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小机城の発掘成果を公開する展示や講演会が区内で企画されました。

横浜市歴史博物館などを運営する横浜市ふるさと歴史財団(都筑区中川中央1)の埋蔵文化財センターは、小机城址(城跡、小机町)での過去2回にわたる発掘調査を踏まえた展示会をきょう(2024年)11月1日(金)から29日(金)まで港北図書館で開きます。

横浜の遺跡展「発掘された小机城」の案内チラシ(横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センター発行)

小机駅から徒歩15分ほどの丘の上に位置する小机城は、横浜を代表する中世の山城(やまじろ)で、1400年代半ばまでに築かれたと推定されています。

1478(文明10)年には江戸城の築城で知られる太田道灌(どうかん)が小机城を攻め落としたことや、のちに小田原北条氏(後北条氏)がおさめたことなどは記録に残されていますが、明確な築城時期や城郭の姿は明らかになっていません。

港北図書館の展示会場で配布されている「発掘された小机城」のパンフレットには小机城の歴史が詳しく解説されている(横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センター発行)

徳川家康が江戸へ入る1590年(天正18)年ごろまでに廃城となったものの、城址は400年以上にわたって残っていたことから、1977(昭和52)年には横浜市が自然公園の「小机城址市民の森」を整備して公開。

山城の原型を残す城跡として貴重な存在とされ、2017(平成29)年には財団法人日本城郭協会から「続日本100名城」に選出され、広く注目を集めることになりました。

破壊前の初公開写真や復元地形図も

小机城はこれまでに本格的な発掘調査は行われていなかったことから、横浜市教育委員会とふるさと歴史財団埋蔵文化財センターは2021年10月から12月にかけて初の発掘調査を実施。

小机城址での発掘調査の様子、2回の調査で計6カ所を掘削している(2023年2月)

昨年(2023年)1月と2月にも二度目の発掘を行っており、計2回の発掘調査では多くの遺物が出土するとともに、西曲輪(くるわ=現「本丸広場」)で鍛冶(かじ)や鋳造(ちゅうぞう=金属をいったん溶かして別の形に固める加工方法)の痕跡も見つかりました。

今回の展示は、過去2回の発掘調査で得られた成果を約15枚のパネルで紹介するとともに、主な出土物を展示。

港北図書館で11月1日(金)から29日(金)まで行われる「横浜の遺跡展『発掘された小机城』」の様子(10月31日)

第三京浜道路で城跡の一部が破壊される前の姿を復元した地形図や、最近になって発見された破壊前の航空写真は特に見どころで、現在の風景からは見えづらい山城の姿を想像するのに役立ちそう。

また、発掘された出土物が一同に展示されるのは初めてのことで、銅などの鉱物が付着した「かわらけ(素焼き土器)」や、中国・民の「染付椀(そめつけわん)」、「笄(こうがい=棒状の髪飾り)」など、小机城址の地中で400年以上眠っていた遺物をじっくり眺めたいところです。

発掘で出土した主要な遺物を一同に展示するのは今回が初めて(10月31日、港北図書館)

港北図書館での展示は休館日(11月5日)を除き11月1日(金)から29日(金)まで1階の「港北まちの情報コーナー」で自由に見ることができます。期間中は港北図書館が所蔵する「城」や「考古学」に関する書籍類を集めたコーナーも特設中です。

港北図書館では城や考古学に関する本を集めたコーナーも特設される(10月31日、港北図書館)

また、今回の展示や発掘調査の成果について同センター調査研究員が解説する講話「発掘された小机城」11月16日(土)の10時と14時(各回90分)に2階会議室で予定されており、参加希望者は横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センターへメールまたはFAXで5日(火)までに申し込みが必要です。

12月1日(日)以降は来年1月末まで「城郷小机地区センター」(小机駅となり)で展示を行うほか、12月14日(土)に小机城址の歴史散策や、来年1月25日(土)には大規模な講演会も港北公会堂で予定されています。

11月から2025年1月までに港北区内で小机城に関する講話や歴史散策、講演会が予定されている(横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センター発行)

この機会に今まで知られていなかった“新たな小机城の姿”に触れてみてはいかがでしょうか。港北区内で行われる小机城関連の催しは次の通りです。

横浜の遺跡展「発掘された小机城」

  • 11月1日(金)~29日(金):港北図書館(1階・港北まちの情報コーナー)
  • 12月1日(日)~2025年1月31日(金):城郷小机地区センター(2階・展示スペース)

講話・歴史散策・講演(要事前申し込み)

  • 11月16日(土)10:00~11:30/14:00~15:30:講話「発掘された小机城」(港北図書館)(埋蔵文化財センター調査研究員・平山尚言氏)(応募は11月5日必着)
  • 12月14日(土)13:30~15:00:歴史散策「発掘された小机城を歩く」(JR小机駅~小机城址市民の森~城郷小机地区センター)(応募は12月3日必着)
  • 2025年1月25日(土)13:00~16:00:講演会「小机城から中世の横浜を探る」(港北公会堂、参加費1000円)(五味文彦氏、近藤匡樹氏、玉林美男氏)(応募は1月14日必着)

参加申込は締切日までに希望のイベント名・住所・氏名(ふりがな)・電話番号を記入のうえ、メール(maibun@yokohama-history.org)またはFAX(045-891-1551)で横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センターへ(問い合わせ045-890-1155)

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

【関連記事】

・【2回目の調査結果】<小机城・2回目発掘>本丸広場で「鋳造」の痕跡、城の施設らしき遺構も(2023年12月12日)

・【1回目の調査結果】市教委が「小机城」を初めて発掘、二の丸広場近くで“柱の痕跡”、空堀には土器(2021年12月7日、小机城の歴史についても)

【参考リンク】

2024年11月1日(金)~2025年1月31日(金)「令和6年度 横浜の遺跡展『発掘された小机城』及び関連催し物のお知らせ」(横浜市ふるさと歴史財団・埋蔵文化財センター)

港北図書館「横浜の遺跡展『発掘された小机城』」の案内(11月1日~29日開催)

港北図書館「講話『発掘された小机城』」の案内(11月16日開催)