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20年来ともに過ごしたバイオリン(ヴァイオリン)を3月1日に大倉山駅で紛失。“必ず戻ってきて”との思いで、拾った人や目撃者、行方を知る人からの情報提供を呼び掛けています。

(※2025年3月24日18時追記:バイオリンが無事発見され、港北警察署を通じて本人に戻されたとのことです。詳細は最新記事をご覧ください)

今月(2025年)3月1日(土)の深夜23時30分頃、東急東横線大倉山駅のホーム上のベンチ付近で、港北区在住の女性が、20年来の人生を共にしてきたバイオリン楽器を紛失。

同日、同時刻に“バイオリンケースを持ち去った”男性らしき人物の存在が確認されているといい、「行方を知る方、目撃された方など、小さなことでも情報をいただければ」と、バイオリンが戻ってくるための情報提供を呼び掛けています。

3月1日に大倉山駅でなくなった1994年イタリア製「ガブリエーレ・ナタリー」氏作のバイオリンとバム(BAM)社製の紺色のバイオリンケース。弓も2本入っていたという(写真左:弦楽器専門店「マリオルッチ」サイト、右:本人提供)

3月1日に大倉山駅でなくなった1994年イタリア製「ガブリエーレ・ナタリー」氏作のバイオリンとバム(BAM)社製の紺色のバイオリンケース。弓も2本入っていたという(写真左:弦楽器専門店「マリオルッチ」サイト、右:本人提供)

バイオリンは、2002年に購入し、イタリアのバイオリン職人「ガブリエーレ・ナタリー」氏が1994年に製作したもの。

楽器の色は「黄色っぽい茶色」で、4分の4サイズ(大人用フルサイズ)。バイオリンの表面にある“f”の形の穴の中に『Gabriele Natali/1994』との作者名・製造年のラベルが貼られているといいます。

新品だというフランスのバム(BAM)社製のバイオリンケースには赤(朱色)の目立つラインが入っている(弦楽器専門店「マリオルッチ」サイト)

新品だというフランスのバム(BAM)社製のバイオリンケースには赤(朱色)の目立つラインが入っている(弦楽器専門店「マリオルッチ」サイト)

「表面や裏面にも細かい傷があり、新品ではありません」と、20年来使用してきただけに、使い込んだからこそ、“戻ってきてほしい”と切に願っているという楽器の特徴を説明します。

一方、ケースは今年1月に購入したばかりの新品となっており、フランスのバム(BAM)社製。サイズは約80センチほどの大きさ。人が背負うと頭から腰まで至るサイズ感だといい、色はネイビーブルー(紺色)。楽器を出し入れする側面には、赤(朱色)の目立つラインが入っているとのこと。

バイオリンの表面にある“f”の形の穴の中に『Gabriele Natali/1994』との作者名・製造年のラベルが貼られている(本人提供)

バイオリンの表面にある“f”の形の穴の中に『Gabriele Natali/1994』との作者名・製造年のラベルが貼られている(本人提供)

現時点では、バイオリンケースを持った20代から30代とみられる男性が、大倉山駅の改札を通過し、駅西側のエルム通り方面に向かって歩いていたという情報が複数のルートで確認されているといいます。

「バイオリンを実際に拾われた方、その後の行方を知る方、また、当日や後日、このバイオリンケースを見たという方など、小さなことでも情報を寄せてもらえれば」と、女性は、バイオリンの発見や返還につながる情報提供を広く呼び掛けています。

「半生」を共に過ごしたバイオリンとの日々

3歳の頃からバイオリンを習い始めたという女性は、中学校入学後、新たに師事したバイオリン講師の勧めにより、後に、作家の名称「ナタリー」と自身で名付けたこのバイオリンを購入したといいます。

個人で習い続け、辛いときも悲しい時も、共に過ごしてきたという、人生で唯一つのバイオリン。

念願叶い入学した大学のオーケストラでは、「授業を休んでまで、その曲を仕上げようと必死に練習する日々もありました。それだけ、大切な楽器として、共に人生を歩んできました」と、女性は自身の半生を振り返ります。

10代の頃から20年来「苦楽を共にしてきた」唯一つのバイオリン。「代わりのバイオリンは存在しません。自分の心の中の相棒を失ってしまった、自身の“片割れ”を失ったような気持ちです」との苦しい思いを語る(同)

10代の頃から20年来「苦楽を共にしてきた」唯一つのバイオリン。「代わりのバイオリンは存在しません。自分の心の中の相棒を失ってしまった、自身の“片割れ”を失ったような気持ちです」との苦しい思いを語る(同)

留学中、また社会人になっても携わってきたオーケストラや、大切な音楽仲間たちとの演奏。海外赴任中にも“音楽の輪”を広げるなど、日々の生活、また“喜怒哀楽”を共にしてきたという日々を思い起こし、「仮に、自分自身の命が失われても、バイオリンが戻ってきてほしいと、毎日、切に願っています」と、20年来の半生を共にしたこのバイオリンでなければ、“曲を奏でることができない心境”との苦しい胸の内を明かします。

鉄道会社や警察署、各楽器店や質店、地元商店街にも足を運び、バイオリンを探す日々

鉄道が運行されていた時間帯から、バイオリンを持ち去った人の行方は「大倉山大豆戸町のあたり」と推察しているといい、これまで愛着を持ち、“治安が良い”と感じてきたエリアだからこそ、バイオリンが戻ってきてほしいと強く感じているといいます。

「バイオリンが戻って来さえすれば」と語る女性。これまでの半生を共に歩んだ楽器が無事に戻る日を待つ(同)

「バイオリンが戻って来さえすれば」と語る女性。これまでの半生を共に歩んだ楽器が無事に戻る日を待つ(同)

バイオリンという楽器の特性上、国内外へのインターネット上での転売のリスクも予想されることから、「ネットオークション上などでも、当該バイオリンらしきもの、似たものを見たという方はお知らせください」と、ネット上での目撃情報の提供も呼び掛けています。

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

【参考リンク】

モネえちゃん(X=旧ツイッター) ※友人によるアカウント。情報の提供を呼び掛けている