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きのう(2024年)10月27日に投票が行われた衆議院総選挙で「神奈川7区」(港北区全域)では、立憲民主党中谷一馬氏(41歳)が小選挙区で初めて勝利し、自民党鈴木けいすけ(馨祐)氏(47歳)は比例南関東ブロックで復活当選となり、前職2人が議席を守っています。

小選挙区で初めて勝利し3選を決めた中谷氏(10月24日)

過去2回は比例区から復活当選していた中谷氏ですが、今回は立憲民主党への追い風を受け、2014(平成26)年の立候補から4回目で初めて小選挙区で1万票以上の差を付けて鈴木氏に勝利することになりました。

比例代表で復活当選となった鈴木氏(10月26日)

一方、鈴木氏は2012(平成24)年から4回連続で小選挙区から当選してきましたが、今回は“政治とカネ”の問題などで自民党への強い逆風もあって中谷氏に敗れたものの、早い段階で比例区から復活当選を決めています。

元神奈川県知事の松沢成文参院議員(左)と街頭に立つむなかた(宗像)氏(10月20日)

日本維新の会から出馬した元県議のむなかた(宗像)富次郎氏(63歳)は約1万6700票を獲得したものの支持を拡大することがができず、無所属で立候補した大野拓夫氏(56歳)は「自民でも立憲でもない第三の選択肢を」と訴えましたが、現職2人の戦いに割って入ることはできませんでした。

駅前で街頭演説する大野氏(10月20日)

神奈川7区が港北区のみで構成されてから初の選挙となり、小選挙区の投票率は57.19%(前回57.24%)で前回衆院選(2021年10月)とほぼ変わらず、また前回同様に神奈川7区では小選挙区に加え、比例区からも国会議員を送り出すことになりました。


<神奈川7区の確定得票数>

※投票率57.19%(前回57.58%)、投票者数170,866人、10月28日1時29分確定

  • 【当選】中谷一馬氏(立憲民主党・前、41歳、当選3回):71,913票
  • 【比当】鈴木けいすけ(馨祐)氏(自民党・前、47歳、当選6回):61,337票 ※惜敗率85.2%
  • むなかた(宗像)富次郎氏(日本維新の会・新、63歳):16,697票
  • 大野拓夫氏(無所属・新、56歳):15,678票
  • 無効投票等:5,237票

10月28日16:55:確定時間と無効票の数を追記しました


良識が問われるような行為も

今回の選挙では、何者かによる良識が問われるような行為も一部に見られました。

選挙直前には、神奈川7区で立候補を予定する特定の予定候補者の資質を疑問視する内容を書き連ねた“出どころ不明の文章”が何者によって制作され、インターネット上で流布。

また、選挙期間中には「調査」を装って、特定の候補者が不正な行為を行っていたかのように印象付けようとする内容自動音声電話が区内で複数の家庭に発信されました。

区内の駅前では選挙期間中に候補者が演説していたところ、複数人が妨害し、警察が出動する事態も発生しています。

首相経験者の応援は厳戒態勢

選挙期間中には港北区内で3人の首相経験者が候補者の応援演説を行っており、これまでの選挙では見られないほどの厳戒態勢がとられました。

綱島の「東照寺」駐車場を使った演説会は周辺のいたるところに警察官やSPの姿が見られ、建物屋上にも数人が配置されている(10月17日)

司会者は地上の選挙カー(右側)におり、岸田前首相は建物のベランダから演説した(10月17日)

選挙戦序盤の10月17日に綱島駅近くの「東照寺」(綱島西1)駐車場で開かれた岸田文雄前首相を招いた応援演説会では、会場を柵で囲み、入場時は全員の手荷物検査を実施。

支援者は前方、一般観覧者は後方に分けたうえで、会場内には警察官やSP(セキュリティポリス=要人警備の警察官)を多数配置し、さらに聴衆と演説者の距離を確保するため、岸田前首相の演説は同寺建物2階のベランダから行われました。

日吉駅の構内では、選挙戦後半の24日に野田佳彦元首相、最終日の26日は麻生太郎元首相がそれぞれ応援演説を実施。

多数のSPとともに日吉駅に登場した野田元首相(10月24日)

聴衆と演説台の間はスペースが取られ、エスカレーターなど狙撃される恐れのありそうな場所はすべて封鎖された(10月24日、日吉駅)

会場内へ入るすべての聴衆に手荷物検査と金属探知機によるチェックを行っていた(10月26日、日吉駅)

ここでも同様に柵で囲って会場を特設し、入場者全員の手荷物検査を行うとともに、支援者と一般観覧者を分離。また、演説会参加者と通行者を分け、立ち止まっての観覧防止迂回路へ誘導をするための警察官と政党スタッフが多数配置されました。

聴衆と演説者の間には人の入れない数十メートルのスペースを確保するだけでなく、演説台の背後には防弾用とみられる壁を特設。

店舗外のエスカレーターや綱島街道を挟んだ慶應大学側の詰所上など演説者を見下ろしたり、見通せたりする場所はすべて封鎖したうえで警察官が警戒していました。

聴衆と握手する野田元首相ら、周辺には多数のSPが配置された(10月24日、日吉駅)

聴衆と握手する麻生元首相ら、浅尾慶一郎環境大臣も応援に駆け付けたことで、SPの数がさらに多くなっていた(10月26日、日吉駅)

今回は2022年7月に安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃されて以降では初の衆議院選挙となり、万が一の狙撃に対する徹底した対策が見られました。

3年前の前回2021年10月の衆院選では、当時の岸田首相が日吉駅に登場し、通りがかりの通行人も含めて駅構内を埋め尽くして演説を聴いたり、綱島ではイトーヨーカドー綱島店(閉店)前で菅義偉前首相が軽トラックの荷台で演説を行ったりといった場面も見られましたが、今は首相経験者の演説を気軽に聴ける環境ではなくなってしまったようです。

【参考写真】3年前の前回衆院選で当時の岸田首相が日吉駅に訪れた際の様子、今回は警備やスペースの問題から多数の人を一同に集めることは難しくなった(2021年10月30日)

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

【関連記事】

<港北区の衆院比例>自民トップ維持も激減、立憲も増えず、国民は大幅増(2024年10月29日、比例区の結果)リンク追記

<2024衆院選>初めて港北区単独で国会議員を選ぶ、新しい「7区」に4氏出馬(2024年10月16日)

【参考リンク】

神奈川県「第50回衆議院議員総選挙・第26回最高裁判所裁判官国民審査 投開票速報」(10月27日執行、県内全選挙区と比例南関東の投開票結果)

NHK「衆議院選挙2024特設サイト」の神奈川県内全20選挙区の結果ページ(各選挙区の速報)

NHK「比例代表 南関東ブロック」の結果ページ(神奈川・千葉・山梨、定員23人)