横浜国立大学の学生が大豆戸町の「新幹線高架下」プロジェクト案を提案。未来に向けての“地域まちづくり”の夢を投げかける貴重な機会となったようです。
JR東海グループの新横浜ステーション開発株式会社(新横浜2)は、先月(2025年)2月26日、横浜国立大学(保土ケ谷区常盤台)経営学部・山岡徹教授のゼミ生による、同社との「産学連携プロジェクト発表会」を同社内で初めて開催。

新横浜駅にも近い大豆戸町の高架下と周辺土地の活用について「学生の柔軟な発想や既成概念にとらわれない新たな切り口を提案してもらいたい」と産学連携プロジェクトを推し進めた松尾社長(新横浜ステーション開発提供、2月26日)
3つのチームに分かれたゼミの学生が、来場した同社やグループ企業の関係者らにそれぞれの「高架下開発」のアイデアを披露しました。
新横浜駅の商業施設「キュービックプラザ」の運営者として知られる新横浜ステーション開発は、川崎市中原区の多摩川付近から熱海駅までの東海道新幹線の高架下管理も主要事業としています。
今回のプロジェクトは、新幹線高架下や隣地の新たな用地開発について、「学生の柔軟な発想や既成概念にとらわれない新たな切り口を提案してもらう」ことを目的とし、同社側から大学側に昨年夏に打診。
昨年(2024年)10月から今年2月まで、2、3年生からなる3チームが「大豆戸土地における高架下隣接地の開発提案」をテーマに、月1回の定例ミーティングを行い、学生たちが大豆戸町を実際に訪問するなど、調査や検討を重ねてきました。
この日の発表会では、これまでにはなかったレベルでの“地域密着”の経営方針を打ち出したという、昨年7月から着任した松尾啓史社長がまずはあいさつ。
続いて、高架下事業部長の開田健さんが、環状2号線や大豆戸塚田公園にも近い、新幹線高架下のJR土地や、新たな同社の購入地など約2552平方メートルの対象区画の概要についての説明を行いました。

2番目に発表を行った「IIS(イッツ)」は、「共助」と「教育」を長期目標に、「習い事教室」や「地域博物館」、「総菜屋」や「地域の家」などの居場所づくりやそれぞれの連携によるイベント開催についても提案していた
大学生の発表は、2、3年生4人がメンバーの「チーム19」、2年生3人による「IIS(イッツ)」、2年生4人による「We-gnis(ウィグニス)」の順に各15分間行われ、各10分間の質疑応答タイムも。
同社やJR東海新横浜駅の関係者からも質問が飛ぶなど、学生らしい視点で作られた各構想案に、グループ企業の関係者からの熱き視線と激励が寄せられるシーンも多く見られていました。

最後に発表を行った「We-gnis(ウィグニス)」は「旅する灯」をテーマに、対象地周辺で107人への街頭調査も実施。スライド140枚に及ぶ発表に多くの人々が釘付けに。カフェケーキ店、ラボや本・ライブラリーといったコミュニティづくりや教育・文化、イベントの必要性をアピールしていた
各発表の終了後には、松尾社長から学生3チームへの感謝状、謝礼品の贈呈も行われ、それぞれの発表のクオリティの高さや斬新さを称えました。
なお、山岡教授は、元JR東海の社員で、人事部門に従事した経験を持っているとのこと。
松尾社長側からのアプローチにより判明したといい、それぞれが違う組織で「地域まちづくり」を議論し未来を描くステージに立った偶然を喜びあうシーンも見られていました。
今回の3グループの提案はあくまで「アイデア」としての企画立案であり、実現に至るかはまた再度の検討になるとのこと。
それでも、相鉄新横浜線・東急新横浜線を通じて、これまでより“ぐっと”距離が近くなった横浜国立大学と新横浜駅、また港北区エリアの地域との「初コラボ」とも言える産学プロジェクトの実現に、地域内外からの未来への街づくり機会への期待感が寄せられることになりそうです。
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【参考リンク】
・新横浜ステーション開発株式会社(キュービックプラザの運営や高架下管理など)