神奈川県は「暴力団排除条例」の一部を改正し、来月(2022年)11月1日から新たに県内15の「排除特別強化地域」を選定したうえで、同地域内での“用心棒料”などの利益授受を禁止する措置を追加しています。
この特別強化地域は、横浜市内では関内駅や横浜駅をはじめ、新横浜駅、鶴見駅の各周辺と山下町の5カ所が選定され、川崎市内は川崎駅や武蔵小杉駅、武蔵新城駅の3カ所、このほか相模原駅や横須賀中央駅など県内の計15カ所が選定されました。
新横浜は新横浜1丁目と2丁目が特別強化地域になっています。
これらの15カ所は「風営法に基づく許可・届出数等を勘案して総合的に選定」(県警の説明ページ)したとのこと。
神奈川県警が議会で説明したところによると、暴力団のみかじめ料や用心棒料などを防止する法律による中止命令と、暴力団排除条例による勧告は2017(平成29)年から2021年までに計89件あったといい、約8割が今回の特別強化地域内で起きていたといいます。
「繁華街では、暴力団と事業者との間で用心棒料の授受等が行われるなど、いまだに暴力団と一部の事業者との関係遮断が徹底されていない実態がある」(林学県警本部長、6月21日県議会)として条例の一部を改正したものです。
同様の条例改正は「東京2020オリンピック」開催を控えた2019年10月に東京都でも行われており、“風俗店、飲食店が集中し、暴力団が活発に活動していると認められる地域”として、新宿や六本木といった繁華街から町田駅近くの郊外部まで都内29カ所を「暴力団排除特別強化地域」に指定したところでした。
神奈川県でも11月1日の条例改正後は、特別強化地域内で用心棒料やみかじめ料などの授受を禁止し、要求する側の暴力団だけでなく、提供する側となる飲食店や風俗営業店などの「特定営業者」に対しても「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則を設けています。
これは、「繁華街などでは一部事業者が暴力団に対し、みかじめ料や用心棒料の利益供与を行っている実態があり、関係遮断をさらに推進することが必要」(県警暴力団対策課長、3月1日県議会「防災警察常任委員会」)として設けられた措置。
「規制の対象とした特定の事業者から警察に申告をすれば、その罪を減免する、いわゆる自首減免規定を盛り込んでおり、事業者の自主的な申告を期待している」(林県警本部長、6月21日県議会)とのことです。
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【参考リンク】
・改正神奈川県暴力団排除条例の趣旨・概要(神奈川県警)
・暴力団を追放するために~暴力団排除活動の推進(神奈川県警)