篠原園地の隣地にある県有地で半世紀以上にわたって活動してきた動物病院併設の保護施設が存続の危機となりました。
篠原園地の篠原西町寄りで接する公益財団法人「神奈川県動物愛護協会」(篠原台町、山田佐代子会長)が同地を管理する神奈川県から移転を要請されたことをきっかけに、現在地での存続が難しくなり、代替地で活動を続けるためクラウドファンディングサイト「レディーフォー(READYFOR)」で寄付を募っています。
神奈川県動物愛護協会は、1958(昭和33)年に当時の内山岩太郎県知事の妻である登志子さんらが設立し、動物病院の機能を提供するとともに、犬や猫の保護や譲渡といった活動を長年続けてきました。
同協会の拠点は、県が管理する篠原園地とほぼ一体化したような700平方メートル(200坪)ほどの県有地に置かれていますが、ここは園地内ではないといいます。
そんな篠原園地とつながった県有地を借り、これまで半世紀以上にわたって活動してきた同協会ですが、2021年の春に県から退去を要請されたことをきっかけに同地での活動が困難に陥っています。
現在、県は所有する篠原園地を横浜市に譲渡したい意向があるとみられ、当初はそうした一環として移転を要請されていました。
その後、同協会との話し合いの場に横浜市も加わると、今度は市から同協会の建築許可が誤りだったことを指摘されたといいます。
同協会は1958(昭和33)年の設立時から「事務所および付属建物敷地」として土地を借り続けていたものが、市から「事務所で許可した証明書は誤りで、この地は65年前から事務所としての建築はできず、住居でなくてはならない」と指摘を受けることになりました。
賃借から60年以上が過ぎたなかで横浜市から持ち出された指摘に困惑するなか、敷地の所有者である県は同協会に対し、市の指導に沿うか、それができないなら現在地から退去するよう求めています。
神奈川県と横浜市という二つの巨大組織から突如として“要請”や“指摘”が持ち出されることになり、現状では今の場所での存続が難しいと判断した同協会は、現在地から近い篠原西町に移転先を探し出します。
幸い適地を見つけたものの、建築費の高騰もあって建築費用のうち4000万円が不足している状態だといいます。
今回、クラウドファンディングサイトを通じてまずは2000万円を目標に寄付を募っており、5月31日時点で193人から444万5000円が集まっていますが、まだ目標の2割超にとどまっています。
地域の犬や猫に加え、時には飼育放棄されたウサギや特定外来生物に指定されているアライグマなども含め、地道な保護活動を60年以上にわたって行ってきた動物愛護協会。
全国でもめずらしい動物病院を併設した保護施設として、今後も地域に残せるかどうかの岐路に立っています。
(※)2023年6月2日追記:当初、神奈川県動物愛護協会の場所を「篠原園地内」と書きましたが、正式には園地とは別の県有地となっており、見出しなど該当箇所を変更しました。また、同協会が県や市から受けている要請や指摘について詳細をあわせて追記しました
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・【過去記事】子どもに人気の「篠原園地プール」は今夏で廃止、8/31(金)まで最後の営業(2018年7月20日、県は篠原園地の管理面でじわじわ“リストラ”を進めてきた)
【参考リンク】
・神奈川県動物愛護協会「神奈川県の要請で窮地!動物保護施設と動物病院建設費のご寄付を!」(クラウドファンディング「READYFOR」、2023年7月14日締切)
・公益財団法人「神奈川県動物愛護協会」の公式サイト(里親募集や動物病院の案内など)