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【コラム】来年(2023年)3月に「相鉄・東急直通線(新横浜線)」の開業を控え、新横浜とその周辺で起きている建物解体や建設など、土地の使い方が変わる動きについて多くの情報が寄せられています。2022年2月時点での現状をコラム形式でお伝えします。

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新横浜1のパチンコ店跡は解体

解体直前の旧パチンコ店・駐車場ビル、手前は環状2号線(2022年1月)

マンションの目立つ新横浜1丁目ではめずらしい商業・飲食施設の一つとして挙げられるのが、環状2号線沿いで2017(平成29)年3月までパチンコ店が営業していた大型の駐車場ビル

1994(平成6)年に建てられた地下1階・地上8階建ての建物は多くのフロアが駐車場で、1階にあったパチンコ店跡は配送センターに転用。併設の飲食店なども営業を続けていましたが、昨年秋以降に順次閉鎖しています。

パチンコ店閉店後も店頭で営業していた立ち食いそば店はファンが多かった(2020年1月)

別棟には2つの飲食店が入り、新横浜1丁目では貴重な食事スポットとなっていた(2017年4月)

同土地と建物は、2020年に中部エリアの住宅事業者に所有が移った後、昨年(2021年)末には東京都杉並区のマンション建設事業者に転売された模様。同社が年初から解体工事を実施している最中です。

※2022年2月17日追記:現在、現地の解体現場には株式会社日本エスコン(東京都港区)が「マンション建設予定地」と書かれた大型広告を掲出し、そのとなりにはファーストコーポレーション株式会社(東京都杉並区)の企業PR広告も掲出されています。なお日本エスコンは港北区内で大倉山5丁目にあったスーパー「成城石井」跡地を2018年に取得し、その後にマンションを建設しています

新幹線高架沿いでは“ファッションホテル”の解体が進む(2022年2月)

このほか、同じ新横浜1丁目の「新幹線高架側」のエリアでは、マクニカ第1ビルの隣接地で営業していた“ファッションホテル”の1店が昨年末に閉店

6階建ての建物は年初から解体工事に入っており、約500平方メートルの跡地には9階建ての「共同住宅」来年夏ごろまでに建てることを建築看板で告知するなど、新横浜1丁目での建物解体や建築の動きは相変わらず目立ちます。

鉄道会社系が持つ2カ所の土地

2021年夏に閉店したパスタチェーン、写真奥は横浜アリーナ(2019年12月)

一方、新横浜2丁目と3丁目で気になる動きもあります。横浜アリーナに隣接した新横浜3丁目の「太尾新道入口」交差点至近の環状2号線沿いでは、独立した平屋の建物を使って営業していた全国系パスタチェーンが昨年(2021年)夏に閉店しています。

跡地は未舗装の時間貸し駐車場となっている、写真右は市有地のフェンス(2022年2月)

現時点では未舗装の時間貸し駐車場として使われていますが、750平方メートルほどの土地を所有しているのは大手鉄道会社系

旧駐車場として舗装されている市有地は長年活用されていない(2022年2月)

この土地の背後には、横浜市が所有する1500平方メートル超の未利用地(旧駐車場時代の舗装済み)が存在しており、市が活用を企図したり、東京2020オリンピック前に主催者から活用が期待されたりしたことがあるものの、最終的には断念していた経緯があります。

市有地の売却や活用の方針が決まれば、旧パスタ店跡地とあわせて計2300平方メートルほどの敷地が環状2号線と太尾新道に接する場所に生まれることになります。

また、新横浜2丁目の新横浜中央通りでも動きが見られます。コートホテル新横浜の隣接地に建つ2階建ての立体駐車場「アポロパーク新横浜」が先月1月15日に閉鎖され、今月から解体工事が始まりました。

ビルの谷間といった場所にある立体駐車場「アポロパーク新横浜」、左の建物はコートホテル新横浜(2021年9月)

閉鎖され、解体工事が始まったアポロパーク新横浜、右側は「星乃珈琲店」などが入るTPR新横浜ビル(2022年2月)

同パーキングなど1200平方メートル超の土地を昨年冬に入手していたのは、先ほどのパスタ店跡地の所有者と同じ大手鉄道会社系でした。

来年3月の新路線開業では新横浜での存在感が増すであろう鉄道会社系が所有する2カ所の土地。どう活用していくのかに注目したいところです。

新横浜周辺で次々と消える農地

篠原町の表谷地区から新横浜駅へ向かう坂道から見える畑は、どこかほっとさせられる風景だったが、今はもうない(2017年3月)

新幹線の駅が開業するまでは一面の田畑だった新横浜。その面影を令和の時代まで残し続けていたのが、駅篠原口側の大豆戸町や、新横浜3丁目の横浜アリーナ横にある農地でした。

これらが昨年秋以降に相次いで駐車場化され、新横浜駅付近の農地は、ほぼ消えてしまうことになりました。

新横浜“駅前”の大豆戸町にあった畑は駐車場化された(2021年10月)

同農地に限らず、営農者の高齢化に伴う事業継承の困難や相続タイミング、家庭事情など、農業を続けることができない背景はさまざまですが、新横浜周辺のような市街地で営農を続けることの難しさを表しているかのようです。

横浜アリーナ(写真奥)の正面左側に残っていた畑(2018年10月)

新横浜三郵便局のとなりに位置していた畑も昨年秋に駐車場工事が始まった(2021年10月)

同じ時期には、新横浜から近い菊名寄りの環状2号線近くにあった大豆戸町の農地も駐車場化や整地が完了。

環状2号線のPCデポ新横浜店の裏手、大豆戸町にあった畑も相次ぎ整地され、一部はガレージ付きアパートに使われるという(2021年10月)

このうち一部は上場企業が借りたうえで「ガレージ付賃貸住宅」を設けると発表したところ、株式市場で話題を集め、同企業の株価が上がったという出来事もありました。2月時点でまだ未着工です。

また、農地の減少は小机駅の北口(日産スタジアム側)駅前でも続いており、新たな開発も取り沙汰されています。

小机駅の横浜方面ホームから見えていた北口の農地(2021年7月)

昨年12月ごろからアスファルト化工事が行われた。右奥は小机駅駅舎(2021年12月)

新横浜3では分譲マンション2棟

新横浜周辺での住宅需要は新路線の開業で高まっており、横浜アリーナ周辺の新横浜3丁目で分譲マンション建設が2つ進行中です。

結婚式場跡に建てているマンションは完売したという(クリオ新横浜マスタープレイスの公式サイトより)

旧「HANZOYA(ハンゾウヤ)」跡では明和地所(東京都渋谷区)の「クリオ新横浜マスタープレイス」(11階建て51戸=完売)が今年7月までに完成予定。

新横浜3丁目交差点の駐車場跡は、名鉄不動産(名古屋市中村区)による「(仮称)メイツ新横浜Ⅱ(2)」(11階建て118戸)が2024年3月の完成に向けて工事が進みます。

また、分譲ではないものの、新横浜1丁目の横浜線脇(城里ガード付近)、鳥山川近くの駐車場跡では信和不動産(大阪市中央区)による賃貸マンション「スプランディッド新横浜」(11階建て94戸)が来月3月に完成の予定です。

新横浜の横浜線ガードでは唯一、車の通行が可能な「城里ガード」の近くで11階建ての賃貸マンション建設が進む(写真左奥)(2022年2月)

オフィス改装進む、自社ビル建設も

昨年9月に空室率が6%台に達するなど、新型コロナウイルス禍を契機としたテレワークの進展もあって大手企業の撤退が相次いでいる新横浜の賃貸オフィス

リコー新横浜事業所が入っていた20階建てのユニゾ新横浜ビルは「新横浜ビジネスタワー」という名に(2022年2月)

現在、昨年6月に撤退したリコー新横浜事業所が入っていた20階建ての「新横浜ビジネスタワー(旧ユニゾ新横浜ビル)」(新横浜3)では改装工事が行われるとともに、一部フロアで入居者募集も実施。

新横浜ビジネスタワーの改修工事は5月ごろまで続く模様(2022年2月)

また、新横浜1丁目の横浜線近くにある8階建ての「SRビル新横浜(旧コムシス新横浜ビル)」も改装工事を行っています。

新横浜1丁目の「SRビル新横浜」(旧コムシス新横浜ビル)でも昨年12月から改修が行われており、3月末まで続く見通し(2022年2月)

このほか、新横浜2丁目KOSE新横浜スケートセンター隣接地では、約674平方メートルの駐車場跡に、安全靴などの工事用具メーカー・ミドリ安全株式会社(東京都渋谷区)が地下1階・地上7階建ての新横浜事業所ビルを建設しており、今年10月の完成を目指し工事が進みます。同社は2008年ごろまで同地に横浜支店を置いていましたが、その後に新羽町へ移転し、駐車場として使っていました。

スタジアム通りの新横浜スケートセンターとなりでは、ミドリ安全が7階建てのビルを建設中。同社はかつてこの場所に支店を置いていた(2022年2月)

今後、新横浜の交通利便性は高まるだけに、さらに新たな企業の進出に期待したいところです。

新横浜出入口の近くに“物販店舗”

横浜北線のトンネル真上では首都高速道路による「物販店舗」の開発が進む、左は東急バスの「亀甲橋」バス停(2022年2月)

新横浜の市街地からは離れますが、首都高「横浜北線」の新横浜出入口(新羽町)近く、亀甲橋(かめのこばし=亀の子橋との表記もあり)の付近では、地下を走る横浜北線の地上部を使った店舗開発が進められています。

首都高速道路による「(仮称)新横浜インター店舗新築工事」では、トンネル地上部の2370平方メートルを使って25台分の駐車場と平屋建ての物販店舗を設ける計画です。

店舗は25台分の駐車場を備えるといい、横浜生田線だけでなく、横浜北線の開業時に設けられた鶴見川沿いの新道「長島大竹線」(写真右側)にも面している(2022年2月)

開発事業を告知する現地の看板によると、一部の事業者名は、港北区内でのコンビニエンスストア新設計画時にたびたび記載されている社名。最近では昨年8月末に新羽駅近くの県道「横浜生田線」沿いで「セブンイレブン横浜新羽町店」をオープンする際にも記されていました。

すでに新横浜出入口の近くでは、横浜生田線沿いに「ローソン新横浜インター店」(2019年3月)が出店しており、もし新たなコンビニが出店した場合には、真っ向から“対決”する形となりそうです。

今回の報告は以上です。今後も変化が予想される町の様子は、随時取り上げていきます。多数の情報提供ありがとうございました

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