【ようこそ2025年】新横浜企業が世界初の実証実験の挑戦を経て、「1.5倍甘い」というイチゴの周年栽培システム販売を開始。新たな食の可能性を未来に向け発信しています。
新横浜1丁目で事業を展開する株式会社アグリ王(徳丸義洋社長)は、昨年(2024年)5月、世界初となる水耕栽培と魚の水産養殖を使う「完全閉鎖型アクアポニックス農場」でのイチゴ生産の実証実験結果を公表。
2018年からスタートした「イチゴ栽培」の技術を、「1.5倍甘い」イチゴの周年栽培を可能なレベルに高め、イチゴ栽培に最適化した循環型農業「アクアポニックス」栽培システムとしての販売を昨年10月9日からスタートしました。
今回の実証実験とシステム販売は、中区相生町3丁目の株式会社アクポニ(濱田健吾社長)とともに行われたもので、イチゴの水耕栽培のノウハウを持つアグリ王によるイチゴ専用ラックと、アクポニが開発した安定した水質維持を可能とする水槽やろ過循環器を用いている点が特徴となっています。
今回販売された「アクポニイチゴキット」では、LED型イチゴ栽培ラックと、水槽、ろ過循環器(高機能密閉型フィルター含む)、生物鉱化タンクをセットにして販売。
設置面積は約5平方メートルからとなっており、規模や希望収量に応じてカスタマイズが可能。販売価格は177万円からで、生産可能なイチゴの量は1月あたり約5.5キログラム(kg)を想定。養殖可能な魚の数は5匹から10匹程度の規模となっていますが、金額は規模や条件により相談に応じるとのことです。
通常、イチゴは農薬や化学肥料が必要とされる栽培方法が主流となっていますが、水耕栽培と水産養殖を掛け合わせた無農薬・無化学肥料・無除草剤の循環型農業を実現させた「アクアポニックス」の技術を用いることで、魚・微生物・植物の三者が生態系をつくりバランスよく循環する、生産性と環境配慮の両立ができる新しいスタイルの「屋内型農業」を実現。
土耕農法と比較すると、同面積で約7倍の収穫量となる高い生産性と、約80パーセント以上の節水、ライフサイクルアセスメントによる環境負荷の低さも実現させたといいます。
LEDを用いた完全閉鎖型システムのため、どのような気候、地域においても安定して無農薬・無化学肥料・無除草剤のイチゴを栽培することが可能となっているとのこと。
2025年以降の超高齢化社会を生きる「健康志向」が高い消費者ニーズとも合致。イチゴは葉物野菜と比べて高単価で販売されることが多いこともあり、生産者にとっての収益化での面での期待値も高く、さらに、一般的なイチゴは平均糖度が10度程度であるのに比べ、「アクアポニックス産」のイチゴは平均糖度が15度と、「1.5倍甘い」イチゴの生産を実現させています。
港北区近郊では、障害者雇用の観点からも有機水耕栽培による室内農業に挑戦する事例も近年みられており、“未来を切り開く”新たなビジネスモデルを産みだす新横浜企業の躍動にさらなる注目が集まります。
「新横浜生まれ」の新システムにより誕生したイチゴが全国、そして世界の食卓に並ぶ日もそう遠くないといえそうです。
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【参考リンク】
・株式会社アグリ王公式サイト(新横浜1丁目の奈良建設株式会社内)※「アグリ王」は奈良建設株式会社のグループ会社として誕生した