街から「ポイ捨て」をなくしたい――高校生の願いは、菊名、そして大倉山の駅を行き交う人々の心に届くのでしょうか。
横浜市資源循環局港北事務所(大豆戸町)は、旧「高木学園女子高校」として地域に知られる英理女子学院高校(学校法人高木学園・菊名7)の在学生から寄贈された「STOPポイ捨て」ポスターを、先月(2021年)4月27日から、同校にも近い菊名駅(同)西口と、大倉山駅(大倉山1)近くに掲示しています。
このポスターを制作したのは、同校の3年生として在学する松岡芽依(めい)さん。
ポスターに「たばこが自然に還ることはない」、「たばこが帰る先は人間だ」との文言を配置し、たばこのポイ捨て禁止を呼び掛けています。
同校が進めるグローバル(国際)教育のなか、「総合的な学習の時間」内で3年間かけて学ぶというSDGs(持続可能な開発目標)の授業において、松岡さんがこのポスターを制作したといいます。
小さい頃から絵を書くのが好きで、同校では美術部に所属しているという松岡さん。
同校で学ぶSDGsの課題を考えたときに、最初に浮かんだ「たばこについて何かしたい」と思ったことが制作のきっかけだったとのこと。
1年時にSDGsの基礎を学び、2年時には修学旅行で訪れる米スタンフォード大学(カリフォルニア州)での英語でのプレゼンテーションの実施、3年生では改善と解決案の実行としての集大成として成果をまとめる作業があるといい、松岡さんは、その「解決策として、街の人々に訴えかけるポスターの制作を行いました」と、3年間の“学びの集大成”としてのポスターであると説明します。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響で、学校が長期休暇になった際、「友だちにも会えず、つらい思いを抱きました」と松岡さん。
松岡さんは、この休校期間に、授業で使用していたタブレット端末でポスターを制作。ポスターに描いた川には意味があるといい、「川は、側溝からはじまり、食卓のテーブルにまで最終的にはつながっています。食卓にあがる魚は、ポイ捨てされたたばこが浮かぶ汚い川を泳いだ魚かもしれません」と、環境問題について日々感じてきたことをポスターに込めた、その想いについて熱く語ります。
松岡さんが通学で使用する菊名駅西口にもポイ捨て防止を呼びかける資源循環局の横断幕があったこともあり、「自分のポスターも何か役に立つのではないか」と考え、まずは港北区役所(大豆戸町)に連絡を入れたとのこと。
1908(明治41)年の創立以来113年もの歴史を重ねた同校の高木暁子(あきこ)理事長は、「今後は、さらに地域と密着していきたいと思っています。特に理数系やコンピューターサイエンスの分野においても、生徒たちがより活躍していけるようにと準備しているところです」と、校名変更後の第1期生でもある松岡さんたち生徒の挑戦、そしてデジタル技術を活用しての“地域社会”に向かう心を後押しします。
先月(2021年)4月20日に、同区役所を通じてポスターを寄贈された資源循環局の松本美穂所長は、「環境について、自ら進んでアイデアを出す姿勢が素晴らしいと感じました」と、松岡さんが“自ら”ポスターを制作し、掲示を申し出てくれたことを称えていました。
街を行き交う人々が「ポイ捨て」をしない、させないようにするには。
一人の高校生が描いたポスターに込めた願いが、地域全体へと広がっていくことが求められることになりそうです。
【関連記事】
・もったいないから“ありがとう”へ、余った食品の寄付「フードドライブ」を区が受付(2020年9月30日)
・菊名駅西口近く、高木学園女子高の2016年「学園祭」は10/1(土)と2(日)に(2016年9月26日)
【参考リンク】
・資源循環局 港北事務所のサイト(横浜市)