目前に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)と来年夏の東京2020オリンピックでテロを防ぐには“地域の眼”がもっとも大事――。
港北区内の行政や団体、企業など120社・団体で結成された「オール港北オリンピック・パラリンピック等対策協議会(オール港北)」が今月(2019年5月)30日に港北警察署で全体会合を開き、神奈川県警本部のオリンピック・パラリンピック対策課から講師を迎え、テロ対策のポイントなどを学びました。
近年世界で起きているテロ事件は、警備が比較的手薄で、多くの人が集まるイベントや場所など「ソフトターゲット」と呼ばれる一般の人々を無差別に狙って、世界的な注目を浴びようとするケースが頻発しています。
今年9月21日からのラグビーW杯や、来年7月23日からの五輪サッカー競技で、試合会場となる日産スタジアム(横浜国際総合競技場)をようする新横浜の街は、世界中から多数の来訪者が集まることになるため、より警戒を強める必要に迫られています。
昨年2月に結成された“オール港北”では、港北警察署や港北区役所、港北消防署といった行政機関をはじめ、地域の自治会・町内会や防犯関連の団体、医療機関や大規模集客施設、交通機関、電力やガス会社、ホテルやネットカフェなど、大規模イベント開催に何らかの関わりを持つ団体や企業を網羅して組織されているのが特徴で、今回の会合にも約100人超が集まりました。
同会の篠沢秀夫会長(港北区企業防犯協会会長)は、「両大会へは海外からも多くのファンや観光客が訪れる。(オール港北の)みなさんとの絆をより一層深めることで、事件や事故がなく、楽しく幸せな時を過ごせる一生に一度の思い出に残る両大会にしていきたい」とあいさつ。
港北警察署の小島伸治署長は、ラグビーW杯では決勝戦を含め7試合と五輪サッカー競技も決勝戦を含めた11試合が日産スタジアムで予定されていることから、「これらの試合を安全に遂行するのが我々にとっての大きな使命だ」と述べる一方、「テロを未然防止するために一番求められるのは“警戒の眼”であり、警察による取り組みだけでは十分ではない。官民一体の“オール港北”でテロ対策を推進していくことが不可欠」と話しました。
また、港北区の栗田るみ区長も「“テロの未然防止”というと若干敷居が高いと感じるかもしれないが、日ごろ地域を知り尽くしている皆さんだからこそ、おかしな変化に気づきやすい」といい、「国内外で注目を集める両大会が成功となれば、港北区は安全安心の街だということを世界中にアピールできる」と参加者に“オール港北”における活動の重要性を訴えました。
今後も“オール港北”では、所属分野や業種などで分かれた10の部会を中心に情報共有などの活動を行っていく計画です。
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・県内初のオリパラ・W杯「協議会」発足、120団体が集結しテロ対策呼び掛け(2018年2月9日)
・ラグビーW杯へ「治安面」も準備着々、新横浜駅やアリーナで相次ぎテロ対策訓練(2018年11月12日)
【参考リンク】
・港北警備通信(港北警察署における警備活動の紹介)
・ラグビーワールドカップ2019日本大会の試合日程(日産スタジアムでの試合は9月21日~11月2日まで計7試合)
・東京2020オリンピックの競技スケジュール(日産スタジアムでの「サッカー競技」は7月23日~8月8日まで男女11試合)