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2011(平成23)年3月11日(金)に発生した「東日本大震災」からきょうで10年。先月(2021年)2月13日(土)夜には福島県沖を震源とした大きな地震が発生するなど、いつ新たな被害が起きても不思議ではない状況です。横浜市内で最多の人口(35万6368人=2020年9月時点)を持ち、新横浜をはじめとしたオフィス街が位置する港北区では、自宅など周辺の被害対策とともに、多数の避難者や帰宅困難者への対応も求められます。

横浜市が被害を想定する4つの地震、もっとも被害の大きい元禄型関東地震は「発生確率は低い」とされている(市のページより)

横浜市では、4つの地震発生を対象とした被害想定をまとめており、各区や地域ごとに震度の強弱や液状化の危険性が視覚的に分かるようにマップ化しているほか、さまざまな想定数値を算出しています。

市が対象としている4つの地震のなかで、もっとも大きな被害が想定される「元禄型関東地震」は「想定外の事態をなくそうという考え」(横浜市地震被害想定調査報告書)から取り上げているものの、「発生確率は低い」(横浜市地震防災戦略)とされています。

また、「南海トラフ巨大地震」も同様に「東日本大震災を踏まえ、想定外をなくす考え」(同)から選定されたもので、もう一つの「慶長型地震」津波被害の検討対象として選んだとのこと。

一方、「東京湾北部地震」はいわゆる“首都直下型地震”の一つで、「本市中心部から東京側では揺れ・火災により相当な被害が見込まれます」(横浜市地震防災戦略)といい、東京都に近い港北区内では、この地震の被害想定に注目したいところです。

「東京湾北部地震 地震マップ」では、区内でも震度5強から6強まで揺れ方が異なると想定されている(同マップより)

東京湾北部地震を想定した市の「地震マップ」では、港北区内の位置ごとに想定される揺れの強弱が表されています。

たとえば、丘の多い大倉山公園付近をはじめ、菊名や大豆戸町の一部などでは揺れが比較的小さくなると想定される一方、小机駅の日産スタジアム側一帯などでは、揺れが強くなるとしています。

もう一つ確認しておきたいのが「液状化マップ」です。

東京湾北部地震では鶴見川や鳥山川沿いなどで液状化の危険性が高いと想定されている(横浜市の液状化マップより)

東京湾北部地震を想定した同マップでは、新横浜1丁目や小机駅の周辺鶴見川や鳥山川沿いなどで液状化の危険性があると指摘されています。

さらに港北区独特の課題として、居住者だけでなく、来街者を含めた人口の多さが挙げられます。

区内における平日12時推定滞在者数は23万8590人市内18区最多で、このうち通勤・通学・来街者ら4万7385人が帰宅困難者になると推定されており、これは大規模なオフィス街を持つ中区や西区に次いで多い数です。日産スタジアムや横浜アリーナで大規模な催しが行われている日なら、さらに増える可能性があります。

平日12時の昼間滞在人口は横浜市内18区で港北区が最多、帰宅困難者も4万7300人超にのぼると想定されている(「横浜市地震被害想定調査報告書」を一部加工)

また、東京湾北部地震の想定(18時発生)では、避難者数や避難所生活者数が鶴見区に次いで市内2番目に多く、発生1日後の避難者は5万人超におよび、1カ月後も1万人超が避難所生活をおくると想定されています。

いずれも地域や個人では対策が難しいだけに、まずは自らが住む場所の現状を認識したうえで、避難所の確認や防災用品の準備など基本的な対応策をこの機会に確認しておきたいところです。

)見出し左の画像は、東日本大震災後に新横浜で定期的開催されている帰宅困難者への対策訓練の様子(2019年3月)

【関連記事】

東日本大震災後もすぐに復活した小中学校、港北区の被害を振り返る(2020年3月11日)

新横浜駅で「帰宅困難者」になったらどうするか、一時滞在施設へ移動訓練の様子(2019年3月11日)

<情報拡充>土地の「成り立ち」や「リスク」が見える便利な防災地図サイト(横浜日吉新聞、2020年7月22日)

【参考リンク】

東京湾北部地震 地震マップ(首都直下型地震を想定した横浜市内18区の揺れの強弱をマップ化)

東京湾北部地震 液状化分布図(首都直下型地震を想定した横浜市内18区の液状化危険度をマップ化)

横浜市地震被害想定調査報告書(市内における被害想定の一覧)