【レポート】新横浜駅で東急電鉄と東海道新幹線が接続したことをきっかけに新たな“豪華列車ツアー”が静岡県内で始まります。
東急グループは今月(2024年)11月8日(金)から観光ツアー用列車「ザ・ロイヤルエクスプレス(THE ROYAL EXPRESS)」を横浜駅から静岡・浜松方面へ運行を始めるのにあたり、3日に静岡県内の一部区間で行った試験運行の模様を報道関係者に公開しました。
ザ・ロイヤルエクスプレスは横浜駅を拠点に伊豆方面へ運行しているツアー用の“豪華観光列車”で、東急グループの伊豆急行(伊東~伊豆急下田間)が2017(平成29)年に開発。
2020年8月以降の夏場は車両を北海道に運んで道内路線を巡る列車ツアーを催し、今年の冬には四国・瀬戸内エリアでも初めて運行されました。
静岡県内ではこれまで伊豆方面への運行だったため、熱海駅以西のJR東海エリアへは乗り入れていませんでしたが、昨年(2023年)3月に新横浜線が開業したことを機に東急グループとJR東海の連携が加速。
沼津から浜松にかけてのエリアを3泊4日で巡る「静岡・富士クルーズトレイン」が両社で企画されたものです。
同ツアーは横浜駅発着で三島・沼津や日本平(静岡市清水区)、徳川家康をまつる久能山東照宮(静岡市駿河区)、新居町(浜名湖)などを周遊し、車内では車窓を楽しみながら地域の食材を用いた特別な昼食を味わえるのが特徴。
静岡県内の名店と言われる和洋料理店が日替わりで食事を担当し、名産のうなぎはもちろん、沿線の焼津ではその日に駿河湾で獲れた魚を列車内に積み込み、出発日ごとに異なるシェフが食材に応じて車内の厨房で腕をふるいます。
ツアー参加者は1回あたり15組(最大30人)に限定され、参加代金は1人75万円からと高額ですが、年内計6回の開催分には定員の2倍となる参加希望者があったため抽選となっており、静岡県内からの申し込みも見られたといいます。
富士山や宿場街、在来線の魅力
11月3日に行われたザ・ロイヤルエクスプレスの試験運行は、ツアー2日目の出発駅となる沼津駅からスタート。
昭和の重要駅の風格を残すホームから乗車し、東海道新幹線では見られない在来線(東海道本線)の車窓を眺めながら西へ向かいます。
ツアーの1日目は横浜駅から富士川駅までいったん乗車した後に三島駅に戻って宿泊する行程。車窓から富士山を眺められる可能性の高い区間(沼津~富士川間)は2日間で計3回にわたって乗車することになり、時間帯によって異なる富士の姿が楽しめそう。
続いて蒲原(かんばら)、由比(ゆい)、興津(おきつ)と東海道五十三次の宿場町を走り抜けていくのも在来線ならではで、最後尾の展望スペースからは浮世絵に描かれた形に近い富士の姿を見つけられるかもしれません。
見知らぬ特別列車が突然現れたことでホームの客が驚きの表情を浮かべることになった静岡駅を過ぎ、安倍川、大井川と越え、牧の原トンネルを抜けた先の菊川駅(島田市)でこの日の試験運行は終了。
実際のツアーではさらに西、浜松駅から4つ先の浜名湖至近にある新居町駅まで乗車する行程で、熱海から浜松まで静岡県内の東海道を4日間かけて走破することになります。
静岡・富士クルーズトレインは12月13日出発分まで計6回の実施が予定されており、東海道本線の主役を新幹線に譲ってから60年を迎えた今年、ロイヤルエクスプレスが在来線沿線の魅力を伝えていく役割を担います。
【関連記事】
・新横浜線きっかけに東急・JR東海が連携、「豪華列車」を浜松方面へ初運行(2024年6月3日)
・東急の「豪華列車」が四国にも進出、JR各社と連携し来年1月から運行(横浜日吉新聞、2023年7月18日、JR西日本とJR四国が協力)
【参考リンク】
・THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)の公式サイト(東急株式会社)
・THE ROYAL EXPRESS「静岡・富士クルーズトレイン」(2024年11月8日~12月13日)