前年より30人近く多い160人が参加し、全員が集まっての記念撮影も復活するなど少しずつ元の形に戻しながらの式典となりました。
今年で39回目となる「障害者の二十歳を祝うつどい」(横浜市/横浜市障害者社会参加推進センター/横浜市心身障害児者を守る会連盟主催)が今月(2023年)1月8日(日)、鳥山町の障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」で開かれ、横浜市長らが節目となる20歳の門出を祝いました。
1973(昭和48)年から半世紀近い伝統を持つこの式典は、前年まで「障害者の成人の日を祝うつどい」との名称でしたが、昨年4月に成年の年齢が18歳に引き下げられたことを受け、“二十歳を祝うつどい”との表現に変わっています。
主催者を代表して壇上に立った横浜市心身障害児者を守る会連盟で代表幹事をつとめる清水龍男さんは、「大人とは、人のために生きられること。20年間育ててくれたご両親に感謝し、職場や活動の場で社会貢献ができることが一番望まれています」と参加者に向かって話しました。
2年連続で会場に駆け付けた山中竹春市長は、「これから進む道でも出会いやつながりを大切に、どうか失敗を恐れずにチャレンジしてください」と呼びかけ、「横浜市も皆さんのチャレンジをもっともっと応援していきます」と熱いメッセージを披露。
続いて横浜市会(市議会)の清水富雄議長は、「将来は誰にも分かりませんが、言い換えれば大きな可能性があるということ。目標や強い思いを持ちながら日々を過ごしてください。意志あれば道は必ず拓けます」とアドバイスをおくります。
横浜市社会福祉協議会で障害者支援センター長をつとめる内嶋順一さんは、「皆さんの輝いている姿が拝見できる今日の集いが一番楽しみだった」と明かし、「臆せず家の外へ出て、輝いている姿を見せてあげてください。それが大人への第一歩になります」と語りかけました。
参加者を代表して本川裕友太(ゆうた)さんは、新型コロナウイルス禍が続くなかで「開催されたことは本当に嬉しい」と話します。
本川さんは、2歳7カ月で障害があると診断されてから都筑区で通った地域訓練会や地元小学校などでの歩みを振り返り、「今日、この日を迎えられたのも、私を理解し、愛情を注いで育んでくれた家族や支援してくださった先生方、地域の皆さまのお陰です」と感謝。
昨年から屋内で野菜を栽培する仕事に就いているといい、「社会人としての自覚が日に日に強くなるのを感じています。私には障害があり、苦手なこともありますが、得意なこともあります。私たちは一人ひとりが違った個性を持っています。その特性を持ったまま、これからもこの横浜の地で生きていきたい」と述べました。
続いて恒岡葵さんは、「20歳になれたことがとても嬉しい」と話し、現在は作業所で小物を作ったり、カフェでコーヒーを挽いたりする仕事に就いているといい、「今まで出会ったたくさんの人たちに支えられ、助けられて今日の日を迎えることができました」と感謝の言葉を口にします。
「ここまで育ててくれたお父さん、お母さん、本当にありがとうございます。まだまだ助けてもらうことが多いですが、自分にできることを精一杯頑張ります」と今の思いや今後の意気込みを丁寧に話し切りました。
この障害者向けの“成人式”は、新型コロナ禍の影響で2021年は中止となっており、2年ぶりとなる昨年(2022年)は出席者全員に抗原検査を行うなどして開催にこぎつけています。
今年も座席間隔を広く空けるなどの対策を行い、コロナ前は恒例となっていた式典後の祝賀会も行いませんでした。
ただ、前年のように“ピリピリ”とした雰囲気は見られず、式典終了後には体育館で参加者全員が集まって記念撮影を行ったり、館内では仲間と出会って笑顔が見られたりとコロナ前の状況に少しずつ戻りつつあることがうかがえました。
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・【前年の様子】2年ぶりに開催が叶った“障害者の成人式”、「横浜ラポール」に133人集う(2022年1月17日)
【参考リンク】
・「2023年 障害者の二十歳を祝うつどい」を開催します(横浜市健康福祉局、2022年1月6日)
・「障害者の成人を祝うつどい」の歴史について(横浜市心身障害児者を守る会連盟)