【開催当日レポート】ラグビーワールドカップ(W杯)開催まで1年を切ったなか、同大会のメイン会場ともいえる日産スタジアム(横浜国際総合競技場)で、運営面における課題が浮き彫りになりました。
一昨日(2018年10月)27日に大会本番への“試行”と位置付られた国際試合が同スタジアムで開かれ、入場者への厳重なセキュリティチェックを実施する体制を築いたものの、試合開始直前になっても客の行列をさばききれず、最終的には金属探知機によるチェックを行わずに、観客を入場させざるを得ない事態が起きていました。
同日開かれた国際試合は、ラグビー強豪国のニュージーランド代表とオーストラリア代表による定期戦「ブレディスローカップ」。同スタジアムで開かれたラグビーの試合としては、昨年11月に行われた日本対オーストラリア代表戦より約3000人多い4万6143人が来場しました。
この日はW杯の本番を見据え、入場者へのセキュリティチェック体制を強化。日産スタジアムの東ゲート橋から先の一帯を「制限エリア」として、橋入口にセキュリティ検査場を設置し、関連イベントの開催や入場券発売などの機能を小机駅寄りの西ゲート側へ移す措置が取られました。また、西ゲートからアクセスする形で、南と北の各ゲートにもセキュリティ検査場が設けられました。
入場者に対するセキュリティチェックは、入場者が持ち込む鞄などの手荷物のなかに警備員が手を入れて不審物検査を最初に行ったうえ、次の段階では入場者の両手を水平に上げさせ、別の警備員が手持ち式の金属探知機で、入場者の身体の上部から足元まで金属物の探知を実施。その後に入場券を提示するという方法が採られました。
試合開始の2時間ほど前まではスムースに進んでいましたが、1人あたりの検査に30秒以上を要することもあり、1時間前には西ゲートや南北ゲートで長い列が確認でき、入場までに10分から20分以上かかる状況に。
15時の開始時間が近づくにつれ、来場者が続々と各ゲートへ押し寄せると、セキュリティ検査場がボトルネック化。両チームのメンバー発表が行われる段階になっても、入場列は長いままで解消できません。多くの客が試合開始に間に合わない状況が予想されるなか、南ゲートでは、試合開始の10分ほど前になると、金属探知機を使ったセキュリティチェックを省略し、客を一気に入場させている様子が確認できました。
日産スタジアムの試合には最大で7万2000人の来場が予想されるだけに、今回の4万6000人の来場者で対応ができなかったことは大きな課題。W杯本番では、検査時間が短縮できるゲート式金属探知機を導入することや、試合開始の直前に来場者を集中させないよう、スタジアムの制限エリア内で魅力的なプレイベントを開くなどの対策が必要となりそうです。
このほか、ブレディスローカップ当日の様子は、以下に写真でレポートします。
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