小机を「城の歴史」活かした“誰もが楽しめる”街に――きのう(2017年8月)20日に小机駅横の城郷小机地区センターにて、「小机城」を語り尽す初の大型イベント「小机城フォーラム2017」(同実行委員会主催)が行われ、約300人の聴衆や、併催された屋外イベント「戦国時代体験『夏休み親子ひろば』」にも家族連れなど2000人以上(人数はいずれも主催者発表)が訪れるなど、盛況のうちに終了しました。
第一部の対談企画で登壇した「笑点」の司会者で落語家の春風亭昇太さんは、日本人が一般的にイメージとして描く「天守閣」があるお城ではなく、自然の地形を活かし作られた、中世の城郭を残す小机城ではつい“うっとり”してしまうといい、「このような本当に良いお城がこの地に残っているのはうらやましい」と小机城の魅力を絶賛。
対談相手の「城郭復元マイスター」二宮博志さん(お城ジオラマ復元堂、日吉7)と共に、まだ本格的に成されていないという小机城の発掘調査や、地元の人がまず正しい歴史を知り、小机城が「すごい場所である」ということを子どもたちにも大人が教える必要性に言及。小机城の魅力アップについての提言を行いました。
第二部に招かれた岐阜県可児(かに)市の「美濃金山城跡」をはじめとした可児市内の城跡整備や活用に取り組んでいる同市教育委員会の長沼毅さんは、2006年から約5年かけて美濃金山城の発掘調査を行い、以降、地域を巻き込み市内全域まで城を活かした街づくりを行ってきた経緯を説明。
初めて城のガイド講座を開催した際には、「当初は3人しか城ガイドに志願してくれなかった」と嘆いてしまうほどの立ち上げだったといいます。
しかしその後仕掛けた地元小学校でのイベントや、ビギナー向け城めぐり企画の実施などにより、「城ガイドも激増しました」と、一つひとつのイベントに力を入れてきた経緯や、その結果としての合戦イベントを開催した模様を伝える映像を上映したところ、その賑わいぶりに参加者からは驚きの声もあがっていました。
長沼さんは「70歳でもまだ若い。誰もが、その世代なりに“楽しめる”街づくりが大切」と主張。多く企業などからも協賛を得ることに成功するなど、小机のまさに見本となる活動を実践してきたと言えそうです。
最後の座談会では、コーディネーターとして大倉精神文化研究所の平井誠二所長が議論を進行。小机城址まつり実行委員会の委員長も務める城郷小机地区連合町内会の防後優子会長と、小机商店街協同組合の宮本正義理事長が、地元住民としての小机城についての自身のかかわりや、元々は商店街の若手有志らにより城址まつりが立ち上げられた経緯などを披露。
「これだけの財産がある小机の街を、(昇太さんらが言うように)子どもたちに好きになってもらいたい。春の『城址まつり』も皆さんの力を借りてより一層よくなるよう頑張っていきたい」(防後会長)、「毎年10月末頃に行っている竹灯籠まつりでは、この近辺では見られない幻想的な“城を使った風景”を見ていただけます。ぜひお越しいただきたい」(宮本理事長)と、それぞれの小机城や小机の街への想いを語りました。
新横浜駅近くにある中世の山城「篠原城」跡を保全する活動を行う「篠原城と緑を守る会」の金子和夫副会長、小机城や篠原城の周辺地域に流れる鶴見川の舟運の復活に挑戦している「鶴見川舟運復活プロジェクト」の臼井義幸世話人、鶴見川流域の防災に日々尽力しているNPO法人鶴見川流域ネットワーキング代表理事の岸由二・慶應大名誉教授の3氏も、歴史的な見地や、防災拠点としての小机城の役割など未来への活動の継承を視野に、「城」を中心とした今後の街づくりへの提言を行いました。
屋外イベントも、戦国時代を体験するフォトコーナーや飲食ブースなど、地元横浜や港北区、小机ゆかりの企業や団体が参加。「小机発見!学習スタンプラリー」(同8月20日から2018年3月31日まで実施)のコーナーも設けられ、“賑わい”を演出。
今年4月に「続日本100名城」に選ばれ、多く全国的にも認知されはじめた小机城の価値を、まずは「地域の大人たちが共有し、子どもたちに継承」していくためにも、小机を盛り上げるべき人々が、それぞれの世代で手を挙げていくことができるのか。
新横浜駅からも程近い「恵まれた立地」を武器にし、今後、近隣の篠原城とのタイアップイベントの開催といった新たなチャレンジも試みられるとのこと。多くの参加で成功に終わったといえる今回のイベントを契機に、小机が「城」を活かしたより魅力ある街に成長するための弾みが付いたと言えそうです。
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【参考リンク】
・小机城フォーラム2017 開催のお知らせ(城郷小机地区センター)