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新横浜駅への新改札口設置は20年来の悲願――。新横浜1丁目の住民を中心とした850人による新横浜自治会(高橋稔会長)は、今月(2017年7月)10日付けで神奈川県や横浜市などへ新改札口設置の要望書を提出しました。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)などの大型イベントを控えるなかで、「横浜線ホームの危険な状況は誰の目にも明らか」(要望書)である現状の改善を求めています。また、鉄道や道路で街と駅が分断されている新横浜1丁目の住民や企業にとっては、新改札口の設置は長年の悲願でもあります。

環状2号線の新幹線側の一帯(赤で囲んだエリア)へ行くには、篠原口から高架下脇の通路を使うか、環状2号線横にある歩道橋で横浜線を越えてアクセスするしかない。また、鉄道と環状2号線により新横浜1丁目町内と、新横浜1・2丁目が分断される形となってしまっている(グーグルアースを加工して作成、クリックで拡大)

環状2号線の「新幹線高架側」にある新横浜1丁目エリアでは、環状2号線とJR横浜線、東海道新幹線の3つに囲まれているため、街が分断された形となっています。横浜線の線路を越えられる通路は少なく、環状2号線では駅北口「西広場」付近の歩道橋「ヴィスタウォーク」から岸根交差点にかかる歩道橋まで約1キロにわたって、横断できる場所がほとんどありません同じ町内でさえ気軽に行き来ができない状況です。

新幹線高架側のエリアには、約1400人が働く港北区最大の企業であるマクニカをはじめ、日総工産や奈良建設など200名近くが勤務する中堅企業も本社を置いており、ビジネスでの往来者が目立ちます。加えて、エリア内には少なくとも15のマンションが建っており、部屋数は分譲と賃貸合わせ800戸以上。今も新築の動きは止まっていません。

新幹線高架下脇に設けられた通路には、「PCB汚染物保管場所」と赤字で示された倉庫(写真左)も見える

現在、同エリアへは駅の篠原口から新幹線の高架橋下の脇にある通路を抜ける形で、最短距離で行き来することは可能です。この通路はJRの私有地を一部開放したもので、舗装が不完全なこともあって歩きづらく、水はけが悪いことから大雨の際には通行ができなくなることさえあるといいます。

また、通路沿いには化学物質の産業廃棄物である「PCB汚染物」を保管していることを明示する倉庫があったり、巨大な変電設備が置かれていたり、歩行者が歩きやすい環境とはいえない状況です。

同エリア内に本社を置く企業のなかには、来訪者にこの通路を歩かせるのは恥ずかしいとして、北口からタクシーを使って送迎するケースさえあるといいます。こうした状況に対し、企業会員が多い新横浜町内会(金子清隆会長)も、今年1月に「JR横浜線:新横浜駅篠原口付近の通路改修に関する陳情書」をJR側に提出するなど、環境改善を求める動きを強めています。

横浜線ホーム端(小机側)は現在、トイレとして使われている

これらの課題を一気に解決する手段として、期待されているのがJR横浜線ホームへの新改札口の設置です。

現在、北口や篠原口へいたる通路はホームの菊名寄りに1カ所しかなく、ラッシュ時やイベント開催時は身動きができなくなるケースもしばしば見られます。小机寄りに新たな改札口を設けることで、混雑の緩和に加え、新横浜1丁目へのアクセスも大幅に改善できるものです。

新横浜自治会の高橋稔会長は、「2002年のサッカーW杯開催時もそうでしたが、これまで20年ほどにわたって『仮設でもいいから改札口を設けてほしい』と横浜市やJRにお願いしてきましたが、事態は好転していません。2019年のラグビーW杯や翌年の東京五輪を控え、この機会を逃せば、設置されることがより難しくなってしまいます」と話します。

横浜線ホームの端(小机側)からは「相鉄・東急直通線」の工事現場も見える

「JR横浜線の小机寄りには、ホームを延伸して改札口を設けることができそうなスペースが散見されるうえ、ちょうど新横浜2丁目側には市有地もあり、ここは地下に作られる相鉄・東急直通線駅への出入口が設置されるとも聞いています。小机側に新改札口をつくれば、将来的に横浜線と相鉄直通線の乗り換えも便利になりますし、1丁目と駅のアクセスも大幅に改善されます。さらには日産スタジアムへも最短距離となり、大型イベント時の混雑緩和にも大いに役立つはずです」(同)と、そのメリットを訴えます。

横浜線ホームの小机寄りには改札口が設置できそうなスペースも確認できる

JR東日本では、「関係自治体と連携し駅全体のあり方について、検討を進めていきたいと考えております」(「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」の要望に対する回答)と設置に否定的な考えは示していないものの、これまでに関係自治体と検討が前進している様子は見えてきません

新横浜のまちづくりやラグビーW杯などの国家的イベント開催とからめ、横浜市が新改札口設置の計画を描き、JRとともに動くことができるか否かが鍵となりそうです。

【関連リンク】

横浜市が先導して「新改札口」を、横浜線・新横浜駅の混雑対策を横浜市会で議論(2019年2月20日、その後に新改札口について横浜市長が見解)

横浜線・新横浜駅に新改札口を求める要望、JR側「駅全体のあり方検討を進める」(2017年6月20日、県の要望に対するJR側の回答)

ここは本当に新横浜? 1丁目エリアの“山小屋”手打ちそば・カレー店に驚き(2017年4月3日、新横浜1丁目の位置説明や街の紹介も)

<JR東日本の乗車人員>新横浜は1.7%増で72位、菊名は微減で順位下げる(2017年7月17日、この10年間で新横浜駅の乗車人員は25%増となっている)

【参考リンク】

神奈川県鉄道輸送力増強促進会議(これまでの要望内容と回答も)