今季のグリッツは200%の力で勝利にこだわり続ける――。
プロアイスホッケー「アジアリーグ」で5シーズン目を迎える「横浜グリッツ(GRITS)」が今週(2024年)9月7日(土)に本拠地のKOSE新横浜スケートセンターで開幕戦を迎えるのを前に運営会社の臼井亮人社長に今季の展望を聞きました。
アジアリーグの「2024-25年シーズン」は9月7日(土)に開幕し、来年3月までに日本と韓国の5チームが各32試合の「レギュラーシーズン」を戦い、1位と2位チームによる「プレーオフ」(先に3勝で優勝)により優勝が決まります。
また、今季は11月末から12月にかけて日本の4チームで争う「ジャパンカップ」(各チーム6試合)も別に行われ、試合数が増加します。
2020-21年シーズンの初参入から5季目を迎える横浜グリッツは、元男子日本代表監督の岩本裕司氏をヘッドコーチに招くとともに、他チームから2選手、国内外の新人3選手が加わり、総勢25選手で今週9月7日(土)に行われる東北フリーブレイズとの開幕戦に挑みます。
今季の体制や展望を運営会社であるGRITSスポーツイノベーターズ株式会社(中区新山下2)の臼井亮人社長に聞きました。
選手の目の色が変わってきた
―― 前シーズン(2023-24年)はこれまで勝てなかった上位の「HLアニャン(韓国)」や「レッドイーグルス北海道」から初の勝利をつかむ一方、4勝28敗で最下位に終わる苦しいシーズンでした
<臼井亮人社長>
前々シーズン(2022-23年)は11勝(29敗)して最下位も脱出できていたので、予想していなかった結果でした。甘くはなかったですね。昨年12月に地元の新横浜で開かれた「全日本選手権」も初戦で負けるとは思っていませんでした。
前季は大敗する試合は少なく、接戦が多くなってきた一方、第3ピリオドで逆転されたり、引き離されたりと勝ち切れない試合が目立っています。
アジアリーグへの参入から4年が経ち、慣れといいますか、運営もチームも変わらなければならない部分を“なあなあ”にしてシーズンをおくってしまったのかもしれません。
―― 今季はトレーニングや練習量を増やしていると聞きました。また、ヘッドコーチ(HC)が過去2季わたってつとめたジェフ・フラナガン氏から元男子全日本監督の岩本裕司氏に変わっています
最後の最後まで集中して勝ち切るにはどうすべきかを考え、今季は練習量も陸上トレーニングの機会も増やしました。密度や強度は上がったと思います。
また、前季まではある程度、出場メンバーを固定化していた面もありましたが、今季は試合に出られる条件を明確化していきます。ハードワークや相手とのバトルをできているかどうかなど基本的な部分ですが、そうしたことをしっかりできている選手が出ることになるでしょう。
岩本HC(ヘッドコーチ)は以前からグリッツのチームと選手の状況をよく把握しており、男子日本代表のスタッフから離れるタイミングで就任をお願いしました。
僕が幼少の頃、札幌で雪印アイスホッケーチーム(2000-01年シーズンで廃部)のジュニアチームに入っていて、当時のスター選手が岩本HCでしたので、不思議な縁を感じます。
―― 今季は新たにレッドイーグルス北海道のベテラン・久慈修平選手(FW=フォワード)と、前季は交流戦でもたびたび戦った「北海道ワイルズ(現東京ワイルズ)」の松金健太選手(DF=ディフェンス)が移ってきます(※本ページ下部に2024-25シーズンの入退団一覧を掲載)
FWの久慈選手(#1)はプロ生活15年目を迎え、プロ選手とはどうあるべきかを熟知しており、我々若いチームに足りなかった部分を補ってくれると思っています。プレーもストイックでまだまだ衰えていません。グリッツではデュアルキャリアとなりますが、仕事もプレーも常に全力です。
DFの松金選手(#52)は「ひがし北海道クレインズ」から前季は「北海道ワイルズ」に移り、その後に豪州でプレーしていました。クレインズ時代から活躍を見ていて、グリッツのDFとしてふさわしいと思いオファーしました。
―― 新人は国内外の大学から3選手が加わることになりました
GK(ゴールキーパー)の冨田開選手(#31)は、早稲田実業2年生の時から北米に渡りました。練習でもさりげなくビッグセーブをしていたり、7年に渡って積んできた経験は大きいと見ています。チーム内では2022-23年シーズンから加わったDF・三浦大輝選手(#74)やFW・杉本華唯選手(#21)と同年代です。
DFのドンファン・キム選手(Dong Hwan Kim)(#4)は韓国の延世(よんせ)大学を卒業後もアイスホッケーを続けたいとの思いが強く、前季の段階でグリッツのトライアウトを受けてもらっていました。真面目で馬力があり、シュートも速いですよ。
同じくDFの畑山隆貴選手(#27)は中央大学に在学中だった昨年12月時点で選手登録を済ませ、今年1月からアジアリーグの公式戦に出てもらっていますが、当初からチームにフィットし、欠かせない戦力になっています。
―― GKは3人を維持し、DFが手厚くなっていますね
GKは海外挑戦した石田龍之進選手が抜け、GKが2人体制だとケガなどでのリスクが高いと判断したものです。前季のDFは6人でしたが、やはり苦しい場面も多かったので、今季は8人に強化しました。(※DF・三浦大輝選手は8月にアキレス腱断裂で長期離脱しており、開幕には間に合わない見通し)
(※)9月6日追記:その後、DFでは練習生としてプレーしていた在家秀虎選手(#2)(27歳、電通IHC←慶應義塾大学)の加入が決まった一方、DF・菅田路莞(ろい)選手(#16)の退団が決まった
―― 今期のチームや運営の体制はどう変わりますか
チームではFW・岩本和真選手(#13)が引き続きキャプテンをつとめ、オルタネートキャプテン(Aマーク)はDF・蓑島圭悟選手(#65)とFW・大澤勇斗選手(#14)です。浅沼芳征監督も含め、運営側の体制も大きくは変りません。
―― 運営面では、新型コロナ禍の真最中(2020-21シーズン)に参入した当初より格段に良くなっているように見えます
コロナ禍の頃は観客を半分しか入れられず、試合をすればするほど赤字になるという苦しい状況でした。その頃から比べると、確かに観客もスポンサーも増えてきましたが、まだまだ我々がすべきことがあると感じています。地元の学校訪問など地域とのつながりも強化していかなければなりません。
4年前と比べデュアルキャリアの理解が進んだという点ではよかったと思います。一方、新規参入の当初は仕事との両立もあって“負けるのが当たり前”といった雰囲気もありましたが、今はもう負けられない環境です。プロなので勝負に徹さなければいけない。
―― 今季の目標はどこに置きますか
目標はプレーオフへの出場(レギュラーシーズン1位または2位)です。
今季のチームは“ハマガチ200パーセント”というメッセージを掲げました。仕事で100%の力を出すのは当たり前ですが、そのうえで“ガチンコ”で勝負しないと、アイスホッケー専業で取り組む他のチームには勝てません。デュアルキャリアだからと逃げていてはいけないという思いも込めています。
―― 今週末9月7日(土)・8日(日)に新横浜で行われる開幕戦は、前季まったく勝てなかった「東北フリーブレイズ」が相手です(※本ページ最下部に2024-25シーズンの試合日程を掲載)
前々シーズンは6勝(2敗)して勝ち越したのですが、前シーズンはフリーブレイズに1勝もできませんでした。今年は同じようにやられないとの思いです。シーズン前の練習量や密度も去年とは全然違って順調で、選手の目の色が違います。
前季はあれだけ負けているのに毎試合会場に来てくださる方が多く、感謝するばかりでした。今季は皆さんに喜んでいただける結果を残します。
―― ありがとうございました
横浜GRITS 2024-25シーズンの入退団
※#=背番号、GK=ゴールキーパー/DF=ディフェンス/FW=フォワード、カッコ内は前所属または所属期間
<新加入>
- ヘッドコーチ:岩本裕司(アイスホッケー男子日本代表アシスタントコーチ・元監督、62歳)
- GK:冨田開(#31)(米国・ニューイングランド大学、25歳)
- DF:ドンファン・キム(Dong Hwan Kim)(#4)(韓国・延世大学、23歳)
- DF:畑山隆貴(#27)(中央大学、22歳)(※)2023年12月選手登録済み
- DF:松金健太(#52)(豪州シドニー・ベアーズ←北海道ワイルズ、29歳)
- FW:久慈修平(#1)(レッドイーグルス北海道、37歳)
- 9月6日追記:DFでは練習生としてプレーしていた在家秀虎選手(#2)(27歳、電通IHC←慶應義塾大学)の加入も決まった
<契約満了・退団>
- ヘッドコーチ:ジェフ・フラナガン(Jeff Flanagan)(2022-24)
- アシスタントコーチ:渋谷一樹(2022-24)
- GK:石田龍之進(#32)(2022-24)→豪州メルボルン・アイス(Melbourne ICE)移籍
- DF:ティム・ヘンリックソン(#40)(Tim Henriksson)(2023-24)
- FW:角舘信恒(#11)(2020-24)
- FW:ジェイク・ホートン(#19)(Jake Horton)(2023-24)
- (※)9月6日追記:DF・菅田路莞(ろい)(#16)(2020-21/23-24)
アジアリーグの2024-25年シーズンにおける横浜グリッツの試合日程は次の通り。
横浜グリッツ 2024-25年試合日程
★印の6試合は「ジャパンカップ」としてレギュラーシーズンとは別の大会として実施
<9月>
- 9月7日(土)15:00:東北フリーブレイズ(新横浜)【詳細】※開幕戦
- 9月8日(日)14:00:東北フリーブレイズ(新横浜)【詳細】
- 9月21日(土)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
- 9月22日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
- 9月28日(土)15:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)
- 9月29日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)
<10月>
- 10月12日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(新横浜)
- 10月13日(日)14:00:レッドイーグルス北海道(新横浜)
- 10月19日(土)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
- 10月20日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
- 10月26日(土)17:00:東北フリーブレイズ(八戸)
- 10月27日(日)15:00:東北フリーブレイズ(八戸)
<11月>
- 11月16日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)
- 11月17日(日)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)
- 11月23日(土)15:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜)
- 11月24日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜)
- 11月30日(土)15:00:★レッドイーグルス北海道(新横浜)
<12月>
- 12月1日(日)14:00:★レッドイーグルス北海道(新横浜)
- 12月14日(土)17:00:★東北フリーブレイズ(八戸)
- 12月15日(日)15:00:★東北フリーブレイズ(八戸)
- 12月28日(土)15:00:★H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)
- 12月29日(日)14:00:★H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)
<2025年1月>
- 1月4日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(新横浜)
- 1月5日(日)14:00:レッドイーグルス北海道(新横浜)
- 1月18日(土)15:00:東北フリーブレイズ(新横浜)
- 1月19日(日)14:00:東北フリーブレイズ(新横浜)
- 1月25日(土)17:00:東北フリーブレイズ(東京・東伏見)
- 1月26日(日)14:00:東北フリーブレイズ(東京・東伏見)
<2025年2月>
- 2月1日(土)15:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜)
- 2月2日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(新横浜)
- 2月22日(土)16:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
- 2月23日(日)14:00:HLアニャンアイスホッケークラブ(韓国・安養=アニャン)
<2025年3月>
- 3月1日(土)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
- 3月2日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(日光)
- 3月8日(土)15:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)
- 3月9日(日)14:00:H.C.栃木日光アイスバックス(新横浜)※本拠地最終戦
- 3月22日(土)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)
- 3月23日(日)15:00:レッドイーグルス北海道(苫小牧)※シーズン最終戦
(※)1位と2位チームのプレーオフ:3月29日(土)・30日(日)・4月3日(木)・5日(土)・6日(日)
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の一部共通記事です
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・【前シーズン結果】<横浜グリッツ>アジアリーグ4季目は4勝、5位で全日程を終える(2024年3月25日)
【参考リンク】
・横浜グリッツ(GRITS)の公式サイト(チームの総合案内)
・横浜グリッツ(GRITS)の2024-25全試合日程(アジアリーグ)
・横浜グリッツ(GRITS)の全選手紹介(2024年9月1日時点でGK3人、DF9人、FW13人の25人)