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半世紀近くにわたって親しまれてきた旧横浜篠原郵便局の局舎が地域の“食と文化の交流拠点”として生まれ変わろうとしています。

篠原町に本社を置き、建築設計などに携わる株式会社ウミネコアーキは、旧篠原郵便局の局舎を活用した文化交流拠点「アルノー(ARUNŌ)」を来月(2022年)7月9日(土)からプレオープンします。

2021年まで使われていた旧横浜篠原郵便局の建物は半世紀弱の歴史がある

1975(昭和50)年に開局した篠原郵便局は、昨年(2021年)7月に新横浜駅の篠原口に近い大豆戸町へ拡張移転しており、現在まで旧局舎は活用されていない状態でした。

「篠原郵便局の旧局舎は建物として良いデザインで、もし解体されてアパートや駐車場になってしまうとしたら非常にもったいない」と話すのは、今回の運営会社ウミネコアーキで代表取締役をつとめる若林拓哉さんです。

各地を飛び回るなか地元のオフィスに戻って「アルノー」の準備作業を急ぐ若林さん

大学院修了後から建築家として活動する若林さんは、生まれも育ちも地元の篠原町内。法人化した現在は全国各地で建築物の設計や完成後の施設運営企画などに携わる一方、篠原町表谷地区の店舗兼住宅「新横浜食料品センター」のリニューアル計画も進めている最中です。

近年は著名なうなぎ店「スズキ」(2021年末閉店)が営業するなど、表谷地区の買物・飲食スポットとして半世紀以上の歴史を持つ新横浜食料品センターですが、これを建設したのは若林さんの祖父だったといいます。

篠原町の表谷地区にある「新横浜食料品センター」は建設から55年、右端の店舗にはウミネコアーキも入っている

「祖父が新横浜食料品センターを建ててから55年が経ち、今はかなり老朽化して改修が必要な状態ですが、多くの方に親しまれた建物の歴史と記憶を未来に残していきたい」(若林さん)との思いから、一部保存のあり方やリニューアル後の活用方法をこれまで数年間かけて慎重に検討。

そんななかで、地元での縁から近所の建築物として若林さんが高く評価していた篠原郵便局旧局舎を借りられるとの話が舞い込んできました。

「新横浜食料品センターを“地域の食の拠点化”したいと考えていたところでしたので、篠原エリアを面でとらえ、旧篠原郵便局の局舎でも、まちのために役立つ面白いことができれば」と、食と文化の交流拠点として運営に乗り出したといいます。

飲食販売や展示スペースを貸出

「ARUNŌ(アルノー)」の公式サイト、施設の名はシートン動物記の作品「伝書鳩アルノー」を由来としており、郵便局としての記憶を“伝書鳩”に込めている

アルノー(ARUNŌ)」と名付けた旧局舎では、約100平方メートルのスペースを改装し、1カ月単位での飲食物販売を想定した「シェアキッチン」をはじめ、モノの展示や販売を想定したボックス「マドグチ(窓貸し&チャレンジショップ)」といった貸し出しスペースを設置。

また、地域のフードロス削減を目指すというコンセプトで、冷凍食品を提供する「フローズンカフェバー」を常時設け、飲食店がほとんどなくなってしまった篠原町エリアの“飲食スペース”的な役割も担いたい考えです。

このほか、1時間単位で使用可能な「シェアラウンジ」の開設や、キッチンカーの出店をイメージした屋外出店スペースの貸し出しなども行い、複合的な機能を持つ食と文化の交流拠点を目指す計画としています。

「ARUNŌ(アルノー)」は新横浜駅の篠原口(横浜線側)から徒歩5分ほどの位置にある

アルノーの正式オープン日は8月10日(水)ですが、1カ月前となる来月7月9日(土)以降は「地域の方にお披露目の機会になれば」(若林さん)と、プレオープン期間として施設を開けて公開する予定です。

ウミネコアーキの新規事業として始めることになるアルノーは、企業として採算ベースに載せていくことが求められる一方、今後の運営でノウハウを蓄積したうえで、将来的には日本各地にある“元郵便局”の建物を活用して広げていく構想も描いています。

【関連記事】

新横浜駅の至近に「篠原郵便局」、新幹線脇の新たな建物内で拡張オープン(2021年7月20日)

【参考リンク】

ARUNŌ(アルノー)の公式サイト(旧篠原郵便局の場所、7月9日プレオープン)

株式会社ウミネコアーキ(篠原町)の公式サイト(新横浜食料品センターについても)