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2023年3月末までに新横浜や綱島、日吉とつながる相模鉄道(相鉄)の沿線で開発や再開発が活発化しています。東京五輪前の2020年3月までの開通を予定する「JR直通線」もにらみ、都内各地へ直結するという相鉄創業以来の悲願を前に、沿線ブランド価値向上へ向けた動きは止まりそうにありません。

相鉄沿線と開通予定線の路線図(横浜市内にある駅のみ掲載、相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市「みらいに向けたまちづくり イメージブック2015」より)

今から5年9カ月後の2023年春、東急・相鉄直通線が開通すると、日吉駅から先、「新横浜・相鉄線方面行」の電車の風景は、次のように変わるでしょう。

日吉駅を出た電車は、高架を走る横浜駅方面行の東横線と別れて地下へもぐり、新綱島駅を経て、10分程度で地下深くに作られた新横浜駅へ到着。その後、JR直通線との分岐駅である羽沢(JRの貨物駅を活用した新駅=神奈川区)を経由して次の西谷駅(保土ケ谷区)から地上へ出て相鉄線へ乗り入れ、運転免許試験場で知られる二俣川駅(旭区)に到着。

二俣川で海老名駅(海老名市)への「本線」と、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の最寄りである湘南台駅(藤沢市)へいたる「いずみ野線」に分かれ、それぞれ神奈川県西部の都市へと向かっていきます。(※新綱島、新横浜、羽沢の駅名は仮称)

港北区内から横浜市西部や県西部の主要都市へ向かう機会はそれほど多くはないといえ、遠いという印象の強い“市西・県西エリア”が電車一本でつながることになり、今より各段に身近に感じるようになるのは間違いありません。

「いずみ野線」の歴史は比較的新しい

そんななか、特に注目したいのが二俣川から湘南台を結ぶ11キロほどの「いずみ野線」エリアです。

今から約40年ほど前の1976(昭和51)年に相鉄が途中の「いずみ野」駅まで約6キロを開通させ、14年後の1990年になって2キロ先の「いずみ中央」駅まで延伸。湘南台まで開通させたのは1999年で、全通からまだ20年も経っていないという新しい路線です。

東急電鉄が中心となり、90年以上かけて開発されてきた日吉や綱島、1964(昭和39)年の東海道新幹線の開通から半世紀かけてじわじわと発展してきた新横浜など、“まちづくり”が一段落しつつある港北区内の街とは違い、いずみ野線のエリアでは、新たに開発する余地がまだ多く残されているのが大きな特徴といえます。

千載一遇のチャンスに相鉄と横浜市がタッグ

横浜市と相鉄はいずみ野線沿線でともにまちづくりを進めている(サイト「相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市」)

JRや東急との直通線が開通するという千載一遇のチャンスを活かすべく、横浜市内の旭区と泉区に位置するいずみ野線の駅周辺では、超高齢化や人口減少といった課題解決も視野に入れ、行政を巻き込んでの開発が着々と進展中です。

その一つが相鉄と横浜市による“協業”で、いずみ野線の活性化を図りたい相鉄と、「住民の高齢化や若年層の流出、インフラの老朽化や耕作放棄地の増加」(みらいに向けたまちづくり イメージブック2015)といった郊外住宅地ならではの課題解決策を探りたい横浜市が手を組み、2013年に「相鉄いずみ野線沿線の次代のまちづくりの推進に関する協定」を締結しています。

二俣川の次駅、同じ旭区内にある南万騎が原(みなみまきがはら)では駅徒歩1分のエリアで大規模な再開発が行われている(相鉄ニュースリリースより)

同沿線における開発や再開発の特徴は、駅前に焦点を絞っていること。たとえば、二俣川の次駅、同じ旭区内にある南万騎が原(みなみまきがはら)では「駅前リノベーションプロジェクト」と題し、風景が一変するほどの再開発を実施中です。

一昨年(2015年)9月に駅前広場を新たに整備するとともに、スーパー「そうてつローゼン」を核とした商業施設「相鉄ライフ」を順次開店させました。今年に入ってからは、認可保育所と学童保育を併設した65戸の賃貸マンション「KNOCKS(ノックス)みなまきみらい」(相鉄不動産)を完成させ、来月(7月)には57戸のサービス付高齢者住宅「グランドマストみなまきみらい」(積和グランドマスト)もオープン。現在は相鉄不動産が7階建て2棟105戸の分譲マンションを建設している最中で、“駅徒歩1分圏内”に新たな街を築きつつあります。

また、いずみ野線沿線の多くを占める泉区内でも開発の動きは活発です。

いずみ野線における相鉄の不動産事業の状況(「相鉄グループ中期経営計画(2017年度~2019年度)」より)

弥生台では相鉄が中心となり、商業施設と医療施設を核とした複合施設を今年秋に完成させ、2019年には80戸の賃貸マンションを整備する予定。いずみ野駅前では商業施設「相鉄ライフいずみ野」がリニューアルしています。これまで駅周辺の開発がほとんど進んでいなかったゆめが丘でも「土地区画整理事業」が始まっており、同駅や近くにある地下鉄ブルーラインの下飯田駅周辺を含め、5000人以上の街を生み出す計画です。

街の中心となる駅前に新たな商業施設や居住エリアを設け、人を呼び込もうという試みが続くいずみ野線沿線。同線が分岐する二俣川駅でも、工事前の型を忘れてしまうほどの大再開発が実施され、現在は終着駅となっている湘南台でも、慶應SFCキャンパス近くを経て、JR相模線の倉見駅まで延伸するという議論が深まっています。

二俣川から湘南台まで、ほぼ“各駅再開発中”のいずみ野線は、JRや東急直通線の開通を機に、もっとも発展するエリアとなりそうです。

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【参考リンク】

相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市(横浜市と相鉄が共同運営)

「相鉄グループ中期経営計画(2017年度~2019年度)」の策定についてPDF、2017年5月25日、10ページ以降に沿線再開発の紹介)