜(まな)さん(10月30日、東京国際フォーラム)
博覧会協会の筒井義信会長(経団連=日本経済団体連合会会長)は「1都3県で初めて開催される国際博覧会として、大阪・関西万博の経験と機運を引き継ぎながら、気候変動や生物多様性の喪失といった地球規模の課題解決に向けた行動を世界に発信する機会となるよう準備を進めていきたい」とあいさつ。
「2027年3月に魅力的な会場で多くの方々を笑顔でお迎えができるよう、共創パートナーのみなさまとともに引き続き準備を進めている」と現時点での出展・協賛の内定者などを紹介しました。

500日前の発表会に出席した横浜市の山中市長(右2人目)と横浜市会の渋谷健議長(左2人目)、博覧会協会の河村正人事務総長(右1人目)、横浜商工会議所の原田一之副会頭・GREEN×EXPO協力推進委員長(左1人目)(11月4日、横浜市役所)
博覧会協会の副会長でもある横浜市の山中竹春市長は11月4日に「開幕まであと500日となり、ホストシティ(開催都市)として身が引き締まる思いだ。あらゆる産業の皆様とご一緒に、多くの市民の皆様に何度でも行きたいと思っていただける笑顔あふれる万博にしていきたい」と意気込みを語りました。
大手中心に大型“ヴィレッジ出展”
グリーンエクスポのテーマである「幸せを創る明日の風景」を感じさせる庭園・広場や展示施設、体験やコンテンツを提供する「Village(ヴィレッジ)出展」(1区画約1000~3000平方メートル)は、大手企業を中心に13者が内定しており、これまでに8者の概要が明かされました。
注目を集めそうなのが鹿島建設による「(仮称)KAJIMA TREE(カジマツリー)」で、大阪・関西万博の「大屋根リング」で使われた木材を再利用した木造タワーを建設。
現時点で人が上れる構造としない計画だというものの、会場のメインゲートを入った来場者が早い段階で気づくシンボル的な存在となりそう。
鹿島建設のほか、KTグループやNTT東日本、大林組、三菱グループ、東邦レオ、竹中グループ、住友林業が概要を公表しており、大林組と三菱グループは特設サイトを設けてコンセプトなどを説明しています。
一方、Village出展に内定している清水建設や相鉄ホールディングス、大和ハウスグループ、東急グループの概要は今後発表されることになります。
花・緑出展は学校や団体など5者が発表
庭園・花壇などに関する展示を行う「花・緑出展」(1区画25平方メートル、複数区画の使用可能)では、出展が内定している企業や団体など287件のうち5者が概要を公表しました。
本部のある町田市に加え、青葉区奈良町にも中等部や高等部などの校舎を置く玉川大学・玉川学園は、1929(昭和4)年の創立から2029年で100周年を迎えることを見据えた理念をグリーンエクスポで表現するといい、「みんなで作る未来の森と学びの風景」をテーマに出展する予定です。
このほか、東北6県の形をした庭園を出展する一般社団法人日本造園建設業協会の東北総支部や、愛知県日進市に本社を置き種苗事業を展開する株式会社ハクサン、花のギフトで知られる一般社団法人JFTD花キューピット、会場で「日本フラワーデザイン大賞2027」を実施する計画の公益社団法人日本フラワーデザイナー協会がそれぞれ概要を公表しました。
博覧会協会によると、海外からの国際出展は約60カ国が意向を示しているといい、このうち前回(2023年ドーハ国際園芸博覧会)の開催国であるカタールなど8カ国と契約を締結したとのことです。
上位協賛者が大型テラスや夜間演出
主催者とともにコンテンツを共創する「プロジェクト協賛」では、協賛額10億円以上の最上位となる「ダイヤモンドパートナー」に大成建設が決定。
同5億円以上の「プラチナパートナー」には明治安田生命保険や、村田製作所傘下の株式会社ピエクレックス(滋賀県野洲市)と大阪・関西万博にも参画した株式会社V&A Japan(大阪市西区)による「Team P-FACTS(チーム・ピーファクツ)」、横浜銀行の3者が公表されています。
大成建設が「魅力創出プロジェクト」として会場内を一望できる大型木製テラスを設置するほか、明治安田生命保険は「にぎわい創出プロジェクト」で絆と健康を育む憩いの場や体験プログラムを協賛。
Team P-FACTSが「会場運営プロジェクト」として環境配慮素材のユニフォームをボランティアスタッフなどに提供し、横浜銀行は「魅力創出プロジェクト」で夜間を楽しめるプロジェクションマッピングなどの演出を協賛するとのことです。
プロジェクト協賛は相鉄グループなど4者も協賛額1000万円以上の「ブロンズパートナー」として決まっており、現在も各種プロジェクトで協賛募集を継続。今後もさまざまな発表が行われることになりそうです。
一般参加やボランティアも募集開始
地域からの参加も想定される各種公募では、「一般参加催事」(祭りやアートなど)や「一般営業出店」(飲食や物販)、「会場内モビリティ営業出店」(移動手段や先進的モビリティ体験の提供)できのう11月4日から募集が始まりました。
ボランティアについては、(1)花・緑ガイドボランティア、(2)植物管理ボランティア、(3)運営ボランティアの3つを設定。
一定の知識研修が必要な(1)については11月17日(月)から12月22日(月)まで募集を行い、(2)と(3)は来年1月ごろに募集を始める予定とのことです。
また、市民(団体・企業・学校など含む)が実施主体となる「市民参加(共創)プログラム」は2026年春ごろに募集が計画されています。
横浜市は屋内と屋外の2カ所に出展

横浜市はメインゲートに近い「Urban GX Village(アーバン・ジーエックス・ビレッジ)」と南側の「SATOYAMA Village(サトヤマ・ビレッジ)」の2カ所に出展(11月4日、横浜市役所)
ホストシティ(開催都市)である横浜市は、メインゲートからほど近い「Urban GX Village(アーバン・ジーエックス・ビレッジ)」という大手企業が並ぶエリアで約3000平方メートルの敷地を使って2つの建物を設置。
また、メインゲートから見て瀬谷駅寄りの南側に位置し、新たな里山の風景を提案するという「SATOYAMA Village(サトヤマ・ビレッジ)」エリアでは1万平方メートルにおよぶ花壇や活動広場などの屋外空間を確保する計画です。
GX(グリーントランスフォーメーション=クリーンエネルギーへの転換)が実現する未来都市を目指す「Urban GX Village」に置く建物では、「行動変容体験ゾーン」と「先進技術体験ゾーン」を設け、新しい暮らし方や持続可能なグリーン都市を支える先端技術などを企業・団体とともに発信していくとのこと。
一方、屋外の「SATOYAMA Village」では、市民や企業などと花や緑にあふれる空間づくりを目指すとともに、生物多様性や資源循環の重要性を体感できる場としていく考えです。
なお、公的機関の出展は、最大規模となる日本政府による出展区域が11月2日に着工したほか、神奈川県は「いのち輝く“Vibrant INOCHI(バイブラント イノチ)”」をメインテーマに掲げ、約5000平方メートルにおよぶ区画へ出展する計画を発表済みです。
このほか3月下旬の時点で全国73の自治体が出展の意向を示していることが公表されています。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です
【関連記事】
・【前回記事】大阪万博の次に控える横浜瀬谷「国際園芸博」、2027年3月の開幕まで2年切る(2025年4月14日)
【参考リンク】
・2027年3月19日(金)~9月26日(日)開催「国際園芸博覧会『GREEN×EXPO(グリーンエクスポ)2027』」の公式サイト(公益社団法人「2027年国際園芸博覧会協会」)
・「次の万博は横浜だ!GREEN×EXPO 2027 開幕500日前発表会を開催しました~企業・団体向けに横浜市出展のコンセプトや最新の動向等を発信」(横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局、2025年11月4日)











