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地下鉄が順調に回復する一方、バス事業は費用増にあえいでいます。

横浜市交通局は、2023(令和5)年度(2023年4月~2024年3月)の決算速報値を今月(2024年)7月13日に公表し、市営交通全体では10.8億円の増益を確保しましたが、バス事業単体では営業費用の増加で7.4億円の経常赤字となりました。

2023年度(R5)までの乗車人員の推移。地下鉄事業は新型コロナ禍の影響を大きく受けた2020年度(R2)の状況から脱しつつあるが、バス事業の回復が鈍い(市交通局のニュースリリースより)

今年4月から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が改正され、勤務可能時間が短くなったことからバス業界では乗務員不足が深刻化しています。

市交通局では自動車事業における現場職員の大幅な処遇改善を行ったことで前年と比べて「人件費」は7.6%増え、加えて原材料費の高騰で修繕費が増加したため「動力費」も前年比17.3%増となりました。

前年度(2022年度=R4)はバス事業が久しぶりに2億4500万円の黒字を確保したが、2023年度(R5)は再び赤字に転落した(市交通局のニュースリリースより)

この結果、前年は黒字となっていた自動車事業は、前年比0.7%と微増だった乗車料収入では増加した営業費用を吸収することができず、7億4000万円の経常赤字に陥りました。

一方、地下鉄事業(高速鉄道事業)では新型コロナ禍で落ち込んだ乗客数が回復傾向にあることから乗車料収入が前年比5.1%増となったほか、広告料収入や駅構内営業料などの「その他収入」も増加。

地下鉄事業は乗客数が回復したことに加え、運転間隔を伸ばすなどして営業費用を抑えて黒字を確保した(イメージ、2024年3月)

また、営業費用面では電気料金単価が下落したことに加え、昨年3月のダイヤ改正で運転間隔を平均7分30秒から平均10分に伸ばしたことなどから「動力費」を抑えることができ、41億2700万円の経常黒字を確保しました。

【参考リンク】

<横浜市営バス>人員不足で3%減便、港北区内は39・41・96系統などに影響(2024年3月17日、人材不足による減便)

・【前年の決算】横浜市交通局の2022年度決算、バス事業の黒字転換も「回復は限定的」(2023年7月28日)

・【2年前の決算】<横浜市交通局の決算>地下鉄は2年ぶり黒字確保、バスは赤字続く(2022年7月19日)

【参考リンク】

横浜市交通局「令和5年度 市営交通事業の決算(速報)について」(2023年7月11日、横浜市交通局)