街の治安や風紀の悪化を許さない――警察、消防などのパトロールによる啓発、違反や指導の件数は171件に上りました。
神奈川県警察本部、港北警察署、横浜市消防局など市や区の11の関係部局は、今月(2021年)7月15日夕刻から夜間にかけての時間帯に、新横浜駅周辺の繁華街での「夜間合同啓発指導」を実施。
「コロナ禍」により、やや控えめの体制となったものの、県警本部と港北警察署、横浜市消防局や建築局、市民局、健康福祉局や道路局、都市整備局、港北土木事務所や資源循環局、港北区地域振興課などから約60人が集結。
新横浜駅前交番(新横浜2)付近での出発式の後、10つの班に分かれて、建物や店舗内外での啓発・指導を行いました。
「新横浜の繁華街」といわれる2丁目周辺に所在する飲食店での火災予防や防犯、道路上の設置物などに対し、消防法や道路交通法など法令に基づいたパトロールを実施。
警察、消防局、健康福祉局による店舗啓発件数は108件、避難通路に物品が置かれている、防火設備の不備などの消防法違反件数は16カ所、道路上における禁止行為や道路不法占用における看板指導件数は18件、客引き行為者への啓発活動は7件、放置自転車に対する啓発指導数は22件、不法投棄場所も1件確認するという結果となりました。
あわせて実施した資源循環局と港北区地域振興課によるごみのポイ捨て防止、ごみ拾い活動によるごみの量も約8キログラムにも達していました。
「客引き」そのものが迷惑行為になることも
最も目立っていたのが、「客引き」行為。横浜市では「客引き防止(禁止)条例」を定めておらず、現在は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」もしくは「神奈川県迷惑行為防止条例」の適用でのみの取り締まりとなっています。
特に、通常、酒類の提供を行う飲食店では、新型コロナウイルス感染症拡大にともなう「まん延防止等重点措置」により来店客が大幅に減少していることから、「来店客を、各店が奪い合うような状況になっています。悪質な客引きも目立ちはじめているので、注意が必要です」と、県警生活安全総務課の岡崎敏明さんは、コロナ禍で悪化する店舗周辺の体感治安を懸念します。
特に、複数の店員が通行する人に声をかけ、客引きを行う状況がこの日も見られており、「強引な客引きでなくても、声掛け自体が迷惑行為になりかねません」(岡崎さん)と、店頭に立つ飲食店の店員にていねいな指導を行っていました。
「歩道上」の路上看板もエスカレート気味
「コロナ禍」以前から、新横浜駅北口から新横浜2丁目エリアには、歩道に飲食店の違法な看板が目立つ状況が続いてきました。
道路上に看板などを設置する場合、道路交通法(第32条)に従って道路管理者の許可が必要になりますが、同課の永田勇樹さんも、「少しでも来店者を増やそうと、コロナ禍を経て、違法看板が段々とエスカレートする傾向も見られます。法令はきちんと守ってもらえたら」と強く訴えます。
いざの火災に備えて「避難通路の確保を」
港北消防署の署員は、避難口がふさがれていないか、非常階段を物置代わりに使用していないか、訪問した1店舗ずつ確認を行い、指導を実施。
新横浜の歓楽街の飲食店は狭いビルが多いといい、「店舗へはエレベーターが1機しかない場合が多く、火災などが発生した場合は非常階段が生死を分ける避難路となってしまいます」と、市消防局予防部指導課長の間正(ましょう)勝司さん。
「非常階段を普段使用しないからと物を置くのは間違い。避難通路を必ず確保して欲しい」と、前任地の港北消防署で警防課長・消防司令長を務めた経験を持つ間正さんは呼び掛けます。
今回の啓発・指導では、受動喫煙防止や放置自転車対策といった条例に基づく指導書の貼付といった活動も実施するなど、「おもてなし」と「ビジネス」の街の両面を持つ新横浜の街の特性を重点的に考慮してのパトロール活動となりました。
特に港北警察署では、新横浜でも先週7月22日からサッカー競技の試合が始まった「東京2020オリンピック」の無事の開催を見据え、市の関係機関と協力しての「港北警察署道路利用適正化推進連絡会」を設置しているとのことで、道路上の立て看板については、同連絡会と連携を行い、より安心・安全な来街者環境を整えていく考えです。
【関連記事】
・<新横浜の繁華街>違反・指導はのべ201件、W杯・五輪前に夜間一斉査察(2018年11月28日)
・条例がない横浜市なら客引き可能?新横浜の歓楽街で店舗への注意喚起キャンペーン(2016年9月28日)
・<新横浜周辺>ラグビーW杯や五輪前に警察・市民がタッグ、暴力団追放キャンペーン(2018年10月16日)
【参考リンク】
・歓楽街総合対策-健全で魅力あふれるまちづくりに向けて(神奈川県警察本部のサイト)