横浜市教育委員会は、昭和40年代から50年代にかけて集中的に整備された市立小学校と中学校について、老朽化が進行していることから、2020年以降に順次全面建て替えを行う考えを示しました。
市ではこれまで、建物完成から70年間は適切な維持管理を行いながら継続使用するとの方針を示していましたが、小中学校は地域の防災やコミュニティ拠点として、「魅力あるまちづくりを進めるにあたっては、学校施設の建替えは重要な契機」であり、築70年に近づく校舎も今後出てくることから、建て替えの基本方針案を公開したものです。
同方針案では、学校施設整備の基準や耐震基準などが1981(昭和56)年前後に大きな変更が行われたことから、同年以前に建設された小学校274校(うち港北区内23校)と中学校111校(同8校)の計385校(同31校)を対象とし、このなかから(1)築70年に近い校舎がある、(2)校舎の平均築年数が古い――という点から対象校を順次選定していくといいます。
また、建て替えに際しては全面建て替えを基本とするものの、建設後の年数が比較的浅く、建替後の全体計画に影響が少ない場合は部分的にとどめるとし、さらに学校施設の機能改善や学校間の統合、「公共施設等との複合化」といった視点からも必ず検討するといいます。
港北区内では、今年(2017年)4月現在で下記の小・中学校に築50年以上の校舎や体育館が存在しており、建て替え時には優先度が高いとみられる学校が10校程度あります。
■ 2017年4月に築50年以上となる港北区内の校舎・体育館一覧
<RC=鉄筋コンクリート造り、S=鉄骨造り>
- 篠原小学校(篠原東3)校舎1=昭和34年完成、RC3階建て1,173㎡(築58年)
- 日吉台小学校(日吉本町1)校舎1=昭和37年完成、RC3階建て2,473㎡(築55年)
- 日吉台中学校(日吉本町4)校舎1=昭和38年完成、RC4階建て2,360㎡(築54年)
- 篠原小学校(篠原東3)体育館=昭和39年完成、S2階建て487㎡(築53年)
- 大曽根小学校(大曽根2)校舎1=昭和40年完成、RC3階建て1,551㎡(築52年)
- 日吉南小学校(日吉本町4)校舎1=昭和41年完成、RC4階建て4,241㎡(築51年)
- 大綱小学校(大倉山4)校舎1=昭和41年完成、RC4階建て3,514㎡(築51年)
- 港北小学校(菊名2丁目)体育館=昭和41年完成、S2階建て511㎡(築51年)
- 大曽根小学校(大曽根2丁目)体育館=昭和42年完成、S2階建て494㎡(築50年)
- 菊名小学校(菊名5丁目)校舎1=昭和42年完成、RC4階建て2,822㎡(築50年)
- 菊名小学校(菊名5丁目)校舎2=昭和42年完成、RC3階建て2,822㎡(築50年)
- 菊名小学校(菊名5丁目)校舎5=昭和42年完成、RC3階建て1,057㎡(築50年)
- 菊名小学校(菊名5丁目)校舎8=昭和42年完成、S2階建て18㎡(築50年)
- (※)高田小学校(高田町)には築50年を超える建物こそないものの、すべての建物が昭和43年(築49年)~昭和46年(築46年)の完成物件
※上記データは2016年4月現在の横浜市資料による
篠原小学校(篠原東3)や日吉台小学校(日吉本町1)、日吉台中学校(日吉本町4)はメインとなる校舎が昭和30年代後半に建設。菊名小学校(菊名5丁目)や高田小学校(高田町)はメインの校舎だけでなく、増築分された校舎も含めて全体的に築年数が古くなっています。
なお、構想では2020(平成32)年度から工事に着手し、将来的には年間10校以上の整備を行っていくことになるとのこと。すべての建て替えには、着手から31年後の2051年までかかるとの見通しです。
【関連記事】
・日吉・綱島・高田の小中学校、耐震化したものの古い「体育館」「校舎」リスト(横浜日吉新聞、2016年5月16日)
【参考リンク】
・横浜市立小・中学校施設の建替えに関する基本方針(素案)に対するご意見をお寄せください(横浜市教育委員会、2017年3月17日まで意見を募集中)
・横浜市が所有する公共建築物耐震性能リスト(PDF、2016年4月更新版)