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鶴見川で盛んだった舟運(しゅううん)の歴史を追った貴重な番組が新年にケーブルテレビで放送されます。

鶴見区に本社を置くケーブルテレビ局「YOU(ユー)テレビ」が制作する歴史番組「横浜ミストリー」であす(2025年)1月1日から「鶴見川舟運物語~河岸がつなげた流域のくらし」が始まります。

鶴見川の舟運で活躍した「和船」のイメージ(イラスト:荒山智奈美さん)

鶴見川舟運物語は、港北区内を中心に活動する「港北ふるさとテレビ局」が取材を手がけた30分番組で、江戸期から昭和初期にかけて港北区内の鶴見川で盛んだった舟運の歴史と実態について、当時の資料やインタビュー、鶴見川での現場検証などから解き明かしました。

船で物資を運ぶ鶴見川での舟運は、新羽付近まで潮の満ち干きがあることを利用し、東京湾から鶴見区域と駒岡河岸(かし=船の発着場、樽綱橋付近)、綱島河岸(大綱橋の下流)などを経由し、太尾河岸(大倉山6丁目付近)までの間で行われていたとの記録が残ります。

鶴見川に置かれた「河岸」(かし=船の発着場)のイメージ(イラスト:荒山智奈美さん)

太尾河岸より上流の小机方面は、川が90度近く曲がって鳥山川と分岐する通称「大曲」(横浜アリーナ裏手付近)と呼ばれる難所があることなどから、一人乗りの小型船や筏(いかだ)のようなものが使われていた様子。

また、鶴見川とつながる「矢上川」の日吉6丁目付近にも「袋河岸」と名付けられた船着場があったとされ、支流も含めた区内の川が重要な輸送網となっていたとみられます。

大正時代とされる鶴見橋付近の様子、写真に写る肥料運搬船は港北区方面を結んだ(鶴見神社所蔵)

今回の番組では、実際に仕事として舟運に関わっていた経験者へのインタビューが実現したほか、鶴見川に船を浮かべての実証実験や調査を行ってきた「鶴見川舟運復活プロジェクト」の関係者と、地域の歴史研究者や団体などが協力し、舟運の実態解明に挑んでいます。

番組制作にあたっては「鶴見川舟運復活プロジェクト」のメンバーら地域の関係者が協力した(港北ふるさとテレビ局提供)

番組制作面でも、ナレーションの広瀬未来さんやイラストを担当した荒山智奈美さんら港北区在住者が参画して脇を固めました。

取材にあたっては、舟運がさかんになった自然環境として挙げられる鶴見川の潮位変化について実際に朝から夕方まで定点観測を実施したり、ドローンでの撮影を行ったりしたといい、その成果も盛り込まれる予定。

また、船で実際に鶴見川を遡上したり下ったりした際の取材も実施しており、普段はなかなか見る機会のない鶴見川の水面レベルから撮影された映像も楽しめそうです。

鶴見川舟運復活プロジェクトによる船を使った実証実験の様子(2024年5月、港北ふるさとテレビ局提供)

横浜ミストリーは、横浜・川崎の歴史や文化(ヒストリー)に潜んだ(ミステリー)を解き明かすYOUテレビのシリーズ番組。

2003(平成15)年の放送開始以降、京浜地域の歴史を掘り起す独自の月間番組として、YOUテレビだけでなく、「イッツコム(iTSCOM)」や「ジェイコム(J:COM)」など全国約70のケーブルテレビにも配信されます。

江戸時代後期に刊行された江戸名所図会の「鶴見橋」(着色)にも船の姿が見える(港北ふるさとテレビ局提供)

今回の鶴見川舟運物語は、YOUテレビでは1月中の毎日11時・14時・19時30分・22時の4回、イッツコムでは火・木曜日の20時30分、ジェイコム毎日7時30分と日曜~木曜の22時にそれぞれ放送が予定されています。

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

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鶴見川で9年ぶりに「舟運」検証、新横浜の蛇行地点“大曲”で遡上を阻まれる(2024年5月23日)

【参考リンク】

横浜ミストリーの番組紹介ページ(YOUテレビ、「鶴見川舟運物語~河岸がつないだ流域のくらし」の番組紹介動画も、番組はイッツコムやJCOMなど全国で放送)

鶴見川の舟運とは(鶴見川舟運復活プロジェクト「鶴見川の歴史と舟運」)

2015年の記録映像「手作り舟で鶴見川を漕ぐ~鶴見川舟運検証の記録」(港北ふるさとテレビ局のYouTubeチャンネル)