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【レポート】日本で初めてともいえる突飛なアイデアを形にしてから4年、環境にも人にも優しい年に一度の氷上レースが新横浜で定着しつつあります。

60人超の幅広い参加者が集まりレースに臨んだ(9月23日、KOSE新横浜スケートセンター)

第3回となる「氷上電気カート競技会~SDGs ERK on ICE(エスディージーズ・アーク・オン・アイス=ERKは電気レーシングカートの意)」がきのう(2022年)9月23日(金・祝)にKOSE新横浜スケートセンターで開かれ、10歳から70歳まで幅広い出場者が氷の上で「電気(EV)カート」の速さを競いました。

30年近く前から電気自動車(EV)の普及に取り組んできた一般社団法人日本EVクラブ(東京都世田谷区、舘内端代表理事)が2019年に考案したこの競技会。

主催者を代表してあいさつする日本EVクラブ代表の舘内(たてうち)さん、左は毎回会場で大会を盛り上げ続ける司会の秋元郁美さん

「どんどんガソリンを使って、排気ガスを出し続けるようなモータースポーツも確かに面白かったのですが、未来の姿はそうじゃないだろうとの思いがありました」と語るのは、かつてレーシングカーの設計やF1レースに携わってきた日本EVクラブ代表の舘内端(たてうちただし)さんです。

この日だけはスケート場が100メートルのレースコースとなる

新たにSDGs(エスディージーズ)に対応したカーレースとして、電気(EV)カートにスパイクタイヤを装着してスケート場で走らせることを4年前に思いつきます。

氷上をスケートで滑るのではなく、レーシングカートを走らせるという突飛ともいえるアイデアに対し、KOSE新横浜スケートセンター側が理解して使用を快諾し、4年前の実験イベントを皮切りに過去2回の本大会を開いてきました。

電気(EV)カートはスタッドレスタイヤを装着し、さらにスパイクを打ち込むという独自の仕様となっている

全国から参加者が集まるにもここが一番いい」(舘内さん)と第3回大会となる今回も引き続き新横浜で開催。

今大会では新横浜に住む中学生が「去年会場で見て出てみたかった」と競技に初めて出場するなど、地元でもその存在が知られつつあることがうかがえます。

経験者による「エキスパートクラス」は4台で速さを競う。追い抜きが難しく、コーナー(カーブ)の位置取りとアクセルの微妙な加減速をできるかどうかが鍵となる

また、公募で集まった60人超の出場者のなかには、10歳の女児や70歳の男性、普段は車椅子を使っているというカート競技未経験の女性など多彩な層がレースに臨み、経験の有無や年齢を問わず多くの人が楽しめる競技であることも示しました。

日常で車椅子を使っているという女性はカート未経験ながら「スケートが好き」という理由でレースに出場、杖を使ってカートに乗るまでは少し時間はかかったが、氷上では疾走して速さを競っていた

ただ、未経験者を対象とした「ビギナークラス」は参加希望者が多く、今回も募集後すぐに24人の出場枠が埋まっています。

3つある各クラスごとに表彰式も行われ、レースで1位になった出場者にはメダルが授与される

カートレースの経験者が2人1組のチームでトーナメントに挑む「マスタークラス」はコーナーで激しく競り合う

現在は年に1回しか競技会が開かれておらず、氷上でのカート走行を経験する機会がないため、「他のスケート場でも行ってほしい」との声も。舘内さんは「運営ノウハウは提供するので、ぜひ“地産地消”のレースを」と応じていました。

一方、新横浜でこれまで3回続いている大会については、「クラブ(日本EVクラブ)がある限りは続けていきたい」(舘内さん)と話しており、4回目となる来年の大会開催も期待したいところです。

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初秋の“新横浜名物”、9月23日(祝)に「EVカート」の氷上レース(2022年9月15日)

・【過去記事】日本初の“氷上モータースポーツ”を提案、7/13(土)に新横浜で無料公開イベント(2019年7月9日、最初に行った実証イベント)

【参考リンク】

SDGs ERK on ICE(氷上電気カート競技会)(一般社団法人 日本EVクラブ)