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港北区内約40薬局「薬が足りない」状況をなくすためのシステムを初導入、“地域ぐるみ”での参加や店舗の利用を呼び掛けています。

横浜市港北区内の約90薬局が加入する「港北区薬剤師会」は、先月(2025年)4月1日から、全国で2例目となる調剤実績の共有システム「リンクル(LINCLE)こうほく」を、約40薬局で初めて導入しました。

先月(2025年)4月1日から「港北区薬剤師会」(写真提供)が全国2例目として導入した調剤実績の共有システム「リンクル(LINCLE)こうほく」の案内ポスター

先月(2025年)4月1日から「港北区薬剤師会」(写真提供)が全国2例目として導入した調剤実績の共有システム「リンクル(LINCLE)こうほく」の案内ポスター

近年、問題が顕在化している、各薬局での医薬品の供給不安や出荷調整に対応するため、“地域ぐるみ”での薬局間での連携の強化を進めています。

近年、少子高齢化の進展に伴う、医療費の高騰を抑えるための薬価の引き下げやジェネリック医薬品(後発医薬品)メーカーによる不正の発覚による出荷停止や製造中止、新型コロナ禍による咳止め薬や痰切りの薬、抗生物質などの不足感が高まり、日本社会での「薬(医薬品)不足」が顕在化。

新システムの導入を喜ぶ港北区薬剤師会会長の相沢さん(右)(日吉堂薬局=日吉本町1)と井村秀彦さん(株式会社メディム社長・高田ファミリー薬局=高田東3)

新システムの導入を喜ぶ港北区薬剤師会会長の相沢さん(右)(日吉堂薬局=日吉本町1)と井村秀彦さん(株式会社メディム社長・高田ファミリー薬局=高田東3)

先発品(新薬=先発医薬品)メーカーのM&A(合併・買収)や世界的なインフレによる原薬・人件費の高騰、同じ原材料(原薬)メーカーから仕入れることでの「相倒れ」や、円安の加速といった事態もあり、「薬が足りない」ことでの来店客の対応にも苦慮するケースが後を絶たない状況が続いています。

この事態の打開を図るべく、株式会社メディカルシステムネットワーク(札幌市中央区)による薬剤師会などの団体に向けたサービス「リンクルはちのへ」の、八戸薬剤師会(青森県八戸市など8市町村)での導入実績を知り、全国でも2例目、神奈川県や横浜市でも初の事例となる港北区薬剤師会での各加入店舗での導入を決定したといいます。

導入「薬局」にポスター・ステッカーも

薬の供給が不安定になっている現状について、「今年4月の時点で、(供給が不安定な薬が)3200品目以上にも上っています」と、2022年から港北区薬剤師会の会長を務める相沢淳さん

そのうち、約1500品目は「供給停止」になってしまっているといい、「残りも『出荷制限』がかかっているため、薬局が注文してもすぐに薬が入手できない状態です」と、せっかく処方箋を持参し来店してもらっても、全ての薬がそろわず、来店客がいくつもの薬局を回らざるを得ないケースが発生。

港北区薬剤師会のホームぺージ(トップページ)でも「リンクル(LINCLE)こうほく」の導入をアピールしている。「費用は薬剤師会が負担しています。ぜひ入会、また導入いただければ」と会長の相沢さんは“地域でのネットワーク構築”への想いを熱く語る

港北区薬剤師会のホームぺージ(トップページ)でも「リンクル(LINCLE)こうほく」の導入をアピールしている。「費用は薬剤師会が負担しています。ぜひ入会、また導入いただければ」と会長の相沢さんは“地域でのネットワーク構築”への想いを熱く語る

「お薬難民」や「たらいまわし」と呼ばれる事態により、「患者さんにご負担をおかけしてしまっているのでは」と、その状況を日々嘆かわしく感じてきたといいます。

そのため、「少しでもお薬を受け取っていただけるよう、地域の薬局どうしで在庫の情報を共有し、『どの薬局ならお薬が出せる可能性が高いか』をご案内できるようにする取り組みを始めました」と、今回の「リンクルこうほく」の導入に至ったことを説明。

元大手薬剤メーカー・海外経験も豊富な井村さんの尽力もあり、港北区薬剤師会のICT化が加速。ホームページ構築・更新も「一般の方」向けに行った結果、神奈川県薬剤師会の「団体賞」を受賞。「サイトは住民の皆さんにこそ(なるべく)みてもらいたい」と意気込む

元大手薬剤メーカー・海外経験も豊富な井村さんの尽力もあり、港北区薬剤師会のICT化が加速。ホームページ構築・更新も「一般の方」向けに行った結果、神奈川県薬剤師会の「団体賞」を受賞。「サイトは住民の皆さんにこそ(なるべく)みてもらいたい」と意気込む

それぞれの店舗が調剤した実績を“手間がかからない”クラウド上でのシステムで共有、30分ごとに更新することで、“薬がある可能性が高い”店舗を確認し、薬局間での連携による薬の提供につなげることを目指せるようになったと語ります。

これまで約50店舗が導入を希望しているものの、実際にシステムを採用できた数が、現状では約40薬局となっていることから、「費用負担も含め、薬剤師会が導入に向けてのバックアップをしていくことができれば」と、“近所”にある薬局同士が連携することでのメリットを拡大していきたいと意気込みます。

「リンクル(LINCLE)ちいき版」を担当する株式会社メディカルシステムネットワークの山内雄介さん、中村紘大さん、大貫香絵さん(左より)。港北区に続き大阪府河内長野市でも4月17日から導入がスタート。近隣自治体も含め、新たなネットワークの拡大に地域貢献の一環としても尽力していく予定

「リンクル(LINCLE)ちいき版」を担当する株式会社メディカルシステムネットワークの山内雄介さん、中村紘大さん、(オンラインで会議に参加した)大貫香絵さん(左より)。港北区に続き大阪府河内長野市でも4月17日から導入がスタート。近隣自治体も含め、新たなネットワークの拡大に地域貢献の一環としても尽力していく予定

きのう5月8日には、導入店であることを来店客に伝える「ポスター」「ステッカー」も完成。各店舗への配布もスタートしています。

今回の「リンクルこうほく」システムの導入により、「『あなたの大切なお薬、“ちいき”で探します』を合言葉に、地域の力で、皆様のお薬購入をサポートしていくことができれば。まだ未導入、また港北区薬剤師会へ未加入の薬局の皆様にはぜひ入会いただき、お客様におかれましては、ポスター・ステッカー掲出店舗をぜひご利用ください」と相沢さん。

「リンクル(LINCLE)こうほく」のポスターとステッカーが完成、地域の薬局での配布をスタート。導入店舗の利用を広く呼び掛けていく

「リンクル(LINCLE)こうほく」のポスターとステッカーが完成、地域の薬局での配布をスタート。導入店舗の利用を広く呼び掛けていく

区内各薬局の区薬剤師会への入会や、「リンクルこうほく」システムの採用、そして一般の来店客による同システムを導入している店舗の利用を広く呼び掛けています。

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

【参考リンク】

「港北区薬剤師会」公式サイト

薬局に薬がなくて困ったことはありませんか?~「LINCLEこうほく」の導入について(同)※「導入薬局」リストへのリンクも

当会ホームページが神奈川県薬剤師会の団体賞を受賞しました(同)※2023年12月の「一般社団法人」化に伴い、2024年4月にリニューアル。以降、区民にとって「役立つ」情報発信に力を入れてきたとのこと