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【レポート】新横浜駅を深夜に出発する夜行高速バスは、何かと話題の「EXPO 2025 大阪・関西万博」(10月13日まで開催中)の会場までわずか1回の乗り換えで朝早くにたどり着くことができ、高騰する大阪市内での宿泊を避けて0泊2日の“弾丸ツアー”さえも可能です。4月の平日夜に新横浜駅から夜行高速バスに乗って開幕から間もない大阪・関西万博を訪れてみました。

新横浜駅と大阪方面を結ぶ夜行バスは今月(2025年)4月20日現在で「キラキラ号」(さくら高速バス=株式会社桜交通)と「WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス、SY512便・SY264便)」(WILLER EXPRESS株式会社)、「サンアンドムーン」(大新東株式会社)の3社が3往復を運行。

4月1日から運行が始まった「WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)」のSY152便は新横浜を22時50分に出発し、大阪・天王寺には7時30分に着く(2025年4月)

2023年4月から新横浜への乗り入れを始めた「サンアンドムーン」は千葉県の木更津・君津が出発地、京都・大阪梅田・大阪難波・USJを結ぶ(2025年4月)

このうち、さくら高速バスの「キラキラ号」は、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)近くの大型宿泊施設「リーベルホテル」(JR桜島駅前)まで乗り入れており、同ホテルの目の前には大阪・関西万博会場行のシャトルバス乗場が設けられています。

新横浜駅から夜行高速バスに乗って、終点で1回乗り換えれば開門から間もない時間帯に会場内へ入ることが可能。

大阪・関西万博は入場するゲートと時間帯を事前に予約する必要があり、朝の時間帯は地下鉄駅の置かれた「東ゲート」が混雑して入場できない日も多く、シャトルバス経由の「西ゲート」なら比較的空いているのもメリットです。

「EXPO 2025 大阪・関西万博」では紙のパンフレットや地図類は用意されておらず、公式サイトからPDFファイルをダウンロードして閲覧したり印刷したりする(公式サイトより)

0時ちょうど発の「キラキラ」号

新横浜駅に停車する高速バスはすべて東京駅方面が始発となっており、2017(平成29)年4月に乗り入れを始めたさくら高速バスの「キラキラ号」は、“新横浜立ち寄り”の元祖といえる存在です。

24時(0時)に新横浜を出発する「キラキラ号」は新横浜駅へ最初に乗り入れた夜行高速バス(2025年4月)

出発時間は3社の大阪方面行ではもっとも遅い24時(0時)ちょうど。東名(新東名)や名神(新名神)などの高速道路を通り、途中の京都八条通(6:45着)とヨドバシ梅田タワー前バスターミナル(地下鉄御堂筋線の梅田駅5番出入口や阪急の大阪梅田駅に比較的近い=7:50着)、USJ(8:40着)を経由し、終点のリーベルホテルには8時50分に到着する行程となっています。

大阪駅前に到着する時間は、東海道新幹線始発列車(新横浜駅6時発)と大きくは変わらないのですが、USJ方面へ直行できるのは利点。

乗客が少ない日は運賃額が下がっていき、2100円という日も(さくら高速バスのチケット販売サイトより)

また、新幹線の運賃・料金が1万4390円(新横浜~新大阪間片道、のぞみ号通常期指定席)に設定されていることに対し、キラキラ号はおおむね半額程度の運賃となっている日が目立ち、需要の少ない時期の平日なら3000円を切ることもあります。

かつては夜行高速バスも路線バスや空港行バスが発着する新横浜駅前のバス乗場へ乗り入れていたが、2023年3月以降は屋根やベンチのない西広場の側道側へ移動した

新横浜駅の乗車場所は、駅前西広場の旧交番近く(新横浜陸橋の脇)に設けられた夜行高速バス専用の新しい乗場で、ベンチや屋根はありません。寒い日や雨の日などは、駅のビル内や深夜営業のマクドナルド(東広場)、アリーナ通りのインターネットカフェ「快活CLUB」などで時間を調整してバス停に向かいたいところです。

4列シート、洗面台付きトイレ完備

東京駅から走ってきたキラキラ号は、日付が変わる直前に新横浜に着き、10人ほどの客を乗せて24時(0時)に出発。首都高速の新横浜出入口から「横浜北線・北西線」を経由して東名青葉インターで東名高速道路に入り、関西方面へ走ります。

キラキラ号は標準的な4列シートとなっている

座席は2人席が横に2つ並ぶ標準的な“4列シート”で2人が並んで座ると若干窮屈ですが、足を置くフットレストやコンセントも完備。車内後方には洗面台付きのトイレも設置されています。

車内は「禁酒」とのことで、ほとんどの時間帯で消灯され、カーテンが閉め切られてどこを走っているのか分からないのは若干残念なところ。ひたすら寝るしかないという環境です。

カーテンが閉め切られたままなのでどこを走っているのかは分からない

東京駅を出発してから2時間半以上にわたって走行したため、新横浜から30分ほど走った時点で東名高速道路の「海老名サービスエリア」で10分ほど休憩。

深夜の東名高速を走る夜行バスや長距離トラックが集結していて壮観な眺めですが、寝ぼけていると自分が乗ってきたバスを忘れてしまいそう。キラキラ号と書かれた赤いバスが少し目立っているのは幸いなところです。

深夜の海老名サービスエリアには高速バスが集結しており、乗車しているバスを見失わないように注意したい

その後、3時ごろ新東名高速道路の「遠州森町パーキングエリア」(静岡県周智郡森町)、外が明るくなった朝5時半ごろには新名神高速道路の「甲南パーキングエリア」(滋賀県甲賀市)でそれぞれ休憩が取られ、2人いる運転手の連続運転が3時間を超えないよう配慮している様子でした。(※休憩の場所や時間帯は混雑状況などにより変更となる場合があります)

朝の京都駅、梅田、USJに停車

3時間以内に一度は休憩があり、外へ出られるのは乗客にとっても気晴らしになる

高速道路を降りて朝6時45分に京都駅の新幹線八条口に近い「京都八条通」に停車し、3分の1ほどの客が下車。新横浜駅始発の新幹線より1時間以上早い時間に着けるので、朝の寺社散策にもよさそうです。

新横浜駅を約1時間早く出発する「サンアンドムーン」号もUSJまではほぼ同じルートを走っており、京都駅八条口には5時50分に着けるのでさらに早朝に到着するなら、こちらの夜行バスがおすすめ。

再び高速道路に乗ったキラキラ号は、7時15分大阪駅近くの「ヨドバシ梅田タワー前バスターミナル」に着き、大半の客が下車。残った数人の客を乗せ、一般道を通って湾岸沿いのUSJには8時40分着、終点となるリーベルホテルの玄関前には8時50分に到着しました。

キラキラ号の終点となる「リーベルホテル(JR桜島駅前)」には8時50分に着く

新横浜から9時間弱、東海道新幹線と比べると疲労度は増しますが、利用者の多くを占めていた20歳代から30歳代の乗客に疲れた顔はあまり見られず、宿泊費を浮かせることができて朝から活動できる夜行バスを手軽に活用している様子。

平日の水曜日というこの日、集客には苦労したようで出発前日には運賃が2100円まで下げられており、8割ほどの席を埋めていました。この価格で東京や新横浜から京都・大阪まで移動できることを考えると、疲れより得した気分が勝るのかもしれません。

なお、復路のキラキラ号はリーベルホテルを21時35分に出発し、新横浜には6時50分に着くスケジュールとなっており、大阪・関西万博のパビリオンが閉まる21時まで楽しんだ後でも帰路につくことが可能です。

終点の目の前からシャトルバス

リーベルホテル(写真後方)の目の前という位置に大阪・関西万博の会場を結ぶシャトルバスの乗場が設けられた(2025年4月)

キラキラ号が着いたリーベルホテルの目の前は、大阪環状線や新大阪駅からも直通列車が設定されているJR桜島駅。ここに大阪・関西万博へ向かうシャトルバス輸送の最大拠点が設けられており、夜行バスを降りてすぐに乗り継ぐことができます。

万博会場内では「国際博覧会として初めての試み」などとして自動販売機も含めて現金を一切使えなくしていますが、シャトルバスの運賃(片道350円)現金での利用も可能。

関西全域の主要バス会社から集めたとみられる大量のEV(電気)車両を使ったシャトルバスは運転本数が多く、平日のこの日は待ち時間もなくに乗ることができましたが、土曜・休日や連休中の午前中などは混雑することもあるとのこと。

平日のシャトルバス乗場は混んでいなかったが、混雑すると予約者が優先となり、予約していないと乗車が後回しになる(2025年4月)

混雑時は予約客の乗車が優先されるため、「Kansai MaaS(カンサイ・マース)」と題したアプリを通じあらかじめ予約し、確実に乗れるようにしておく方法もあります。

廃棄物の最終処分場として生まれた会場の「夢洲(ゆめしま)」は、大阪湾に浮かぶ“離島”でもあり、アクセスは地下鉄1路線(Osaka Metro=大阪メトロ中央線)を中心に、1本の橋(夢舞大橋)と1つのトンネル(夢咲トンネル)が頼り。

会場の「夢洲(ゆめしま)」は大阪湾に浮かぶ島で、これまでは大型コンテナ船が発着する物流拠点として知られていた(大阪・関西万博公式サイトより)

コンテナ船を通じた大型物流拠点である夢洲コンテナターミナルへ向かう大型トラックと橋とトンネルを共有する形となっています。

1日券7500円、USJは8600円

シャトルバスでアクセスする「西ゲート」は東ゲートに比べて混雑が緩いとされるが、9時から10時の時間帯は平日であっても入場までに20分ほど要した(2025年4月)

この日は渋滞もなく、桜島駅からのシャトルバスは定刻通り約15分で会場の「西ゲート」に到着。チケット購入時に予約した「9:00~10:00」の入場列に20分ほど並び、手荷物検査を受けて会場に入場できましたが、屋根のない場所まで列が続けば真夏はかなり辛そう。

地下鉄の駅が置かれた「東ゲート」では9時台など早い時間帯の入場予約ができなくなっている日もある(2025年4月)

入場チケットはスマートフォンにQRコードを表示するか、自ら紙にQRコードを印刷したものを持参するかのいずれかしかありませんでしたが、前売りの販売が振るわなかったためか現在はコンビニエンスストアで「紙のチケット」の引換券の販売も始まっています。

ペーパレスや脱現金などスマートフォンの使用を促した結果、開幕日は入場ゲート付近でインターネットにつながらず大混乱をきたしたことが報じられていた。なお入場券のQRコードは印刷しても使用可能で、会場内は現金こそ使えないが交通系ICカードも使用可能となっており、当日のブース入場予約などをしなければスマートフォンを使わなくても大きな支障はない(2025年4月)

入場料金は「一日券」大人7500円/12~17歳=中人4200円/4~11歳=小人1800円/3歳以下は無料)を基本とし、「平日券」大人6000円/中人3500円/小人1500円)と17時以降(22時まで開場、パビリオンは21時まで)に1回入場できる「夜間券」大人3700円/中人2000円/小人1000円)の3種類が主力。

土曜・休日の1日券が7500円、平日は6000円、17時以降の夜間が3700円という入場料金。このほか7月19日(土)から8月31日(日)までの夏休み期間に毎日入場可能な「夏パス」(大人12000円/中人7000円/小人3000円)や10月13日(月・祝)までの期間中全日に使える「通期パス」(大人30000円/中人17000円/小人7000円)もある(公式サイトより)

万博会場の近所にあるUSJの「1日券(1デイ・スタジオ・パス)」(大人8600円/4~11歳・子ども5600円/65歳以上・シニア7700円)を意識したような料金です。

どちらに入場券分の価値を見出せるのかは、個人の趣味嗜好によるともいえ、海外の国や新たな技術動向、巨大な木造建築物「大屋根リング」といったものに関心を持てないと万博の7500円という入場料金は、ただ高いだけに感じるかもしれません。

“無駄遣い”でも見る側には貴重

巨費が物議を醸した木造の「大屋根リング」は会期終了後にどうなるかが不透明なだけに一見の価値はありそう(2025年4月)

350億円という巨費を投じたとされ“無駄遣いの象徴”とも評された「大屋根リング」は、世界最大といわれる木造建築物が見られる機会として捉えれば、国家的なイベントならでは。

実用性としても、迷いがちな会場内で日陰となる屋根の下を歩いてアクセス路としたり、途中のベンチで休んだり、会場や海を一望できる展望台として屋根の上を散策したりといった形で楽しんでいる来場者を多く見かけました。

「大屋根リング」の上部は遊歩道で展望台でもあり、歩いていると会場の全体が見渡せる(2025年4月)

批判された高額な食事類についても、たとえば「好きやねん大阪フードコート」なる場所では、かけうどんが858円、カレーは935円など、一般的な“観光地価格”で食事が可能。自動販売機の飲料も会場外の価格と大きく変らず、会場内ではコンビニも営業中です。

一般的な観光地と大きく変らない価格帯のフードコートもあり、すべてが万博ならではの“特別価格”なわけでもない(2025年4月)

すぐに壊れて呆れられた会場内の“デザイナーズトイレ”はこの日も故障箇所が目立ち、来場者が列をつくっている様子も見られましたが、フードコートなどの建物内には“普通のトイレ”が存在し、こちらの待ち時間はありませんでした。

フランス(写真左)やアメリカ(右)といった著名国のパビリオンは予約したほうが早く入れるが、海外パビリオンの大半は予約が不要(2025年4月)

各国が共同で出展する「コモンズ館(Commons)」と題したパビリオンは、普段は馴染みの薄い国もブースを構えており、気軽に巡れる。写真のパレスチナブースは戦争の影響で展示物が届かないのか、何も置かれていないスペースも(2025年4月)

事前予約がなかなか取れないとの声が出ているパビリオンは、アメリカやフランスといった著名国と日本、話題のパビリオンを除けば予約は不要で、予約が取れなくても並んで待てば入場できるケースも多く、夕方以降は10分から20分待てば入れる人気パビリオンも見られました。

ドローンショー「One World, One Planet.」は開催時間さえ告知されておらず、この日は多くのブースが閉じようとする21時前から始まった(2025年4月)

現時点では開始時間さえ告知されていないドローンショー「One World, One Planet.~世界中の願いをつないで、ひとつに。」や、水上ショー「アオと夜の虹のパレード」は閉場となる22時までの夜間帯に毎日実施されており、パビリオンとは別に一見の価値はありそう。

水上ショー「アオと夜の虹のパレード」は毎日19時以降に2回開催予定(2025年4月)

ただ、多くのメディアで指摘されているように会場内は雨風をしのげる場所や、暑さから避難できる建物が少なく、天候の悪い日や夏場の訪問は避けるのが賢明かもしれません。

なにより2年弱先に「国際園芸博覧会『GREEN×EXPO(グリーンエクスポ)2027』」を控える横浜としては、先に行われる大阪・関西万博より少ない費用に抑えながらも、大阪・関西万博を超える話題性を集め、来場者の満足度を高めなければならない、という重い課題に迫られています。

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

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大阪万博の次に控える横浜瀬谷「国際園芸博」、2027年3月の開幕まで2年切る(2025年4月14日)

新横浜~大阪方面の「夜行高速バス」は3.5往復に、ウィラーが4月から増便(2025年4月1日、現在は「3往復」となっている、運転時刻なども掲載)

【参考リンク】

2025年4月13日(日)~10月13日(月)開催「EXPO 2025 大阪・関西万博」公式サイト(大阪市此花区「夢洲=ゆめしま」で開催)

「EXPO 2025 大阪・関西万博」へのアクセス情報(地下鉄Osaka Metro中央線が一般的だが、新大阪駅など主要駅からシャトルバスもある)

「大阪・関西万博はスマートフォンなどでの手続きなしでも楽しむことができます」(ネット上でしか買えない「前売り券」の販売不振を受けてかこのようなページも)