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バレーボール開催時の横浜アリーナ

2020年に開催される「東京五輪・パラリンピック」では、バレーボールの会場として「横浜アリーナ」(新横浜3)を活用する案が東京都から上がっています。当初案である「有明アリーナ」(東京都江東区)の新設には多額の費用がかかることから、小池百合子都知事らが代替案として示したことで始まった開催地騒動。「クリスマスまでに」(同知事)は有明か横浜かを決定するとのことですが、“横浜アリーナ開催案”は本当に実現できるのでしょうか。

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1万5000人が収容できる有明アリーナの新設には都の当初試算で404億円を要するという(完成イメージ画像は都の資料より)

都の資料によると、東京五輪でのバレーボール競技は、2020(平成32)年7月24日(金)の開会式翌日となる同25日(土)から閉会式当日の8月9日(日)まで、1日2~3試合を16日間にわたって計42試合を開催する計画です。

試合会場として、国際オリンピック委員会(IOC)と国際バレーボール連盟は、(1)コート1面と観客席が仮設を含め1万5000席以上、(2)ウォーミングアップコートが2面、(3)運営に関する隣接施設「BOH」が必要――などといった要件を示しており、都側は有明アリーナの新設以外で「関東で1万人以上が収容でき、五輪期間中に他の競技で使用する予定のない会場」との条件で開催地を検討しました。

五輪時に使用予定ない横アリが俎上に

その結果、五輪時にバスケットボール競技で使う「さいたまスーパーアリーナ」や、柔道が予定される「日本武道館」、ハンドボールで使う「代々木競技場」といった選択肢を除外。

2008年7月に横浜アリーナで行われたバレー大会の様子(都政改革本部の資料より)

2008年に横浜アリーナで行われたバレー大会の様子(都政改革本部の資料より)

期間中に活用予定のない「幕張メッセ」の「1~3ホール」(他はフェンシングなどの競技で使用)や「パシフィコ横浜」「東京ビッグサイトの増築」「東京ドーム」などの選択肢は、IOCなどが求める1万5000人の収容人数や観客席構造などの面から適さないと判断し、最終的には五輪期間に使用予定がない横浜アリーナが残ったものとみられます。

代替案を検討する都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームは、先月(2016年11月)1日の会議で「横浜アリーナは、新幹線駅である新横浜駅から徒歩4分の位置で、世界大会実績があります。ホテルと接続して、VIP対応など高い質を提供することが可能」(本多正俊志特別調査員=株式会社パブリックパートナーズ社経営コンサルタント)と評価。具体的な活用計画案を示しました。

環状2号線と太尾新道は封鎖しない計画

都政改革本部が示した横浜アリーナ周辺の活用案(資料より)※クリックで拡大

都政改革本部が示した横浜アリーナ周辺の活用案(資料より)※クリックで拡大

都政改革本部が示した資料によると、横浜アリーナは2008年7月に「バレーボール・ワールドグランプリ(世界女子バレーボール大会)」の決勝ラウンドを開催した実績があり、その際は1万3000席を用意。IOCなどが求める1万5000席は仮設として可能だとしています。横浜アリーナの施設使用料や営業補填、仮設費などを含めた総予算は約7億円で済むとの試算も示しました。

そのうえで、開催会場に必須とされる「2面のコートを含んだウォームアップ(待機)エリア」「BOH(運営諸室/ブロードキャストコンパウンド=放送用施設/仮設発電機)」「観客入場スペース(PSA)」を設ける場所について、横浜アリーナ至近にある「新横浜プリンスホテル」をはじめ、周辺の市有地や民間駐車場をフル活用する具体的な図面を提示しています。

横浜アリーナ裏手(大豆戸町側)にある資源循環局が管理する空地に2面のコートを含んだウォームアップ(待機)エリアを作る計画

横浜アリーナ裏手(大豆戸町側)にある資源循環局が管理する空地に2面のコートを含んだウォームアップ(待機)エリアを作る計画

ウォームアップエリアは、パスタ店「五右衛門 新横浜店」の裏手にある空き地(市有地)に建設し、「太尾新道」(港北警察署の正面を通る道路)と横浜アリーナをつなぐ中央分離帯がある道路上に「車両検査エリア(VSA)」を設置。観客入場スペース(PSA)は、現在の横浜アリーナ正面玄関前の道路を封鎖するなどして設ける計画です。BOHは横浜アリーナ内の部屋や新横浜プリンスホテルを使う考えです。このほか、周辺に点在する民間駐車場の活用も構想に入れています。

横浜アリーナの正面玄関付近は封鎖し観客入場スペースを設ける構想

横浜アリーナの正面玄関付近(写真左)を封鎖し観客入場スペースを設ける構想

そのうえで、周辺道路への影響が大きい「環状2号線」と「太尾新道」は封鎖しない方針を示しました。なお、大会期間中も環状2号線で続けられる可能性のある「相鉄・東急直通線」の工事規制については、資料では言及されていませんでした。

こうした“横浜アリーナ開催案”の採用可否について、コスト削減を行いたい東京都側は熱心に検討するものの、横浜市や横浜アリーナ側は立候補をしているわけではないため、「冷静に受け止め」(神奈川新聞11月30日報道)ているようです。

横浜市は、「横浜アリーナをオリンピックのバレーボール会場に使用するのであれば施設改修が必要です」という市民意見に答える形で、「今後、横浜市に対して都や大会組織委員会などから正式に要請をいただくことがあれば、しっかりと受け止め、(株)横浜アリーナと連携し、検討していきます。横浜市はこれまでと同様、東京2020大会の成功に向けて、最大限協力してまいります」(市民局スポーツ振興部)との意向を示しています。

IOC側は、周辺地権者らの了解を取り付ける必要があることから、「やるべき作業を数週間でやるのは非常にレベルの高い目標」(日本経済新聞11月30日)との見方を示し、都の幹部も「IOCから事実上無理と言われているに等しい」(同)といったコメントも報じられています。

新横浜の街に突然降って湧いた”五輪バレーボール開催騒動“は、どのような結論が出るのでしょうか。

【関連記事】

稼働率が過去最高だった「横浜アリーナ」、市内への経済波及効果は409億円に(2016年8月10日)

相鉄・東急直通線の工事規制、「ラグビーW杯」時は環状2号線での解除要請も(2016年9月10日)

<2020年東京五輪>慶應日吉キャンパスが英国代表チームのキャンプ地に(横浜日吉新聞、2016年1月20日)

【参考リンク】

都政改革本部会議(第3回)録画映像・テキスト(東京都、2016年11月1日開催分、後半で横浜アリーナ開催案を検討)

都政改革本部会議(第3回)の「資料3新規恒久施設について」PDF、42ページ目以降で横浜アリーナ開催案を検討)

市民の声「横浜アリーナをオリンピックのバレーボール会場に使用するのであれば施設改修が必要です」(横浜市「市民の声」公表、2016年11月26日)

都、バレー横浜案を再度検討 東京五輪、困難との認識も(神奈川新聞「カナロコ」2016年11月30日13時15分配信)

五輪2会場、ほぼ当初案 バレーは小池氏譲らず(日本経済新聞電子版2016年11月30日1時18分配信)

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