鶴見川流域に点在する“杉山神社研究”の集大成という位置付けになりそうです。2016年から港北区内で定期的に行われてきた研究発表イベント「杉山神社フォーラムⅣ(4)」(篠原城と緑を守る会主催、鶴見川舟運復活プロジェクト共催)が今月(2021年)12月11日(土)に港北公会堂で1年9カ月ぶりに開かれます。現時点で同フォーラムの最終回となる見通しです。
新羽町の2社をはじめ、新吉田町や岸根町、樽町と港北区内だけでも5社が残り、現在も鶴見川流域を中心に40以上が存在している「杉山神社」は、19世紀初めには70社以上があったとされています。
その後に合祀(ごうし=合併・整理)で別の名となった神社も目立つものの、「なぜ特定の地域にだけ杉山神社が多いのか」「本社はどこなのか」などの疑問に対し、現在も決定的な答えは見つかっておらず、古くは江戸時代後期からその謎に挑む研究が行われてきました。
そんな杉山神社をテーマに、現代の研究者による知見を発表する場となってきたのが2016(平成28)年10月に第1回が行われた「杉山神社フォーラム」です。
これまでに歴史的位置付けや過去の研究成果、流域の開発と杉山信仰、杉山神社に伝わる芸能といった発表が行われ、2019(平成31)年3月に開かれた第3回で終了とする予定でしたが、参加者からは新たなテーマでの見解を求める声があったため、翌年2020年3月に第4回を企画。
しかし、新型コロナウイルス禍の影響で1年以上にわたって開けず、今月になってようやく開催にこぎつけました。
今月12月11日(土)に行われる「杉山神社フォーラムⅣ(4)」では、横浜市ふるさと歴史財団の埋蔵文化財センターに所属する古屋紀之さんが古墳などの考古学的な視点から「杉山神社の祭神が暗示する鶴見川流域における山と海の文化交流について」とのテーマで考察。
続いて古代鉄文化の専門家で日鐵テクノロジーの伊藤薫さんと、「麻生歴史の会」に所属する岡田誠治さんは流域の鉄文化と杉山神社の関係に着目し、NPO法人鶴見川流域ネットワーキングの代表で慶應義塾大学名誉教授の岸由二さんは、海上からの文化伝播に注目しながら、それぞれ杉山神社の謎に迫ります。
その後の討論会では、著書の「わがまち港北」内でも杉山神社を取り上げてきた大倉精神文化研究所の平井誠二さんがコーディネーターとなり、5氏が意見を交わす予定です。
5年超にわたって続いてきた「杉山神社フォーラム」のフィナーレとなる可能性が高い第4回は、港北公会堂を会場に13時から3時間にわたって実施。入場は無料で事前予約も不要ですが、資料代として1人500円が必要となっています。
【開催当日の様子※12月11日写真追記】
【関連記事】
・創建500年に向け神社に「舞殿」完成、10/5(土)岸根まつりでお囃子披露(2019年10月5日、岸根杉山神社の話題)
【参考リンク】
・篠原城と緑を守る会の公式サイト(12月11日の「杉山神社フォーラムⅣ」に関する情報も)
・シリーズわがまち港北「第51回 杉山神社を探そう」/「第52回 杉山神社の有力候補」/「第53回 区内の杉山神社」(大倉精神文化研究所、杉山神社に関する基礎的な情報と考察)