港北区内の鶴見川に新たな「橋」を架ける構想は前進するのでしょうか。
横浜市道路局は、今年(2024年)3月から4月に新羽・大倉山地区で実施した「橋りょう新設に関するWEBアンケート」の結果をこのほど公表し、約半数に橋梁(りょう)新設を求める意見があった一方、市が橋梁新設を検討していることを知っていた割合は44%にとどまりました。
鶴見川の「中下流域」(小机大橋~鶴見大橋間)に新たな橋梁を架ける構想については、2015(平成27)年から市道路局が検討を開始。
17区間(17橋間)のうち、「自動車交通」と「歩行者交通(人道橋)」のそれぞれで課題を持つ区間を選び、自動車交通を担う架橋候補地として次の6カ所が残りました。
- 小机大橋~亀甲橋(橋梁間隔1.23km)
- 新横浜大橋~新羽橋(橋梁間隔2.18km)
- 新羽橋~大綱橋(橋梁間隔2.09km)
- 大綱橋~樽綱橋(橋梁間隔1.07km)
- 鷹野大橋~末吉橋(橋梁間隔1.14km)
- 末吉橋~新鶴見橋(橋梁間隔1.45km)
このなかから、都市計画マスタープランとの整合性や、地域からの要望書の有無といった指標に加え、首都高・横浜北線「新横浜出入口」周辺のアクセス向上といった点から「新横浜大橋~新羽橋」(2.18キロ)間が最終候補として残ったものです。
また、歩行者交通を担う架橋(人道橋)候補としても「新横浜大橋~新羽橋」間が残っており、もう一つの候補となった鶴見区の「末吉橋~新鶴見橋」間ではすでに「鶴見川人道橋」が来年(2025年)春の完成へ向けて工事が進んでいます。
「送管橋」活用を検討したことも
自動車・歩行者の双方向けの架橋候補として残った「新横浜大橋~新羽橋」間については、2016(平成28)年度に太尾公園(大倉山7)付近と北新横浜駅に近い新羽ポンプ場(新羽町)に架かる「送管橋」を人道橋に活用できないかを探る調査が行われたこともありました。
しかし、もう一つの候補となっていた「末吉橋~新鶴見橋」間では既存の古い水管橋(歩行者通行可=川崎市所有)が2016年1月に取り壊され、人道橋新設の議論を優先しなければならなかったためか、「新横浜大橋~新羽橋」間では2017(平成29)年度を最後に目に見える形での動きは止まっていました。
それから7年を経た今年、市道路局は「あらためてニーズを探りたい」として3月から4月にかけて新羽・大倉山の両地区で住民アンケートを実施。その結果が9月30日に公表されたものです。
新羽~大倉山の往来「買物」が最多

架橋が検討されている新横浜大橋~新羽橋間の周辺地図、新横浜大橋近くでは「大曲」と呼ばれる急曲線や鳥山川との分岐があるため、橋を架けられる場所は大曲付近から新羽橋間か(2024年9月市道路局の新羽・大倉山地区対象「橋りょう新設に関するWEBアンケート」より)
アンケートは町内会の回覧板などで周知し、大倉山地区で246人、新羽地区(北新横浜含む)は111人、その他地域から6人の計363人から回答が寄せられました。
新羽地区と大倉山地区の往来は両地区とも98%が「ある」との回答で、その目的はトップが「買物」で3割前後、続いて「散歩・ジョギング」「外食」となっています。
新羽地区と大倉山地区の間を往来する際によく利用するルートは、新羽地区では新羽橋が6割弱、新横浜大橋が4割弱と分かれ、大倉山地区は新羽橋が約9割となりました。
通行頻度は、新横浜大橋は新羽地区で「平日週1~2日」、大倉山地区は「月1~2日」がトップ。新羽橋は新羽地区で「平日週1~2日」と「月1~2日」がほぼ同数となり、大倉山地区は「主に土日・祝日」がトップでしたが、「ほとんど毎日」が続きます。
両橋の課題を聞くと、新横浜大橋は「交通量が多い」が両地区で最多。新羽橋は「交通量が多い」と「歩道が狭い」がほぼ同数となり、大倉山地区では「自転車通行空間がない」との回答も多くなっていました。
両地区の道路整備を進めるうえで優先すべき対策を10の選択肢から選んでもらったところ、「橋りょうの新設」が50%弱でトップとなり、「交通安全対策」と「渋滞対策」が続いています。
また、市が橋梁の検討を行っていることを知っているかどうかを尋ねると、「知っている」(22%)と「聞いたことはある」(22%)を合わせて44%にとどまりました。
架橋の検討は7年間も動きが見えなかっただけに、まずは両地区から機運を盛り上げていくことが重要となりそうです。
【関連記事】
・鶴見川の新たな橋は「新羽ポンプ場~太尾公園」間か、“送管橋”活用を市が検討(2017年4月4日)
・<港北高校>鶴見川・新羽人道橋の銘板を揮毫、港北土木が12月設置へ(2019年11月18日)
【参考リンク】
・鶴見川中下流域の適正な橋梁間隔に関する検討(新横浜大橋~新羽橋間で検討、横浜市道路局)